基礎から学ぶアプリストア最適化「ASO」――インバウンドマーケター向けガイド(後編)
モバイルアプリのマーケティングで重要なASO(アプリストアの最適化)を解説するこの記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。今回は、ASOを実践する際に重要なポイントと役に立つツールを見ていこう。(後編を読む前に前編を読んでおく)
アプリストアの検索エンジン用に最適化する方法
次に、アプリストアの検索、およびプラットフォームに基づく検索エンジンの違いについての話題に入ろう。
初めに、大切な話から。
前編で、アプリのエコシステムは1990年代後半のウェブを思わせると言ったことを覚えているだろうか。検索について考えるときは、そのことを思い描いてみてほしい。
グーグルはこれまでにウェブ検索を「解明」したが、それと同じような形ではまだ、アプリストアの検索は「解明」されていない。簡単に例えるなら、アプリのエコシステムにおいて私たちはまだ1990年代後半の検索サービス「AltaVista」の状態にある。つまり、当時のヤフーのディレクトリ型サービスよりいくらか優れているとはいえ、それから数年後のグーグルほど並外れて洗練されているわけでもない。
ウェブに内部SEO施策と外部SEO施策があるように、アプリにも「オン・メタデータASO」と「オフ・メタデータASO」がある。
オン・メタデータASOに含まれる要素は、マーケターが完全に管理でき、アプリストアにおけるプレゼンスを扱うものが多い。
オフ・メタデータASOに含まれる要素は、マーケターが完全に管理することはできないかもしれないが、それでも影響を及ぼすことができる。
以下では、マーケターが検索パフォーマンスに影響を及ぼせるようにするための最も重要なポイントをいくつか取り上げるとともに、それらを最適化する方法について、簡単なヒントを紹介する。
オン・メタデータASOの要素
アプリのタイトル
アプリのタイトルは、それだけでASOのランクにとって最も重要なメタデータ要素だ。HTMLのtitle要素に相当し、アプリの内容をアプリストアに伝えるすばらしいシグナルとなる。
ウェブの場合は、タイトルに(キーワードを含む)内容の説明とブランディングの両方を含めるだろう。この2つの要素は、アプリストアでも必要だ。キーワードは確実に入れたいが、スパム的だと思われない程度にして、わかりやすくて意味が通るものにしよう。
「Strava Run - GPS Running, Training and Cycling Workout Tracker」などはいい例だ(日本語にすると、「Strava Run - GPSによるランニング・トレーニング・サイクリングワークアウトの記録」といったところ)。
説明
当社(MobileDevHQ)のカスタマーサクセス部門でバイスプレジデントを務めるパトリック・ヘイグは、説明文を「初期表示で見える部分」と「初期表示では見えない部分」の2つのセクションに分ける(どっかで聞いた覚えがあるって?)のを好む。
パトリックは、次のように述べている。
初期表示で見える部分は、1文か2文で、アプリとその主な用途について説明する。
初期表示では見えない部分には、明確で魅力的な機能セットとソーシャルプルーフ(賛同者の増加によって信頼性が高まる根拠)を含めるべきだ。
プラットフォームによって異なる説明フィールドについては、以下でいくつか詳しく取り上げる。
キーワードのフィールド
iOSのApp Storeでは、キーワードフィールドに入力できるのは100文字までで、これを利用してiTunes検索で表示させるキーワードを指定できる。100文字しかないため、賢く使わなければならない。以下にいくつかヒントを挙げる。
キーワードを選ぶときは、ウェブと同じように、関連性、検索数、わかりやすさを重視する。
複数の語句を使わず、個々の単語に分割する(アップル側で組み合わせて処理してくれる)。
すでにタイトルで使っているキーワードを繰り返さない(タイトルには最も重要なキーワードを使い、キーワードフィールドには次に重要なキーワードを使う)。
キーワードはカンマで区切り、スペースはどこにも使わない。
アイコン
消費者は要求が細かい。彼らは、美しくエレガントで、わかりやすいアプリを求めている。
ユーザーが最初に目にするのはアプリのアイコンである場合が多いため、自社のブランドや、アプリのエレガントさ、実用性をしっかりと伝える役割を果たせるものにしよう。
