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ソーシャルメディアマーケティングをする本当の理由は気分、ROIは実は良くない

ソーシャルメディアに取り組む本当の理由は、実は、気分的な見返りがあるからではないだろうか?

今回は、SEOを目的としたソーシャルメディアへの参加とソーシャルメディアマーケティングについて、以下の仮説を提唱したい。

ソーシャルメディアに取り組んでいるマーケターの大部分は、(プロとして)高い費用対効果(ROI)につながるからではなく、他の手段よりも比較的短期間で評価指標に反応が現れ、かつ気分的な見返りがあるからそうしている。

たとえば、

  • Twitterで名声を築く
  • Facebookで人脈を広げる
  • Diggでフォロワーの数を増やす
  • ニッチ分野のサービスやフォーラムで人気を獲得する

といったソーシャルメディアへの取り組みは、何であれ実に心地よい結果をもたらしてくれる。

しかし、title要素をちょこっと変える、サイト内リンクをいじる、ビジネス関連の退屈な話題を記事にするといった作業では、投じた時間が金銭的なROIの向上に直結しやすいかもしれないが、そんな指標が高くなったからといって気分的な見返りは得られない。

これを言葉で説明するだけでなく、目に見える形で示そう。

たとえば、僕が自分のサイトに、より関連性の高い訪問者を集めるために何らかの取り組みを実施するとしよう。僕は、解析によって、あるフレーズが良質のトラフィックをもたらすことを知り、そのキーワードで検索順位を上げようと決心する。

外部リンクをざっと調べて、リスティングに適したところをいくつか見つけ、おそらくは一握りの外部リンクを獲得する。title要素、h1要素、ページコンテンツの一部を修正し、行動を喚起する要素を強調して効果を強める。自分のサイトで重要なページをいくつか確認し(これにはSEOmozのトップページツールが役に立つ)、適切なサイト内リンクを設置する。すると、サイト内のいくつかのページは少しばかり順位を上げ、次の週にはトラフィックの増加も確認できるだろう。

サイトのコンバージョン率は向上し、その後は毎週、会社に数百ドルの登録料が入ってくる。その進展のようすは解析を通じて追跡できる。

SEOmozのコンバージョンデータ、2009年第18週

現在、CFO(最高財務責任者)や収益を気にしているマネージャーにとって、これはすばらしい成果だ。今週の59というコンバージョン数を先週の53と比較してみると、わずか1日の労力を注いだだけで10%以上向上していることになる。このプロセスを繰り返せば、驚くべき結果を手に入れることができるだろう。

ところが……自分本位で感情的かつ人間的な観点から見るとと、これはマーケターにとって、ソーシャルメディアに対する小手先ばかりの取り組みと比べても、とても満足できる結果ではない。

今度は、先に示したようなSEOとコンバージョン最適化に1日を費やす代わりに、ソーシャルメディアの領域に乗り出すとしよう。

僕はソーシャルメディアで自分のアカウントの到達範囲を広める必要があると判断する。そうすることによって、メッセージを配信すればより多くのオーディエンスに届き、自分のネットワークに働きかければより多くの有力な協力者を見つけられ、リンクを貼り付ければより大勢の人がクリックしてくれるからだ。マーケティングの観点からすると、これらはすべてすばらしく、関連性が高く、有益なことだと言える。

でも、正直になろうよ。マーケター(それ以外の人も全員)がソーシャルメディアで気に入っている部分とは、その評価指標の表れ方なんだ。

Facebookアカウント、2009年5月3日

Facebookの僕のフィードバックループには、友達申請、イベントへの招待、グループの招待、ネットワークからの近況アップデート、ユーザーたちが僕にタグ付けした画像がたくさん掲載されている。

