SEOに取り組む組織の規模は? 施策の優先順位は? 役立つツールは? 米国SEO専門家240人調査(後半)
「SEOに取り組む組織」「SEO施策の優先順位」について今回はレポート
企業規模を問わず、SEOに取り組む社内チームは2~5人がもっとも多い。
チーム規模が大きいほど、SEOの成功を実感している担当者が多い傾向にある。
SEOのチームが直面するもっとも重要な課題は、適切なコンテンツ作りである。次いで多いのは、費用対効果の実証である。
コンテンツ制作の戦略として、検索インテントの把握がもっとも重要な要素である。
本記事は、前回の記事「米国SEO専門家240人調査:SEOの月額予算は? 優先するのはテクニカル? コンテンツ? 効いた施策は?」の後編です。今回は、以下の調査結果についてお伝えして行きます。
- SEOに取り組む組織の規模、現在の課題など
- SEO施策の優先順位、役に立つツールなど
調査結果は、前回と同様に次の企業規模別に集計しています。
- エンタープライズ(従業員500人以上の企業)
- 中規模(従業員101人~500人の企業)
- 小規模(従業員1人~100人の企業)
SEOに取り組む組織
この項目では、SEOチームの規模や予算に伴う成功の実感、現在直面している課題などを調査しました。
自社のSEOチームは何名規模か?
→「2~5人」がもっとも多く、4割を占める
本調査でもっとも特筆すべきは、どの企業規模の会社においてもSEOチームは「2~5人」という構成がもっとも多く、全体の40%以上を占めていた点です。次いで多かったチーム構成は、どの企業規模でも1人というものでした。完全にアウトソースしている企業も少数ながら存在しています。
チーム規模は、どの程度SEOの成功に影響しているか?
→チーム規模が大きいほど、成功している
「SEOが成功しているか」という設問では、以下の4つから回答を選択してもらい、その回答をチーム規模ごとに振り分けました。
- 非常に上手くいっている。再現性もあり横展開している。
- 取組中だが成功しつつある。
- 取組中で現在もリソースやスケジュールを調整している。
- 取り掛かりはじめでまだまだこれからである。
回答者の主観に寄ってしまうものの、「より大きなチームを持っている企業ほど、成功を実感している」という傾向が見てとれます。
月間の予算は、どの程度SEOの成功に影響しているか?
→10万円は厳しく感じるが、極度に大きな予算でも認識は二極化
「SEOが成功しているか」という設問について、「SEOの月間予算別」でも回答を振り分けました。その結果、もっとも低い予算である「月額1,000ドル(およそ10万円)」では、成功しているという回答が少ない傾向があったものの、その他の金額帯では、それほど大きな差は見られませんでした。ただし、もっとも高い予算である「月額20,000ドル(およそ200万円)以上」の企業に限り、結果に非常に満足しているか、フラストレーションを感じているかのいずれかに、偏りがちであるという結果になりました。
SEOチームが現在直面している、もっとも重要な課題は何か?
→インハウスでは「コンテンツ制作」がやはり課題に
企業のSEO担当が持つもっとも重要な課題は、適切なコンテンツを作成することのようです。次点で投資やリターンについての実証があがっています。一部のSEO戦略は定量化しやすい一方で、結果がわかるまでに長い期間を要することもあり、因果関係を証明しにくい状況があります。
SEO施策の優先事項に関する考察
この項目では、SEO担当者が、以下の4つの主要領域で、どういった施策を優先的に取り扱っているのか調査しました。
- テクニカルSEO
- コンテンツ制作
- トラフィック分析
- リンクビルディング
あなたがモニタリングしているテクニカルSEOの問題は何か?(上位2つ)
→ページスピード、インデックス化、重複コンテンツがトップ3
まず、重要視しているテクニカルSEOの問題のなかから、2つを回答してもらいました。
どの企業規模でも、ページスピード、インデックス化、重複コンテンツが上位3つを占めている結果となっています。なお、この質問では自由回答欄も設けましたが、そこでは「モバイル対応」という意見が多く見られました。業界全体に影響が広がっていることが伺えます。また「すべて」という回答も一部で見られました。設計された包括的なSEOアプローチが重要な一方で、個々の要素を切り離して考えることが困難だと痛感しているのでしょう。
成功しているSEO担当者は、どのコンテンツを制作・最適化するかを、いかにして決定しているか?