覚えておいてほしいのは、アイコンは、検索結果において自社のブランドや実用性を伝えられる数少ない方法の1つだということだ。SEOで作成するようなmeta descriptionタグの一部だと考えよう。
たとえばSoundCloudは、アイコンやブランディングで効果を発揮している。
スクリーンショット
スクリーンショットを作成するときに覚えておくべき最も重要なルールがある。
アプリストアに掲載するスクリーンショットは、ただ画面を示すスクリーンショットであってはいけない。それは、プロモーション画像であるべきなのだ。
つまりそこには、アプリの内容を興味深く視覚的な方法で伝えるテキストやその他の画像を含めることができる。
特に、カード形式のレイアウトに1枚目のスクリーンショットが表示されるiOSでは、最初にアプリについて説明する画像が表示されると極めて有益だ。検索結果からアプリのページを閲覧して、最終的にアプリをインストールするまでのコンバージョンが増加する。
有能なアプリマーケターは、流れに沿ってユーザーに内容を紹介するためにもスクリーンショットプロモーション画像を利用する。それぞれの画像に前の画像との関連性を持たせれば、ユーザーにスクロールを続けさせてアプリの内容に興味を持ってもらえる。
下の画像は、Haiku Deckの友人たちがスクリーンショットを効果的に使用しているすばらしい例だ。
オフ・メタデータASOの要素
自分では直接管理できない部分でも、ASOで最高のパフォーマンスを上げるために力を注ぐべき点がいくつかある。
評価
アプリにはすべて評価(レーティング)が付いている。マーケターとしての役割は、自分のアプリが全体として高い評価を得るようにすることだ。
評価はアプリストア検索のパフォーマンスに直結しており、アプリストアにおける検索順位決定要因だと考えられている。
レビュー
評価と同様、アプリについてユーザーに好意的なレビューを書いてもらうようにしよう。これらのレビューは、アプリページの閲覧からダウンロードにいたるコンバージョン率を上げる助けになる。
評価やレビューを改善する役に立つすばらしい製品として、Apptentiveをチェックしてほしい。
リンクビルディング
これについてはもっと後で取り上げるが、ここでは、「アプリストアのアプリページへのリンクビルディングが重要なのはGoogle Playのアプリだ」と述べるにとどめておこう。
みんなはSEOに関わる人たちなのだから、どうやればいいかはすでに知り尽くしているはず!
アプリストア検索におけるiOSとGoogle Playの違いは?
プラットフォームが違うということは、プラットフォームによって注力すべき点も異なるということだ。iOSとGoogle Playは完全に独立しており、振る舞いもかなり異なる場合が多い。違いは広範にわたるが、主な違いは何だろうか。
一般に、違いについての考え方は「グーグルはグーグルで、アップルはアップルだ」ということだ。まあ当たり前だが、実際そうだ。
グーグルはウェブから学ぶためにインフラと技術を構築し、多くの異なるデータポイントを使って意思決定をしている。
一方のアップルは、ウェブのインデックスを持っておらず、メディアを背景にしている。
迷った場合は、どちらかの立場に身を置き、それぞれの歴史を経験したつもりで、どうするだろうかと想像してみよう。
以下に、いくつか具体例を挙げる。
説明 vs. キーワード
iOSにはキーワードフィールドがある。特にiTunesが音楽を背景にしていることを考えると、それも容易に納得できる。楽曲にはタイトル(アプリのタイトル)と演奏者(開発者名)が登録されており、次に楽曲について説明するいくつかのキーワード(「モータウン」や「レゲエ」など)が必要になる。
アップルはApp Storeを開設する際、すでに音楽向けに構築していたのと同じ技術を採用した。つまり、アプリのタイトル、開発者名、キーワードの3つだけが、アプリの検索を理解するのに使われる要素だったということだ。iOSでは「説明」が考慮されないことに注意しよう(ただし私は、これが近く変更されると予想している)。
一方、Google Playにはキーワードフィールドがない。説明フィールドがあるだけだ。したがって、iOSが説明を考慮しないのに対し、Google Playでは説明しか登録できないため、ウェブ上とまったく同じようにする必要がある。つまり、スパムだと思われることなくコンテンツをキーワードに合わせることだ。