TwitterでSEOmozを検索した結果

Twitterでは、僕らのブランドについてSEOコミュニティがどういう感想を持ち、どのようなことを話しているのかがわかる。

StumbleUponでSEOmozを検索

StumbleUponからは、どういったタイプのコンテンツがアクセスや肯定的/否定的な感想をもたらしてくれるのかわかる。

ここで僕は、これらの結果すべてに目を通し、返答することがなぜ重要なのか、論理的かつ完全に事実に基づく理由を見出すことが可能だ。近況をアップデートし、友人リストを増やし、フィードバックに返答し、関係を築くことが、なぜ企業のブランド構築やマーケティング、収益に関する評価指標に有益なのか、合理的に正当化できる。事実、僕はSEOmozがソーシャルメディアから価値を得ていることを示すデータも持っている。

参照元ドメイン別のコンバージョン率

リストの一番下にTwitterが入っているが、1万以上のビジターを僕らのサイトにもたらしている! これは大きな数字だよね?

でも、ここで問題がある……。Twitterからの訪問者は、他のどの参照元よりもコンバージョン率が低いんだ。グーグルの半分にも満たない。

僕は、他のサイトを経由しない直接的なアクセスがすべてだなんて思ってもいないし、ソーシャルメディアへの参加や、そこに注ぎ込まれたトラフィックや労力には、ブランド構築、マーケティング、およびユーザー獲得という点で真の価値があることも認めている。

僕が気になっているのは、こうした無形のものに、コストと見合うだけの価値があるのかどうかということなんだ。

ソーシャルメディアのあらゆるケースで、フィードバックや評価指標をしているのは、実在するユーザーたちだ。僕はその人たちに返事をしたり、もう一度話を聴き返したり、あるいは相手と会話を始めることができる。マーケティングに費やした努力の見返りとして、図表や数字しか残らない孤独な日々なんて終わりだ。僕は、ソーシャルメディアマーケティングに取り組んでいるとき、自分のことをアルゴリズムや顔の見えない検索ユーザーを相手にコツコツと働くSEOオタクだと感じたりしない。メディアが(豚インフルエンザの報道一色ではないときに)1日中話題として取り上げているTwitterやFaceboookの世界を、蝶のように華やかに飛び回る社交家みたいな気分になれる。

問題は、ソーシャルメディアが役立たずだということではない。あるマーケティング活動から得られる金銭的およびビジネス的な価値と、それに関連した評価指標から受け取る心理的な価値との間に食い違いがあるということなんだ。

最終的なROI評価指標
ソーシャルメディアマーケティング低から中
(業界、対象、目標により異なる)
  • 気分的に見返りがある
  • 反応が迅速
  • 個人的
従来型のSEOおよびWebマーケティング中から高
(通常)
  • 味気ない
  • 成果が出るまで時間がかかる
  • 主に数値で示される

SEOマーケターだって人間である以上、感情に左右されない人なんてまずいない。昔ながらのキーワード調査、コンテンツの作成、リンク構築に8時間を費やしてから数週間も後になって、一連の折れ線グラフや数字を通じてようやく結果がわかるというのは、なかなか辛いものがある。

同じ8時間をブログやTwitterに費やした場合、数百件のレス30件の返事、18人の新たなフォロワーが得られるかもしれないっていうのに。フィードバックのループは迅速、直接的かつ個人的で、達成感がある。認知され、話を聞いてもらえ、関心を持ってもらえるというのは、気分が良いものだ。それが人の心の自然な働きであって、それに抵抗してもほとんど意味がない。

今回言いたかったのはとにかく、最高のROIを獲得できるところに時間と労力を配分することについて、一層の注意を払うことが望ましいのではないか、ということなんだ。少なくとも……時間の大半をね(^^)。

追伸:以上は僕の私見だけど、みんなの考えをぜひ聞かせてほしい。僕の認識では、ソーシャルメディアマーケティング(SMM)は、トラフィックとリンク構築という2つの目標を達成してくれる場合、(ROI戦略を強化するためソーシャルウェブを活用する他の取り組みと同じように)非常に大きな価値をもたらすものだ。それでも、ソーシャルネットワークを活用することとソーシャルメディアでの人気を高めることがROIを高めるか、という点に関してはかなり懐疑的なんだ。

用語集
Facebook / SEO / コンバージョン / コンバージョン率 / ソーシャルメディア / フィード / リンク / 外部リンク / 訪問者
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