サーチ is DEAD !? これからのサーチの在り方、活用方法とは?
by Yahoo!
「サーチ is DEAD !? これからのサーチの在り方、活用方法とは?」――インターネットにおける検索とユーザーの関係がどう変わって来ているか、そしてそれらに対して広告主はどう対応すべきなのか。
ad:tech tokyo 2013の2日目に開催された公式セッションでは、アウンコンサルティングCOOの菊池氏をモデレーターに、ヤフーの絹田、アイレップの紺野氏、グーグルの小野氏がスピーカーとして登壇し、サーチに関するセッションが行われた。
改めて「サーチ」とは?
まず、モデレーターの菊池氏から会場に対して、「サーチってなんですか?」と問い掛けられた。
「ユーザーが意識的に何か情報を求めにいくときの行動
」
「ユーザーの欲求を文字に起こす行動
」
といった回答が会場から寄せられたのを受けて、スピーカーも同様に「サーチとは」に関する見解を語った。
どうしてもサーチというと、いわゆる「運用型、後課金」の広告に注目が集まり、なかなか検索ボックスに文字列を入れる本来の意味で語られることが少なくなっている。
「人が何か情報を探す=検索キーワード、関連検索」などになっているが、歴史を読み解くとサーチがどれだけ重要かを考えていきたい。
(アイレップ紺野氏)
サーチは単純な「情報を探す」という所から、「買い物」「コミュニケーション」に発展してきた。サーチはその「エンジン」として、インターネットの活動に寄り添う人間の欲求を加速させるものだ。
(グーグル小野氏)
(2人に同意したうえで)
「買いたい」「探したい」という時には、それに紐づくキーワードを入力して検索する行動を想起する。
しかし、テクノロジーが発展するなかで、「キーワードを検索ボックスに入力する」のとはまったく違う検索方法も登場するかもしれない。
サーチは消費行動の中でより身近になっていくだろう。
(ヤフー絹田)
次いで、サーチの歴史と現状について、小野氏と絹田が紹介した。
2006年頃から従来型携帯向けの検索サービスが始まり、2008年からYouTubeとのパートナーシップが本格的にスタートした。
検索はその間継続して伸びてきており、検索ユーザーの欲求を満たすための主要な機能の1つとしてインターネットの発展に伴い伸び続けている。
そんななか、今一番考えなければならないのはタブレットとスマートフォンだ。
(グーグル小野氏)
ヤフーの調査でもスマートフォンでの検索は伸び続けている。また、タブレットやスマートフォンが普及することで、伸びがより顕著になっている。
(ヤフー絹田)
対して菊池氏と紺野氏から問い掛けられたのは、「スマートフォンもそうだが、PCでも、まだまだ活用されていない広告面があるのではないか
」という点。
それに対し、グーグルとヤフーの両者からは、次のように回答があった。
スマートフォンとPCで検索されるキーワードが違うことでのカバレッジの違いは出てくる。参入していない広告主が多く、まだまだ伸びる余地がある。
(ヤフー絹田)
広告の在庫については商品リスト広告を提供するなど、細かな検索に広告を表示する機能を追加している。
ある家電系の事業者では、家電の型番で検索されたときの検索結果に画像が表示されるようになったことで、トラフィックが20%近く増えるなどしている。
(グーグル小野氏)
マルチデバイスでのユーザー行動の変化
「マルチデバイス時代にサーチのされ方に変化は?