Google PlayでPageRankを活用する
iOSとGoogle Playのもう1つの大きな違いは、グーグルがウェブのPageRankやリンクグラフを利用できるのに対し、アップルは利用できないという点だ。
そのため、グーグルはアプリの詳細ページ(たとえばhttps://play.google.com/store/apps/details?id=com.symantec.mobilesecurityなど)への外部リンクをGoogle Play検索での要素として考慮するのに対し、アップルにはそのような要素がない。
アプリマーケティングの成果を測定する方法
ウェブマーケティングの成果は測定できるが、それと同じ方法でアプリマーケティングの成果を測定するのは、極めて難しい。インバウンドチャネルを扱っている場合は特にそうだ。
測定についてはまだ初期段階にあるが、マーケターが成果を把握できるよう支援するツールやサービスが続々と登場しており、絶え間なく進歩している。
以下に、現在のアプリストアで成果を測定する方法として私が推奨するものをいくつか挙げる。
検索順位
アプリストア検索の成果を測定する優れた方法は、ウェブと同様、重視するキーワードで検索した場合の順位を長期にわたって追跡し、競合アプリと比較することだ。
検索順位の追跡は、ASO担当者が成果を把握するのに極めて有効だ。
トップチャート
トップチャート(人気ランキング)、とりわけあるカテゴリ内のトップチャートは、同じカテゴリ内にある他のアプリと比較して成果を把握する場合にとても役立つ。
評価とレビュー
評価とレビューはASOで役立つだけでなく、アプリマーケティングでの成果を長期にわたって追跡できるすばらしい指標にもなる。
自社のアプリについてユーザーが何をどのようにコメントし、評価しているか追跡しよう(さらに言えば、ユーザーの声を聞くことはキーワード調査にも大いに役立つ)。
ダウンロード件数
さらに一歩進んで、検索順位をダウンロード件数に関連付けると、ASOの改善がアプリのパフォーマンスに及ぼしている効果を把握できるようになる。
iTunes Connectを併用し、検索順位とダウンロード件数を重ね合わせて比較するのも1つの手だ。そうすることで、任意のキーワードがダウンロード件数とどれほど密接に関係しているかを視覚的に確認できる。完璧ではないが、役に立つことは間違いない。
コンバージョンと売り上げ
つまるところ売り上げは、把握しておくべき最も重要な評価指標だ。当然ながら売り上げも追跡して、同じように検索パフォーマンスと関連付ける必要がある。
さらには、コンバージョン率を長期的に観察するべきだ。ユーザーがアプリと触れ合う機会は以前よりもはるかに増えているため、ASOの改善に伴ってコンバージョン率が急騰するアプリを目にすることも多い。
アプリマーケティングに役立つツールとリソース
本記事の締めくくりとして、アプリマーケティングのプロセスに役立つツールとリソースをいくつか簡単に紹介したい(すべて英語)。
シルヴァン・ゴーシェ氏は、彼の会社(Apptamin)のブログで優れたコンテンツを書いており、アプリマーケティングやASOについても鋭い知見を提供している。
Apptentiveについてはすでに触れたが、評価やレビューに影響を及ぼし、その過程でユーザーから貴重なフィードバックを得るには、私の知る限りこれが本当に最善の方法だ。
Flurryは、無料の優れたアプリ内解析製品(Flurry Analytics)や魅力的な有料広告製品(AppCircle)を提供しているだけでなく、アプリのエコシステムに関する非常に興味深いデータもブログで公開している。
有料広告のアトリビューションをいくらかでも把握したい場合は(残念ながらインバウンドは抽出できない)、MobileAppTrackingが最適だ。これを利用すると、選択した評価指標に基づいて、パフォーマンスが最も良いのはどの有料チャネルかを把握できる。特に嬉しいのは、利用した分だけしか料金がかからないことだ。
これはもちろん、図々しいとは思うが、自社製品の宣伝だ。とは言え、当社の製品はアプリストア検索におけるパフォーマンスを把握するすばらしい方法であり、キーワード調査にも役立つ上、競争に勝つための情報も提供する。独立系の開発者には無料(永久に!)のツールを配布しており、最大規模の企業顧客にいたるまで、どのような顧客にも対応できる。
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