誰でもできる「企画書」の書き方

書いた企画書を通すコツとは? 企画書提出に向けて、攻略すべき5つのポイントを実例で紹介

書いた企画書を通す5つのポイントを意識して、企画の決定率やコンペの勝率を格段に上げよう。

企画書は採用されて初めて意味を成します!

せっかく書いた企画書がボツになるのを防ぐには、企画書提出まで細心の注意を払わなければなりません。

過去3回の連載では企画書を書くための心積もりとポイントを紹介してきました。これだけでも「企画書を書く」ことが身近に感じられ、「企画書を書く」ことに対する精神的な余裕ができてきたのではないでしょうか?

ただし、企画書はきれいだろうが、汚かろうが採用されて、実行してはじめて意味があります。企画書は通ってなんぼです!

そこで最終回の今回は、企画書がどういうフローで採用されるか、どのタイミングで審議に掛かるのか、いつも忙しい決裁者をどう説得するのかといったことを、「企画書の決定率を上げる5つのポイント」として紹介します。確実に企画書を通すためには、提出するまで細心の注意を払ってください。

ポイント①
企画書を書く前に、自分の書いた企画書がどういうフローで採用まで至るのかを確認し、理解する!

本気で企画書を通したいのであれば、企画書は提出する場所、企画書を読む人によって伝えなくてはいけないことが変わることを理解しましょう。そのためには、どのようなフローを通って企画書が決裁に向かうかを100%理解して作戦を立てなければいけません。

  • 社内全体に提案する企画書
  • 部内の上司に提出する企画書
  • 社外のコンペに提出する企画書
  • 社外の担当者に提出する企画書

など会社や読む人によって、押さえるべきポイントは異なるものだと考えてください。

通る企画書のポイント①採用フローを把握する

たとえば、官公庁のコンペに多いケースですが、数十社の応募があり、第一次審査は書類のみ、第二次審査ではプレゼンできるといった形のコンペ。こういうコンペの採用フローでは、コンペに提出する企画書は予選通過を意識した企画書を提出しないといけません。つまり、プレゼンしないと伝わらないような企画書では通らないということです。

大手広告代理店のように、名前だけで「この会社のプレゼンは聞いてみよう」と思ってもらえるところは、すでにそれだけのアドバンテージがあります。社名だけでは予選通過が難しい場合は、現場の担当者が、「この企画はプレゼンで詳しく聞いてみたい」もしくは、「この企画は自分では判断できないから上に上げておいたほうがよさそうだ」と思う資料に仕立てあげる必要があるのです。

説明量で安心感を与えられるのであれば、企画書のページ数を増やすのが効果的かもしれませんし、企画のインパクトが好きそうであれば、タイトルページやイントロに力をかけるのも有効でしょう。安心感という意味では、見積もりを細かく作り込むなどもありです。

一方で、普段から一緒に仕事をしていて、共通の理解がある人への提案であれば、要点だけを押さえたシンプルな企画書のほうが好まれます。ただ、その場合も提案者と決裁者が一緒かどうかは注意しておく必要があります。決裁権のない人と意気投合して、結局、決定まで至らないというのはよくあるケースです。

その企画書が自分の手を離れた後、どういうルートを経て決定に至るのかは必ず理解しておいてください。もし企画の提出者が決裁者ではなく、その企画書を元に決裁者へ稟議を上げるのであれば、その人が決裁者に説明しやすいように稟議用の基本資料などを、別添として準備して渡しておくというような工夫が必要です。こうすることで、稟議に上げられる確率も格段に上がります。

ポイント②
どのタイミングで自分の企画が審議にかかるか考える!

ポイント②は企画書を見てもらう、プレゼンをするタイミングについてです

通る企画書のポイント②どのタイミングで企画が審議にかかるか把握する

企画書は、企画書を見てもらうタイミングによっても決定率は大幅に変わります。コンペであれば、自社の前にプレゼンする企業はどこなのか? 社内であれば同じ日に上がる議題は何なのか? 部内であれば上司は今何の仕事をしているのか? などをすべて把握したうえで提案すれば決定率はまったく変わります。

これもいくつか例を挙げます。

コンペの場合は、何社コンペで自分の会社は何番目か、前の企業はどんな提案をしていそうかをしっかり考えてください。どんなに企画が良くても、順番によっては審査員の疲労がたまり、集中力が下がった状態ではその魅力が伝わりません。

特にコンペの順番が後になればなるほど企画は目新しさを失い、審査員も「もうあそこでいいかなぁ」なんて考え始めています。その場合は目線をそらすために、コーヒーブレイクを設けるなど、演出を一発いれるのもありでしょう。

たとえば私が実際にやっていたことを紹介すると、朝一のプレゼンのときなどは、「眠気覚ましにコーヒーでもどうぞ!」といった形で、スタバなどで購入したコーヒー配りました。結構コンペのプレゼンのときは、審査員は休みなしで審議していることが多いので、こっちからコーヒーブレイクいれてあげると雰囲気良くスタートできますよ。

一般の人に使えるかわかりませんが演出としては、クライアントに「へぇ」ボタン配ったり、着ぐるみから登場したりすることもありです。pptの前で同じようなスーツを着たサラリーマンが話すだけでは、おもしろくないですからね(笑)。こんな一風変わった演出を考えてみるのも手かもしれません。

また、自社の前にプレゼンをする企業が大手で王道の提案をしてきそうであれば、敢えて王道から外した提案をすることも考えなければなりません。コンペは戦いです。同じような提案をした場合は、知名度のある大手には絶対勝てないと考えて、ゲリラ戦を挑むことも視野にいれておきましょう。