」という菊池氏からの質問に対しては、ヤフーとグーグルそれぞれから、利用状況に関する調査データが提供された。
思いつきで検索することが多いのはスマートフォン、計画的に利用するのはPC、タブレットは「ながら検索」
平日はデバイスごとにシーンに応じて使い分けが見られ、休日は傾向に差がない
よく検索されるのは、スマートフォンでは「人名」「Buzz」「グルメ」など、PCでは「企業名」「サイト名」など
スマートフォン、タブレット、PCそれぞれにデバイスに検索傾向の違いがある。
平日の時間帯による傾向をみていくと、「PCは日中に強い」「スマートフォンは朝方、昼間、夜半と常時使われる傾向がある」のに対して「タブレットは従来PCが強かった夜半以降に検索が増える」という傾向がある。
(ヤフー絹田)
1人あたり平均2.5デバイスを利用。87%がデバイスの引き継ぎ利用あり
スマートフォンで検索をスタートし、PC、タブレットに検索が引き継がれる傾向
デバイスの引き継ぎ起点は「同じ検索キーワード」が最も多い
「情報検索」「買い物」などの目的を達成するためにデバイスの使い分けが見られる。いずれもスマートフォンが起点となりタブレットやPCに行動を引き継いで最終的な購買などの活動につながっている傾向が見られる。
(グーグル小野氏)
では、こうした大きな変化が起きているなかで、広告主は何を意識してどうアプローチしていくべきなのか。3名のスピーカーそれぞれの立場から、次のような意見が出された。
本当にマルチデバイスを横断して個人を捉えて適切にアプローチできているプラットフォームは、まだ登場していない。
インターネット上のカスタマージャーニーのなかで、最も明確な意思表示をしているのが検索だ。DSPのような新しいプラットフォームもいいが、日本で最もデータを持つ配信プラットフォームであるヤフーとグーグル。この2社をどう使うかが命題となる。
(アイレップ紺野氏)
マルチデバイスのユーザー行動に加え、実際の店舗での行動、アプリの購入、使用などマルチチャネルのユーザー行動も課題となっている。
(グーグル小野氏)
今の検索では、キーワード以外にも「デバイス」「時間帯」「場所」といった情報が付加されている。消費者行動が多様化してきたなかで、こういったセグメント情報を含めて最適化していきたい。
(ヤフー絹田)
また、紺野氏からはマルチデバイス環境のユーザー行動にアプローチするための現状の配信プラットフォームについて、次のような問題提起があった。
リニューアルで現状のPCを基軸とした配信プラットフォームになったのは残念だ。理想的には、キーワードと想定ユーザーだけ指定すれば、あとは勝手に最適化される方式になるのがよい。
(アイレップ紺野氏)
これに対しグーグルとヤフーの両者から、次のように回答があった。
現状の仕様については基軸となるデバイスを切り替えるような機能を検討している。配信を自動化できないかということも検討している。
(グーグル小野氏)
配信の自動化は1つのキーだと思う。「デバイス」「時間」「場所」が伴った検索行動をセグメンテーションできるようにしていきたい。
またウェアラブルデバイスやテレビなど今後もさまざまなデバイスが登場することが予想されるが、パーソナルな部分はデータに基づいて追及し、運用負荷はオートメーションで解決いきたい。
(ヤフー絹田)
これからのサーチの在り方、活用方法とは?
今後サーチはどのように進化していくのか。
この質問に対して、すでにおこなわれている取り組みを含めて、両社がサーチの未来について語った。
検索されたキーワードの属性に基づいて、紐づく情報や関連を表示
Google Nowではユーザーの次の行動を予測し検索する前に情報を提示
検索とは欲求の発露。関連するキーワードを表示するなどして、ユーザーの行動を予測するパーソナルエージェントとして進化していく。
(グーグル小野氏)
リアルタイム検索で感情分析を取り入れ、ネガティブとポジティブの比率を可視化
コンビニエンスストアの店名検索で、店頭で使えるクーポンを提供
検索面の着せ替え、カスタマイズなど検索を楽しくする機能を提供
検索を「1つのメディア」として捉え、ユーザーである生活者に対して「良い情報を与え」「楽しんでもらい」「使ってためになってもらう」という観点で進化していく。
(ヤフー絹田)
紺野氏からも、サーチの将来の姿として「未来予測」が語られた。
検索は過去の情報をインデックスして最適な情報に導いてきた。いま、技術が進化したことで、現在の情報を伝えることもできるようになった。
これがより進化すると、将来の予測をすることで人の生活を豊かにすることができるかもしれない。
ビッグデータやDMPも同様で、今はまだストックした情報を元にした分析だが、クライアントの将来の事業を作れるようにならなければいけない。
(アイレップ紺野氏)
最後にセッションをまとめる形で、それぞれからコメントがなされた。
検索数自体は、デバイスが変わったり引き継いだりしながらも、継続して伸びている。アトリビューションやDMPという分野においても、サーチは重要な役割を果たしていることは事実だ。
また、グーグルの検索アルゴリズムのアップデートで検索体験の質が向上していることも見逃せない。
コンテンツの役割がますます重要になってくるので、そこにどうペイドを組み合わせていくかが重要になってくる。
(アイレップ紺野氏)
サーチの現状は「死んでいる」状態からは程遠い。
検索とはユーザーが何かを求めている行動だが、そこで良い検索体験を提供したい。それには、検索するユーザーも必要だし広告出稿する広告主も必要。そのマッチングの精度を、より高めていきたい。
(ヤフー絹田)
今日見てきたように取得できるデータが増えているが、それらが活用されているかというと、世界的に見てもまだまだ。
今日紺野氏から提起されたように、積極的に活用している方々と一緒にサーチを盛り上げていきたい。
(グーグル小野氏)
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