ウェブアンテナ導入によるコストはステージを上げるための必要コスト
ウェブアンテナ導入によるコストはステージを上げるための必要コスト
シンプルさと操作の簡単さ定評があるウェブアンテナは、「作業時間の短縮化」という視点で評価されることも多い。しかしNECでは、ウェブアンテナの導入によって、「プロモーション担当者による効果測定」という以前はなかった作業を増やす形となった。
会社全体で見れば「手間が増えた」わけだが、それ以上のメリットがあると野坂氏は言う。
「タグの発行担当者を除けば、全体の手間は増えていますし、ツールを追加したわけですからコストも増えていることは確かです。しかし、それぞれに役割と意味があり、しっかりと活用していくことでペイできると考えています。
繰り返しになりますが、プロモーション担当者が自分でログインして設定できるからこそ、自分でレポートを見ようという興味も湧いてきます。いずれ自分で工夫するようになることも期待しています。意識改革を促すきっかけになるなら、それは『かけるべき手間、必要なコスト』なのです。
Webサイト運用でのCMSと同じですよ。最初は楽になるだろうと思ってCMSを入れますが、実際にはそれで細かい作業が増えます。では入れないほうがよかったのかというと、そんなことはありませんよね。
ステージを上げるということは、そういうことも伴うのだと考えています。全体最適化が私の仕事ですから、社内のマーケティングレベルが上がることで、最終的な成果に結び付けられればいいわけです
」(野坂氏)
河井氏も「手間は確実に増えた」という。ただし、もともと楽になるために導入したわけではない。
「現状を把握することが前提としてあり、そのために必要なものであることは確かです。その手間が増えた分をどう最適化できるかが次の課題です
」(河井氏)
データの蓄積は将来のビッグデータ時代における
究極のマーケティングを見越した準備
野坂氏には壮大なプランがある。SiteCatalystもUser Insightもウェブアンテナも、実はそのプランを実現するための下準備なのだという。
「将来的には商談率や成約率まで把握できるようにしたいと思っています。
SiteCatalystをCRMやSFAのシステムとつなげて、ユーザー集団や属性、流入元などでセグメント分けしたうえで、商談化率や成約率の関係まで把握するということですね。現在のクリックからコンバージョンに至る部分に加えて、その前と後、つまりインプレッションによる間接的な効果や、成約に結び付くまで何が影響しているのかを正確に把握したいわけです。
それができるスーパーツールはまだ存在していませんが、いまからできることをすべきだと思っています。そのためのツールがSiteCatalystやウェブアンテナなのです
」(野坂氏)
より広く深いマーケティングの実現に向けた準備。それが、ツールの導入やタグの最適化、社内意識の向上といったことだ。
実際、Webマーケティングが対象とするデータは、多様かつ多量になっており、まさにビッグデータ化してきている。豊富なデータと分析のノウハウが蓄積されることで、マーケティングはまだまだ進化していくはずだ。
インプレッションによる間接効果など、コンバージョンに至る過程は複雑で、合理的ではないことも多い。いろいろな視点で評価できるはずだし、それが真に意味のあるプロモーションとなる。CVRやCTR(クリックスルー率)だけを見過ぎると、可能性を自ら狭めてしまうことになる。
「Webマーケティングは、データと数値に基づいてできる反面、その最適化を求めすぎると焼畑農業になってしまう危険性もあります。
直接的な効果だけに焦点を当てて最適化を進めると、予算は縮小される一方という悩ましい問題もあります。
一見まったく効果のないようなプロモーションでも、巡り巡ってコンバージョンにつながったり、次の顧客獲得につながったりする可能性はあります。それを証明して予算の正当性を担保する説得力のある材料を示すことができれば、胸を張って面白い種まきマーケティングができますからね
」(野坂氏)
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