社内提案の場合は、提案者の状況によって通る確率が大きく変動します。決裁者が、自分の仕事が忙しくて心に余裕がなかったり、何か問題を抱えていて新しい取り組みに対して動きにくかったり、という状態のときは、提案する時期を考え直してください。企画は一度提案して落ちてしまうと、鮮度を失い二度目のチャレンジで通る可能性は格段に落ちます。

一番良いのは、その決裁者が、何か事を成し遂げた後に様子をみて、さらりと提案することです

ただ、なかなかそんなタイミングもないと思いますので、社内の場合は事前に細かく口頭で探りを入れておきましょう。たとえば「こんな企画ってどうですかねぇ」とか「こんなことやれたらおもしろくないですか?」などステップを踏んでおくことで、お互いの理解が構築されていき提案時の決定率がアップします。

ポイント③
企画書を読む決裁者は忙しくて、時間がない!

企画書を通すためのポイント③は、決裁者というのはみんな忙しいというのを理解しておくことです

どんなにすごい企画書でも、厚くて全部読まないとわからない企画書は絶対に採用されません。要点は簡潔にまとめておく必要があります。

また一生懸命思いを込めて、厚い企画書を書いてしまった場合、どんなに目次などを作ってわかりやすくする努力をしていても、見た目だけで読むのが面倒に見える、なんてことにもなりかねません。プレゼンや説明ができればよいのですが、すべてがそう思うようにはいきません。

そこで、この問題への対応策として、私の場合は「普通の企画書」と「A3まとめ資料」を用意しています。参考までに過去に私がやったプレゼン資料を載せておきます。

通る企画書のポイント③
普通の企画書
通る企画書のポイント③
A3まとめ資料

「A3まとめ資料」では、スケジュール表を作り、そこに実施内容を一目でわかりやすくまとめます。これはプレゼン時にも非常に有効です。通常プレゼンで資料を配布してしまうと、プレゼンを無視して資料をめくられたりしますよね。そこで、プレゼンをする際には「A3まとめ資料」だけ配布して、本編は後で配布します。そうすると「A3まとめ資料」で全体の流れを意識してもらいつつ、実施内容の詳細はプレゼンを聞いてもらえるようになるのです。

ちなみに上図で紹介したプレゼンのときは「スケジュール」と「企画全体のサマリー」の二枚を配布しました。重要なのはまとめ資料で、企画の主旨をプレゼンする前に把握してもらうことです。そのため多いときは四枚ほどで出すこともあります。また、これら別途配る企画書は、プレゼン資料からの抜粋ではなく、A3まとめ資料のためだけに制作していました。

ポイント④
企画書を実行する担当者は、新しい業務は増やしたくない!

ポイント④は、社内提案や日々の提案現場で注意しないといけないことです。特に提案する相手が通常業務で忙しい人の場合、よっぽどのことでないと無駄な業務は増やしたがりません。

つまり、「新しい提案を受けたくない」と思っている場合があります。そうなってしまうと、どんなに新しく、革新的な提案であっても通るわけがありません

通る企画書のポイント④新しい企画は受けたくないということを理解する

そういう場合は、まず手間をかけずに成果が上がるように見える企画書を作らないといけません。

その企画を実施した場合の仕事量、タスク、メリットを明確にまとめ、責任者として自分が立つので、後はこの企画の承認とチェックだけをしてください。というお願いの仕方にするのがベストです。

そして、相手の手間を減らしていくために、こと細かくヒアリングを行い、企画実現までのハードルを取り除いていきましょう。この作業を一度すると、相手の会社の決裁フローや社内作業フローをかなりの深さで理解できるので、後々の提案でも非常に優位な提案ができるようになります。

さらに、前述のポイント①をしっかり押さえておけば、相手の社内稟議書、別添資料などもすべて事前に準備して差し上げましょう。後は提出するだけ、結果を待つだけの状況にいかにもっていくかが勝負のポイントです。

ポイント⑤
自分で企画書の結果にコミットする!

最後のポイントは「自分で企画の結果にコミットする」です。当たり前ですが、ここは非常に重要です。

通る企画書のポイント⑤企画の結果にコミットする

特に社内提案の場合、「自分がやるからやらせてくれ!」は非常に説得力が出ます。私はサラリーマン時代、何度も社内で「失敗したら全額給料で補填するからやらせてほしい」といって自分の企画を通してきました。

実際のところ所詮はサラリーマンですので、失敗したからといって首になるかというとなりませんし、まぁ、ボーナスが減るか、降格するかくらいなので、大した影響はありません。問題は、そう言い切れるくらいまでに自分の企画に執着し、詰め切れているかです

社外のお客様でも同様です。「自分が一番その会社のことを知っている。考えている。だから自分じゃないと駄目なんだ」ということをお客様に伝えることができれば、企画の派手さ、目新しさがなくても採用してもらえる確率が上がります。結局、企画書において大切なのは見た目ではなく「結果」なのです。そこはしっかり理解しておきましょう。

◇◇◇

以上、5つのポイントをすべて理解しておけば、企画書の決定率は格段に上がります。逆に、この5つをすべて押さえておけば通らない企画書はないと言っても過言ではないでしょう。

提案とか、企画とかいうと、どうしても重たく聞こえてしまうかもしれませんが、そんなことはありません。目標を明確にして、提案相手を見定めて、より良い方法をどんどん提案していきましょう。それでは、短い間ではありましたが、少しでも多くの人が私の連載から一歩を踏み出してくれることを祈っております。ありがとうございました!

※画像:ThinkStock/iStock/Ponkrit
ThinkStock/iStock/Jacek Kita
ThinkStock/iStock/briang77

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