→基本はキーワード調査
本調査の回答は、企業の規模に関係なく同様の回答となっております。
コンテンツの制作・最適化をする際にもっとも重要な要素は、キーワード調査でした。
コンテンツ戦略のためにキーワードを分析する際、もっとも重要な要素は何か?
→「検索インテント」と「検索ボリューム」が突出
ではキーワードについて分析する際には、何を重視するのでしょう? ここでは「検索インテント」「検索ボリューム」の2つが、3位の「競合分析」に大きく差を付けて、上位にあがっています。
SEOのための分析に役立つツールは何か?(複数回答可)
→多様なツールを使い分ける担当者像が浮き彫りに
この設問は、複数回答可能としました。依然として、「Googleアナリティクス」と「Google Search Console」は、トラフィックを監視し分析する際にもっとも重要なツールです。しかし、本調査の回答者は他のさまざまなツールも活用しており、「Moz」「Screaming Frog」、そして「SEMrush」が上位に位置しました。得られる知見の観点から必要とされていることが伺えます。最終的に、「10%以上の担当者が活用しているツール」として、「BuzzStream」や「seoClarity」を含む、14種の名前があがりました。
モニタリングしているなかで、もっとも注視している順位要素は何か?(上位2つ)
→ビッグ・ミドルの「キーワード」に注視、今後はモバイル要素も
全体的に、全国レベル(ビッグ・ミドル)の「キーワード」の順位を注視する傾向が見られました。続いて「モバイル要素」、そして「Googleアンサーボックス」に関心が集まっている状況です。内訳は非公表でしたが、エンタープライズ企業に限り、地域関連キーワードが、一般的なビッグ・ミドルキーワードよりも重要視されていたようです。
2016年と対比して、リンクビルディングにどれくらいの予算支出を予定しているか?
→リンク構築の予算は、維持あるいは増額へ
前回の記事で報告したように、企業SEO担当者は、もっとも実行が難しい戦略として「リンクビルディング」をあげています。こちらの設問では、回答者の85%が、リンク構築の予算を、維持ないし増額すると回答しており、会社規模を問わずこの傾向は同じです。
リンクビルディング戦略に関して、過去12か月間で試したなかでもっとも効果的だったものは何か?
→第1手段は広報活動。
会社の規模を問わずもっとも多かったリンク施策は「広報」で、次点が記事の「寄稿」と回答しています。エンタープライズで3位の「インフォグラフィック」は、企業規模が小さくなるにつれて限定的になるようです。逆に「ローカルサイテーション/ディレクトリ」の数値が伸びています。
リンクビルディング施策をモニタリングする際に活用しているKPIは何か?
→複数KPIを多重的に活用
リンク構築施策を見ていく際に、多くのSEO担当者は「Mozドメインオーソリティ/ページオーソリティ」スコア、そして「リンクされているルートドメイン数」を重視していました。しかし、他の要素も高い数字を示しており、多重的にKPIを活用していることが伺えます。
まとめ
デジタルマーケティングほど変化の激しい分野はあまりありません。その変化のペースも、まだまだ衰えないでしょう。メッセージングアプリ、人工知能、AR(拡張現実)、そして音声認識は、SEO担当チームが今後数年間注視すべきイノベーションの、ほんの一部に過ぎません。外部の変化だけでなく、当然のことながらGoogle自身も変化を続けています。
MFIがリリースされ、モバイルがより注目を集めていく中、今回の調査結果も、時期が変われば、大きく異なる結果になる可能性もあります。しかし、変化が続く状況は、業界全体にとって良い兆しです。SEOの担当チームが経験をより深めていくことで、SEOに対してより多くの予算を確保できることにつながるでしょう。
調査概要
- 調査目的:企業のSEO戦略における全体動向把握
- 調査方法:インターネットアンケート形式
- 調査対象:企業のSEO担当者
- 有効回答数:計240人(エンタープライズ規模企業:100人、中規模企業:52人、小規模企業:88人)
- 調査時期:2017年4月3日~5月12日
- 調査主体:seoClarity、North Star Inbound、BuzzStreamの3社
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