ブランドの印象をつくるために同じ色を繰り返して使う方法――色彩とコミュニケーション#4
前回のコラム※「はじめてWEB」は
サービスを終了しましたでは、色をブランド作りに使う方法について、大まかに説明しました。色によるブランディングの中で最も重要なことは同じ色を繰り返し使うことです。今回はこの色の繰り返しについて、もう少し詳しく説明していきます。
目に触れられやすいのはWebサイトと名刺
企業や店舗に関する色はいったん決めてしまうとなかなか変えることはできません。既に決まっている色を変えるといくらかのコストが掛かってしまいます。もし一度に色を変えられないのであれば、少しずつ色を変えていくのでも構いません。
まずは実際に対面しなくても見られる可能性の高いWebサイトを最優先とし、その次に名刺を変えるようにします。また店舗などであれば名刺よりも実際に目にする機会の多い看板やユニフォーム・サービスメニュー・ショップカードなどを変えていくようにします。
また店舗においては、両隣の店との色の差を付けなければ目立ちにくいこともあります。周囲にある店舗の色なども考慮に入れる必要があるでしょう。
業種によって目に触れられやすい物は違うはずです。どこがよく人の目に付くのかを考え、コストが掛からない物から順番に変えていきましょう。
色を繰り返すいくつかの方法
色で印象を残すためには大きく色を使うのがもっとも効果的ですが、常に全面に大きく色を使えるわけではありません。
例えば会社案内のパンフレットを作る場合に、表はシンプルに会社のロゴと社名、会社案内の文字だけを配置するという場合には、背景色としてキーカラーを使い、ロゴや文字は白抜きにするという方法を使うこともできます。また部分的に色を敷くという方法も使えるでしょう。
写真を表紙に使いたい場合、写真に伝えたい色が含まれているとは限りません。そのような場合には2ページ目以降の見出しやイラストなどにキーカラーを使えばよいのです。それでも十分にキーカラーのイメージは伝わっていきます。
あるいは名刺などの場合、表面にはシンプルにロゴと氏名・会社情報を掲載しておき、裏の色をキーカラーで大きく塗るという方法も考えられますし、また個人の持ち物(文具やネクタイなど)に色を使うことも出来ます。
ウェブサイト単体や名刺単体だけで考えずに、様々なものの色を合わせて色でイメージを伝えていくことは可能です。必ずしも一カ所に大きく色を使わなければならないわけではなく、少しずつでも様々な場所で色を使うようにすれば、徐々にその色のイメージは浸透していきます。
もし制作物を外注する場合には、キーカラーを指示し、その色をできるだけアピールしたいという旨をきちんと伝えるようにしましょう。提案力のある制作者であれば、上手な使い方を提案してくれるはずです。
色は数値で扱うようにする
色は大きく使うとより明るく鮮やかに見えるという「心理的な」効果があり、それによって本来は同じ色であるはずの色が違って見えることがあります。
しかし仮に違うように見えても、効果はあくまでも心理的なものであり、色が間違っているわけではありません。キーカラーを決める際には、色を画面表示用(RGB値)、印刷用(CMYK値)を決めておき、どのような場合にでも同じ数値の色を使うように決めておきましょう。
また看板や建物などの塗料による塗装が想定される場合に出来るだけ同じ色で揃えたい場合には、日本塗料工業会などの発行する色見本帳で色を決めるようにします。色見本帳にない塗料の特別色は、追加費用が掛かることもあるため、標準の色見本の中から色を選び、その色を基準にして他の色を選ぶ方法が無難です。
ただし、異なる媒体(Webと印刷・塗装・樹脂への着色)などで完全に同じ色を再現するのは非常に難しいため、数値を指定していても色ズレが生じる場合もあります。特に印刷は紙質などによっても印刷結果が左右されますので、そのような場合には、見た目に従って色を調整することもあります。
重要なのは違う媒体の色を並べた時に、「まったく異なって見える」ことのないようにしておき、様々な場面で多くの人目に触れるように努めることです。
このコーナーのコンテンツは、KDDI提供の情報サイト「はじめてWEB」掲載の「エキスパート(専門家)コラム」の情報を、許諾を得てWeb担の読者向けにお届けしているものです。
※「はじめてWEB」のオリジナル版は掲載を終了しました
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