お客さん来てはるのに、売上ぜんっぜん伸びへんねん!【オカンでもわかるアクセス解析の基礎】
この記事は、姉妹サイトネットショップ担当者フォーラムで公開された記事をWeb担当者Forumに転載したものです。
「ネットショップを作ったのに誰も見に来てくれない!」と腹を立てていたオカンに、Web集客の基本を教えてあげた僕。あれからひと月。オカンはあれ以来まったく連絡をよこさなかった。僕は「オカンの中でブームが去ったか、面倒になって放り出したのかな?」と思っていた。でも、うちのオカンはそんなにヤワじゃなかった……。 イラスト◎浮蓮 要
登場人物
またも突然、オカンがやって来た
毎日更新してるのに、ぜんぜん売上が上がらんで! あんた私にウソついたんか!?
えっ。何の話!?
話を聞くと、どうやらオカンはSNSの投稿とアフィリエイト広告をすぐに始めたらしい。少しずつ売れてきたのでSEO施策にも手を出して、さらに売上を伸ばそうと画策したようだ。
あんたが前に言ってた「検索のランキング順位上げるためには最新の情報に更新するのが大事」ってやつ! あれやろ思てな、毎日アタシの最新コーデ載せる「今日のキミちゃん」(注:オカンの名前はキミエである)コーナーをネットショップに作ったんや! みんなアタシみたいにオシャレになりたいやろからなぁ。
……うそでしょ。
それを毎日更新してたのに!! 全然売上が上がらへんねん!!
更新してすぐ売上が上がるわけじゃないよ。
……!!! でもうちのショップに来る人は増えてるんやで!
どうしてわかるの?
本当だ。確かにアフィリエイト広告から流入はあるみたいだね。でもこれ、アフィリエイト広告の結果だけで、SEO施策をした結果についてはわからないよ……?
ぐ……! じゃあどうすればいいんやー!
それはね……。
Googleアナリティクスを見てみよう
オカン、「Googleアナリティクス」って聞いたこと……。
ない。
そうだよね。GoogleアナリティクスはGoogleが提供している、Webサイトを解析するための無料ツールなんだ。オカンのサイトにどんな人がどこから来て、どのページを見ていたかを調べることができるんだよ。サイトのどこを直せばいいか、それを探すための分析ツールって感じかな。
Googleってのは、色んなことに手ぇ出してがめついなぁ。
あんまり変なこと言うと、この記事も順位下げられちゃうよ。
すまんすまん堪忍やで。で、どうやって使うんや?
まずは、Googleアナリティクスのタグを入れてからなんだけど……あれ? もう入ってるね。オカン、タグの設置なんてできたんだ。
タグ? なんのことや? そういえばあんたの姉ちゃんがなんかカチャカチャやっとったけどなあ。
……(姉ちゃん、さすがだ)。
で、どうやって使うんや! はよ!
Googleアナリティクスを使うには、ここの管理画面に入るんだ。レポート画面を見て最初に出てくるページがこれ(画像)。ざっくり説明すると、[ユーザー]でどんな人が来ているか、[集客]でどこから来ているか、[行動]でどのページを見ていたかがわかるんだ。
[集客]の[すべてのトラフィック]→[チャネル]を開いてみて。
これか。なんや色々書いてあってわからん……。
アフィリエイトは確かに流入してるね。検索は……全然みたいだ。あ、SNSは割と来てる……。ふむふむ、なるほど。
自分だけ納得してないではよ説明してや!
……ごめん。ユーザーがどこから来たのかを示す「流入経路」はここでわかるんだ。
ユーザーがやって来る9つの入り口
Googleアナリティクスでは、「どこから入ってきたか」によって流入経路が振り分けられます。現在Googleで定義されている流入経路(デフォルトチャネルグループ)は下記の9種類です。
- Direct(ダイレクト)……直接URLを入力した時、お気に入りやブックマークからの訪問
- Organic Search(オーガニックサーチ)……検索エンジンの検索結果からの訪問
- Social(ソーシャル)……FacebookやTwitterなど、GoogleアナリティクスがSNSだと判断したサービスからの訪問
- Referral(リファラル)……リンクが張ってあるWebサイトからの訪問(ただしソーシャルからの訪問は除く)
- Email(イーメール)……メルマガなどからの訪問(パラメータを付ける必要がある)
- Affiliates(アフィリエイト)……アフィリエイト広告経由の訪問
- Paid Search(ペイドサーチ)……リスティング広告等、検索結果画面に配信された有料広告経由の訪問
- Display(ディスプレイ)……GoogleやYahoo!などのディスプレイ広告経由の訪問
- Other Advertising(アザーアドバタイジング)……その他の広告からの訪問
これを見ると、アフィリエイトとSNSからの流入が多いよね。オカンのコーデを物珍しく思ってきたのかもね。
ステキやと思って来てるんや! あほ!
