わかりづらいTableauの価格体系を解説。3つの料金プランの違いとは? #2
前回は、「Tableauとは何か? BIとは何か?」について解説しました。今回は、編集部も途方に暮れてしまった、Tableauの価格体系についてです。
編集部がTableauを契約した3月末の時点では、Tableau社のサイトには価格帯の説明がありませんでした。現在は、比較表&説明文が追加されていますが、編集部独自に表を作り直すなど、情報を整理し、さらにわかりやすく解説します。
Tableau導入の前に……やたら複雑な料金プラン、どう選択するの?
木田: TableauはみなさんのPCにインストール済みですか? Tableauは利用したい機能によって、PCソフトやWebサービスなど、複数の形態が用意されているので、それに合わせた導入が必要です。
四谷: 先生! 実は、そこがよくわからなかったんですが、私たちは、どの形態を導入すればベストなんでしょうか? 今回のレクチャーに合わせてサービス登録を行おうと思ったんですが、複数プランがあって、料金の差も大きくて、どれを選べばいいのか……。Tableauのサイトを見ても、どれを契約すればいいのか、全然わからなかったんです。
木田: まず、Tableauの製品としては「Tableau Desktop」「Tableau Prep Builder」「Tableau Server」の3つがあります。そして、チーム&組織向けに「Tableau Creator」「Tableau Explorer」「Tableau Viewer」という3つの料金プランで、これらのソフトを提供しています。ホントわかりにくいですね(笑)。
名称だけだと、なにがどう違うかわかりにくいと思いますが、各製品の役割としては、「Tableau Desktop」がPCにインストールし、データのビジュアライズや分析をするためのソフト、「Tableau Server」がダッシュボードの保存や、データの自動更新を行うサーバー側ソフトになります。Googleアナリティクスへの接続はTableau Desktopで行い、作成したViz(Tableau Desktopで作成したビジュアライズの結果)をTableau Serverに公開(パブリッシュ)すれば、その後の自動更新は、Tableau Serverがやってくれます。なお「Tableau Prep Builder」は、こうした分析に必要なデータの下準備(形式変換やクリーニング)を行うための専用ソフトです。
「Tableau Creator」「Tableau Explorer」「Tableau Viewer」という3つの料金プランの違いですが、おおざっぱに、以下のように考えてください。
Tableau Creator
「Tableau Creator」は、Tableau Desktop、Tableau Prep Builderのライセンスが1ユーザー分含まれています(1ユーザーは最大2台のPCでライセンスのアクティベートが可能)。また、加えて、Tableau Server(もしくはTableau Online)の1ライセンスが付与されますので、Tableau Desktopで作成したVizをパブリッシュできます。Tableau Server(もしくはTableau Online)にパブリッシュしたVizは、後述のTableau Explorer、Tableau Viewerユーザーに利用してもらえます。
Tableau Explorer
「Tableau Explorer」は、Tableau Server(もしくはTableau Online)のExplorer1ライセンスが使えて、1ユーザーあたり年間価格は税抜5万1,000円(Tableau Online利用の場合は6万円)です。ただし最低購入数は5なので、実質25万5,000円(Tableau Online利用の場合は30万円)からの導入になります。パブリッシュされたVizを修正したり、Tableau Serverに保存されたデータソースを元に新しいVizを作成できます。Web上でのVizの作成や編集はTableau Desktopほど高速にはできませんが、「ときどき自分独自のVizを作る必要がある」というユーザーに最適なライセンスです。
Tableau Viewer
「Tableau Viewer」は、Tableau Server(もしくはTableau Online)のViewer1ライセンスが使えて、1ユーザーあたり年間価格は税抜1万8,000円(Tableau Online利用の場合は2万2,000円)です。ただし最低購入数は100なので、実質180万円(Tableau Online利用の場合は220万円)からの導入になります。こちらは完全に閲覧に特化しています。編集的な作業は一切できません。
木田: データ分析の新規作成ができる「Tableau Creator」が必須ですね。そのうえで、データ分析をどれぐらいの規模のチームで行うのか、それをどれぐらいの社員が見るのかで、「Tableau Explorer」「Tableau Viewer」を追加してスケールしていくことになります。ExplorerやViewerに意味のあるデータをどれくらい提供できるか、Creatorは、センスやミッションの理解力が問われる根幹ですね。
最低購入数が設定されていることに不便さも感じますが、Tableau社としては、トータルソリューションとしてTableauを提供しており、「それだけの人数で使ってほしい」「企業におけるデータ分析を変えるんだ」という戦略的な意志を込めたラインアップなのだと思います。
ローカルPCにインストールする「Tableau Desktop」については、「 2週間使える無料体験版」が提供されています。これは機能制限もなく、Tableauのサイトから簡単な登録を行うことですぐに利用できるので、まずはこれでTableauを試してください。Tableau Desktopは、Windows版(64bit)とMacOS版が用意されています。
ちなみに「Tableau Desktop」のみの単体販売は行われていません。Prep BuilderやServerと同時に使用されて、初めて意味を成すんですよね。ここまでの説明で、Tableauの“世界観”が伝わったでしょうか?
四谷: ありがとうございます。やっとわかりました。本当にわかりづらい!!! まず、体験版をダウンロードして、授業を進めましょう。インストールに15分くらいかかりますので、皆さんご注意ください!
実際に契約してみるが、ここでも引っ掛かりポイントが!
編集部では、木田さんからどのTableauを契約すればいいかレクチャーいただいて、実際にTableau Creatorを購入してみました。なお購入時には、1ライセンス含まれているサーバー製品について、次の2つのどちらを選択するかも考える必要があります。
- Tableau Server(オンプレミスまたはパブリッククラウド):専用のサーバーを自身が用意して運用していく
- Tableau Onlineでの運用(ホスティング):Tableau社のサーバー上で運用していく
Web担編集部では、ホスティング版を購入することにしました。てっきり、オンライン上で購入作業が完結すると思っていましたが、Tableau社のサポートに一度問い合わせをしてから購入する仕組みでした。
問い合わせ後、見積書を発行してもらい、支払い方法を選択してようやく購入が可能となります。このように、電話やメールでのやり取りが数回必要で、Tableau購入完了までは数日かかるので、注意してください。
手続きが完了すると、メールでプロダクトキーが送られてきます。無料版をすでにインストールしているPCであれば、プロダクトキーを入力することで、そのまま継続利用できます。ブラウザで「Tableauカスタマー ポータル」にアクセスすれば、オンライン上でキー番号や契約状況を確認することが可能です。使っているPCでは、Tableauを起動した後、「ヘルプ」メニューの「プロダクトキーの管理」で、キー番号や登録状況を確認できます。
Tableau購入までのすったもんだを経て、ようやくTableauが利用できる環境が整ったので、次回は、いよいよ実際の利用を開始。分析の基本である「●●別の◆◆数」の考え方とTableauインストール方法について解説していきます。
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