Webサイト制作では品質チェックを入れる
Webサイト制作では品質チェックを入れる
ここまでで、一般的にオリエンテーションで詰めておくべき内容を示しましたが、業界や商材によって内容は変わってきます。では、Webサイト制作の依頼の場合はどうでしょうか。Webサイト制作のオリエンテーション資料では、前述の項目と合わせて次の要件も加えます。
- 品質要件
成果物の質を決定する重要な要素です。ただし、好みに左右される要素ではなく、客観的なチェック要素を用意する必要があります。ウェブコンテンツJISに対応すること、W3Cの「HTMLチェックツール」をクリアする、企業のトーン&マナーやレギュレーションを遵守するなど、客観的にチェックできる要素にします。
- 技術要件
対応するOSの種類、サポートするブラウザ、導入するプラグインなどを書きます。ただし、対応条件が広くなるほど、予算も大きくなります。
- 前提条件
アクセス解析タグの設置、検証環境、ロケーション(ドメイン、サーバーは誰が用意するのか)なども記載します。あいまいにしていると、やってくれると思っていたと、発注側と外注で意識のすれ違いが起こることがあります。
こうした要件は発注側だけで決める必要はありません。わからないことがあれば、その道のプロである外注に相談しましょう。たとえば、サポートブラウザの対応範囲を決めかねているなら、どんなターゲットに情報を届けたいのかを伝え、予算に合わせた対応を提案してもらうのです。高齢者がターゲットであるなら、自ずとアクセシビリティ対応も盛り込まれてくるでしょう。はじめに述べましたが、大切なのは外注がより良いものを選択して提案できるように情報を示してあげることなのです。
クリエイティブに必要なキーメッセージ
Webサイトや広告など、クリエイティブが関係するときは「キーメッセージ」を伝えます。対象となる製品・サービスのどの部分を伝えるのかは発注側の仕事です。キャッチコピーは、キーメッセージを元にコピーライターがデザインしたメッセージになります。
外注はあなたほど、ブランドや商品、その背景を知りませんから、キーメッセージを外注に考えろ、というのは良いやり方ではありません。キーメッセージの部分はよく曖昧になりますが、発注と外注の仕事を整理すると次のようになります。
発注の仕事「何を伝えるかを決める」
外注の仕事「どうやったら最もよく伝わるかを決める」
オリエンテーションがもたらす副作用
良いオリエンテーションができる発注側の話はあまり聞きません。いい加減なものだと思って期待していない外注が多いのも事実です。だからこそ、しっかりとオリエンテーションを行うだけで、外注のあなたへの見方は大きく変わるのです。ただし、例に示したようなオリエンテーション資料の項目を埋めていくことが目的にならないように注意してください。
紹介したような項目を考えることで頭のなかが整理され、より良いアイデアや新たに解決しないといけない問題点などが判明することが多く、企画の質を上げる効果もあります。さらに、外注と意思疎通がスムーズなるというだけではなく、もう1つ、大きなメリットとして、発注者側の社内における関係者の共通認識にも使えます。オリエンテーションの前に、社内で合意を得ることで、確認のたびに「やっぱりあれもこれも」と思いつきで意見が出てくるのを防ぐことができます。
しっかりとオリエンテーションを行えば、外注はあなたの力になりたいと思うでしょう。オリエンテーションをうけて、外注はメンバーの選定に入ります。つまらないと思われれば、熱意を持って取り組んでもらうことは難しいでしょうが、おもしろい、ぜひやりたいと思えば、最高のメンバーをアサインしてくるでしょう。実はオリエンテーションの内容が、施策が良い方向に向かうか、悪い方向に向かうかの分岐点になっているのです。
- オリエンテーションは、外注への商品説明会
- 誠意を持って説明し、外注に商品の理解を深めてもらうことが成果につながる
本連載が、電子書籍になりました! タイトルは「Web担当者が知っておきたい『禁断の外注コントロール術』」です。
Web担当者の業務範囲は、制作や運営だけでなく、アクセス解析、インターネット広告やSEOに加え、ソーシャルメディア活用など多岐にわたり、それぞれ業務の内容もますます複雑化しています。そんな中で一定の成果を出していくには、もはや1人2人の手では足りず、社外の人の力を使わないとも対応できなくなっています。
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