拡張CPCとコンバージョンオプティマイザーは何が違うのか
拡張CPCとコンバージョンオプティマイザーは何が違うのか
ところで、アドワーズ広告にはこれまでも「コンバージョンオプティマイザー」という機能がある。コンバージョンオプティマイザーと拡張CPCの違いはわかりづらいため、以下に整理してみた。
コンバージョンオプティマイザー | 拡張CPC | |
---|---|---|
入札管理の自由度 | なし。広告グループ単位でコンバージョン単価を設定し、あとはシステムが入札を自動調整 | あり。キーワード単位の上限クリック単価まで自ら設定可能。入札の影響範囲は段階的(50%~75%) |
コンバージョントラッキング条件 | 過去30日間のコンバージョン数が15件以上必要 | 特になし |
高度なキャンペーン設定 | 使えない | 広告スケジュール、掲載順位設定、ユーザー層別入札などと併用可能 |
最も大きな相違点は、その入札管理の積極性と自由度だろう。
コンバージョンオプティマイザーは、必要コンバージョン数を満たすための統計データがある程度揃うため、より低いCPAを実現するために、かなり踏み込んで入札を自動的に調整する。この積極性に最初は戸惑うユーザーも多い。CPAが期待通り下がるまでに、逆にCPAが以前よりも増えてしまったり、クリックが大幅に減ってしまったりすることもあるからだ。そのうえ、大事なキーワードの上限クリック単価は操作できないため、コンバージョンオプティマイザーを使う場合は、グーグルの自動入札ロジックを信頼し、キャンペーンのパフォーマンスに対して気持ちの余裕も持っていないといけない。
拡張CPCは、コンバージョンオプティマイザーと比べると、抑え気味である。設定当初はオークションに入札中の50%のみで有効になる。前述の通り、パフォーマンスが良い場合は、個別に設定している上限クリック単価の30%増までを引き上げ、悪い場合は引き下げる(下限はなし)。パフォーマンスが良いと判断された場合は、オークションに入札中の75%まで対象範囲が拡げられる。基準値となる個別の上限クリック単価は手動で変更することがいつでも可能で、再度設定した上限CPC(+30%)の範囲内でシステムが調整を行ってくれる。拡張CPCは、入札管理についてはより慎重なアプローチを取り、なおかつユーザーによる入札管理の自由度も確保された手法である。
拡張CPCはどういう場面で使うべきか?
それぞれのコンバージョンオプティマイザーと拡張CPCの特徴を整理すると、次のようになる。
コンバージョンオプティマイザー ―― 過去のCPAデータへの依存が高い、完全おまかせ/全体最適型の手法。
拡張CPC ―― ユーザーの知見やテストに依存が高い、半DIY/個別最適型の手法。
では、それぞれの手法はどういった状況で利用するべきなのだろうか。
- コンバージョンオプティマイザーを使うべき場面:
- グーグルの自動入札ロジックを信頼でき、入札の全権を任せたい
- 月に15以上のコンバージョンがある
- キャンペーンパフォーマンスの大きな変動に対しても問題ない(冷静に待てる)
- 拡張CPCを使うべき場面:
- 入札に対する自らの知見を重視した運用を行いたい
- 自動入札は行いたいが、やや慎重には行いたい
- コンバージョン数が少ない
- 広告スケジュール、掲載順位設定、ユーザー層別入札などは自分で設定したい
インパクトの大きいキーワードが特定できており、ROIを実現するための入札ノウハウも持っているような場合は、拡張CPCのほうが柔軟性もあり使いやすいだろう。
サードパーティの自動入札システムとの連動利用という選択肢
記事冒頭でも紹介したSESサンフランシスコのセッションでは、グーグルは「拡張CPCは、サードパーティの自動入札システムを補完する機能である
」という説明をしており、両者を併用した利用を推奨していた。
コンバージョンオプティマイザーにしても拡張CPCにしても、グーグルしかできないリアルタイムなオークションに対応した自動入札ロジックが実装されている。これはサードパーティのツールではどうしても実現しづらい。よって、ユーザーが設定するコンバージョンの価値/キャンペーンの目標をベースに、サードパーティの自動入札システムがキーワード別の入札金額を設定する部分。そして、拡張CPCがユーザーのクエリ、属性情報、リアルタイムなオークションデータをベースに入札を微調整するという役割分担をすれば、両者の良いところをうまく使った自動入札システムを構築できることになる。
筆者もこの手法には賛同しており、今後機会があれば検証はしてみたいと考えている。
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