……ごめん。でもやっぱり検索からはあまり流入が起きてないなぁ。
あんた、やっぱりウソついてたんやないの?!
ついてないってば~。
オカンのサイトの問題はどこにある?
流入はしてるのに、売上にそこまでつながっていないということは、どこから来たかは関係なくて、ショップ内に問題があるのかもしれないね。どこに問題点があるか見つけるために、次は[行動]を見てみよう。[行動]の[サイトコンテンツ]→[すべてのページ]を開いてみて。
偉そうに言いよってからに……。
Topページでの離脱はそんなにないのか。商品詳細ページの離脱と閲覧時間が気になるなぁ。あれ? 全然見られてないコンテンツページがある……。ふむふむ、なるほど。
2度目はないで。
……ごめん。ごめん。[行動]では、ショップ内でユーザーがどんな動きをしていたかを見られるんだ。この一覧はオカンのサイトの中でよく見られているページ順に並んでるよ。つまり一番見られているのは、この「/」マークのページ。Topページのことだよ。
で、さっきは何を納得してたんや?
絶対出てくる4つの用語
「僕」の説明の前に、これから使う用語を簡単に説明しておきますね。
- ユーザー数……指定した期間内にサイトを訪れたユーザーの固有の数
- セッション数……指定した期間内に1ユーザーがサイトに訪問してから離脱した回数。離脱とみなされるのは、①30分以上操作をしない時(ページの遷移や購入完了など)、②日付が変わった時、③サイトの流入の仕方(参照元)が変わった時
- PV(ページビュー)数……指定した期間内に見られたページの総数
- 平均ページ滞在時間……ユーザーが特定のページを閲覧していた平均時間
ふむふむ、なるほど。
(まだ説明してないのに納得してる……)Topページを見ると離脱率はそれほど高くないから、すぐに戻るボタンとかを押されていないってこと。オカンのサイトにちゃんと興味があってきた人が多いってことだね。
そらそうやろうなぁ。
で、次は商品詳細ページ。このページは、商品の魅力を伝えてカートに入れてもらうための大事なページなんだけど、閲覧時間が短くて、離脱率が高いみたい。
なんやて!!!………………つまりどういうことや?
……閲覧時間が短いってことは、すぐにページから離れてしまっているから、あまり内容を見てもらえていないっていう仮設が立てられる。で、離脱率が高いから、カートページに進まずにほとんど離脱してしまっている。
サイトを見たけど、写真が少ないしサイズも書いてないし、もしかしたら買いたいけど必要な情報がなくて、買うのやめちゃった可能性があるね。
……なるほど。
それと、この「/todays_kimmy/」ってページが全然クリックがされてないみたいなんだけど、kimmyってもしかして……。
!!!! これ、今日のキミちゃんコーナーやないの!
(なんでディレクトリ名はちょっとお洒落にアレンジしてるんだよ……お姉ちゃんの仕業か?)ページビューが1か月で5って……残念だけど、このページ全然見られてないよ。
(聞こえていない)
このページを毎日更新しても、見に来てるユーザーにとってはあまり有益でないとGoogleが判断したのかもしれないね。それでSEO施策の効果も出てなかったのかも。
(聞こえていない)
そういえばさっきアフィリエイトの管理画面を見た時にも気になったんだけど、オカンが全面に押しだされてるバナーのCTRが異常に低かったよね。
ん? しーてぃーあーるってなんや?
(そこは聞こえるんだ……!)CTRは「クリック率」といって、バナー広告が表示されたうち、どれだけクリックされたかの割合を表しているんだ。サイトの場合も同じで、Topページに来た人のうち、オカンのコーデ特集ページに遷移するバナーをクリックした人の割合のこと。
CTRが高けりゃいい……というわけじゃない
なるほどわかったで!! つまり「しーてぃーあーる」の高いバナーを作って、クリックされまくればいいわけやな!!
CTRが高ければいいっていうわけでもないんだ。
もうなんやのん……。
売上につなげるためにはクリックされることも大事だけど、ちゃんと買ってもらわないといけないよね。購入につながったものを見る指標として、「CVR」っていうのもあるんだ。
……。
……説明するね。CVRはコンバージョン率のことで、サイトに来た人のうち、購入とか資料請求みたいに成果(コンバージョン)をあげてくれた人の割合。
さっきのアフィリエイト管理画面の場合で見てみると、バナーAは10万回表示されて、5千回クリックされてるから5千÷10万でCTRは5%、サイトには5千人訪れて、そのうち100人が購入してるから、100÷5千でCVRは2%になる。ちなみに、オカンが全面に出てるバナーBは、CTRが0.4%でCVRが0.8%ってことになるよね。
……全然ダメやないか。
もちろんCTRを上げて、オカンのサイトに来てもらうのも大事だけど、まずは来てくれた人が安心して、スムーズに買えるように、詳細ページを充実させるのがいいんじゃないかな。あとオカンのコーナーとバナーは……ね。
……ぶつぶつ……
オカン……。わかるよ、せっかく頑張ってたのにこんな結果で。でもさ、僕がウソ言ってないことはわかってくれたよね?
……ぶつぶつ……
……オカン?
……SNSとアフリエイトで人は来てるんや、詳細ページを変えてしーぶいあーるを上げればいいんや!
そんな簡単に言うけど、難しいと……。
早速サイト改善やー!!!! ほな!!
あ、[ユーザー]の説明してないけど……。まぁいいか。
[ユーザー]でわかることとは?
オカンは聞かずに行ってしまいましたが、[ユーザー]では、どういったユーザーがサイトに訪れているかを知ることができます。
年齢・性別、使っているデバイス、どこに住んでいるかなどもわかるため、「狙っているターゲットにちゃんとアプローチできているか」「実はこんなユーザー層が多い」といったことがわかります。
─2週間後─
オカン、才能のかたまりかもしれんなぁ! 売上倍増やでー!
今回覚えたいアドテク用語
imp(インプ=インプレッション)
広告が表示される回数。
10インプレッションであれば、広告が10回表示されたことを指す。
CV(コンバージョン)
広告主のサイトに訪れたユーザーが、あらかじめ決められていた成果となる行動(購入、問い合わせなど)を行うこと。
CTR(シーティーアール)
クリック率のこと。「Click Through Rate」の略で、表示された広告がクリックされた割合。広告クリック数 ÷ 広告表示回数で算出される。
CVR(シーブイアール)
成約率のこと。「Conversion Rate」の略で、Webサイトに訪れたユーザーのうち、コンバージョンに至った割合。広告の場合はバナーのクリック数はサイト訪問数と等しいので、コンバージョン数 ÷ 広告クリック数で算出される。
【混乱しがち!】「UU」と「SS」と「PV」の違いをおさらい
ユーザー(UU)
指定した期間内にサイトを訪れたユーザーの固有の数。
セッション(SS)
指定した期間内に1ユーザーがサイトに訪問してから離脱した回数。離脱とみなされるのは、①30分以上操作(ページの遷移や購入完了など)をしない時。②日付が変わった時。③サイトの流入の仕方(参照元)が変わった時。
ページビュー(PV)
指定した期間内に見られたページの総数。
今回覚えたいGoogleアナリティクス用語
離脱率
ユーザーがサイトから出ていくことを「離脱する」と言います。離脱率は、あるページにおいて離脱してしまったユーザーの割合を表すので、これが高いほど、そのページに何か問題がある可能性があると言えます。
似たような言葉に「直帰率」がありますが、こちらは訪問した最初のページ(=ランディングページ)で離脱してしまったセッションのことを言います。
平均ページ滞在時間
ユーザーが特定のページを閲覧していた平均時間。こちらも似たような言葉に、「平均セッション時間」がありますが、これは1セッションの平均閲覧時間なので、特定のページでどれだけ見ていたかはわかりません。
オリジナル記事はこちら:お客さん来てはるのに、売上ぜんっぜん伸びへんねん!【オカンでもわかるアクセス解析の基礎】(2017/04/05)
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