企業もユーザーも嬉しい!「Instagramキャンペーン」を実施しよう【最終回】
本連載は、「企業のSNS担当者なら絶対押さえておきたい基礎知識」から「Instagramだからこそできる効果的な活用方法」「Instagramの最新トレンド」まで、これを読めば“明日にでもInstagramアカウント運用をスタートできる”よう、最前線のノウハウをわかりやすく解説します。
前回記事「無料でネットショップをオープンできる!『Instagramショッピング』を使いこなそう」では、Instagram上に店舗を開設できる機能「Instagramショッピング」の始め方を解説しました。
今回は、Instagram上で実施できる「キャンペーン」について、事例とともに解説します。
なぜInstagram? なぜキャンペーン?
「ブランド認知度向上」「来店誘導」などのさまざまな目的・ゴール達成に向けて、多くの企業がInstagramでキャンペーンを実施しています。
「なぜ、Instagramで実施するのか?」については当連載でお話ししてきたように、「主要SNSの中で今もっともユーザー数が伸びている」「注目を集めている」といった理由が挙げられるでしょう。
「なぜキャンペーンなのか?」については、企業からの一方的な情報発信ではなく、ユーザーが参加することでプレゼントがもらえたり自分の投稿がシェアしてもらえたり、“応募者も楽しめる・参加メリットを感じられる”点が大きいでしょう。
今回は、Instagramで実施しやすい以下の3種類のキャンペーンについて、事例とともにご紹介していきます。
- 「フォロー&いいね」「フォロー&コメント」 キャンペーン
- 「フォロー&ハッシュタグ投稿」キャンペーン
- 「UGC(User Generated Content)活用」キャンペーン
(1)「フォロー&いいね」「フォロー&コメント」キャンペーンは、“気軽に参加してもらえる”のが◎
高知県「リョーマの休日~自然&体験キャンペーン~」
https://www.instagram.com/naturallykochi/
今年の3月まで実施されていた「リョーマの休日~自然&体験キャンペーン~」(高知県 自然・体験型観光キャンペーン実行委員会)は、「アカウントフォロー&コメント」を応募条件としたキャンペーンでした(本キャンペーンは終了しています)。
- 高知県観光の公式アカウント「@naturallykochi」をフォローする。
- 当該投稿にコメントする。
- 毎月Instagramで5名に、高知県内の有名宿で使える1万円クーポンをプレゼント。
応募条件がシンプルで、かつ応募に際して心理的なハードルも低いこともあって、Instagramの1投稿に854件ものコメントが寄せられていました。
「フォロー&いいね」「フォロー&コメント」を条件とするキャンペーンの場合、以前の記事で紹介した「Instagram広告」もあわせて活用するなどして、1人でも多くのターゲットユーザーの目にふれるようにすること、応募者がコメントしやすくなるような投稿内容(例:クイズ、アンケートなど)にすることなどが大切です。それ以外は特に難しい部分はなく、業種を問わず実施できるため、キャンペーンの基本スタイルといえるでしょう。
(2)「フォロー&ハッシュタグ投稿」キャンペーンでは、“応募したくなる動機付け”がポイント
京浜急行電鉄「京急イエローハッピートレイン×父の日イエローリボンキャンペーン」
https://www.keikyu.co.jp/company/news/2018/20180419HP_18026NS.html
京浜急行電鉄が2018年に実施していた「京急イエローハッピートレイン×父の日イエローリボンキャンペーン」は、「京急イエローハッピートレイン」と、父の日のイメージカラー「黄色」にあわせて、父の日にちなんだ似顔絵や父子が一緒に写っている思い出の写真に感謝の言葉やエピソードを添えたものを募集し、電車車内に掲出するという企画でした。応募~当選発表までの流れは以下のとおりです。
- 京急電鉄公式アカウント「@keikyu_official」をフォローする。
- 「#父の日ありがとうギャラリー号2018」を付けて、作品に込めた想いやエピソードとともに投稿。
- 応募作品を、働くお父さんが日々乗車する京急イエローハッピートレインの車内に掲出し、「父の日ありがとうギャラリー号2018」として運行。その後、上大岡・京急百貨店でも展示(https://www.keikyu.co.jp/report/2018/20180711_18048TI.html)。
このキャンペーンの特長は、オンライン(Instagram)からオフラインへの行動(電車に乗る、百貨店に行く)を促す施策、つまりO2O(Online to Offline)の典型例であるという点です。
そして、キャンペーン参加者に与えられるインセンティブがユニークかつ非常に魅力的な点も注目したいところです。「自分の撮った/写った写真、自分の子どもが描いた似顔絵が、いつも使っている電車内に飾られている」という体験は、時が経っても色褪せることなく「父と子の、忘れられない思い出」として残り続けることでしょう。そしてその体験・思い出のそばに、いつも「京急の電車」がそっと寄り添い続ける、というのがキャンペーンの構図です。
コンバース「SHOES OF THE DEAD」キャンペーン
コンバースが実施していた「SHOES OF THE DEAD」キャンペーンは、履き込んだコンバースシューズの写真を投稿すると、新しいシューズが当たるというシンプルなプレゼントキャンペーンでした。応募~当選発表までの流れは以下のとおりです。
- 長年履き込んだコンバースシューズの写真をハッシュタグ「#ゾンビコンバース」を付けて、Instagramや他SNSに投稿する。
- 抽選で新しいコンバースシューズがプレゼントされる。コンバースオフィシャルサイトでも紹介される。
このキャンペーンでは、コンバースの靴を愛しぬきボロボロになるまで履いていたファンたちから、思い出と共にブランド愛が伝わる多くの応募があり、盛り上がりを見せたようです。「自分の“コンバース愛”をぜひ伝えたい・誰かに見せたい」というファンが多かったことに加えて、「オシャレな写真じゃなくてよい」という点が応募の心理的ハードルを下げたと考えられます。
(3)「UGC活用」で、親しみやすさをアップ!
UGCとは「User Generated Content」の略称で、「ユーザー生成コンテンツ」とも呼びます。具体的には「SNSの投稿やブログ記事、写真、動画、イラスト」など、“(企業ではなく)一般ユーザーによって制作されたコンテンツ”を意味します。掲示板や口コミサイトなどで以前から見られたものですが、SNSの登場と普及にともない、今はSNSマーケティング施策において重要な要素の1つとして捉えられています。これらUGCを、企業のInstagram公式アカウントの投稿に活用するキャンペーンが人気を博しています。
オイシックス公式アカウント
https://www.instagram.com/oisix/
オイシックスのInstagram公式アカウントでは、プロフィールに
と明記することでフォロワーからのUGCが増えるよう促しています。さらに、不定期にUGCをシェア(Instagramでの「リグラム」「リポスト」)することで「親しみやすさ」の醸成に成功しています。
UGC活用には細心の注意を
UGCを活用する際には注意すべき点がいくつかあります。これらをうっかり忘れたりするとトラブルや炎上のリスクがありますので、注意が必要です。特に以下の点は必ず確認しましょう。
- 「他人のUGCを2次利用・無断利用している」「著作権/商標権/肖像権などに抵触している」「公序良俗に反している」など、投稿内容に法的な問題がないか、事前に確認しましょう
- 投稿者に連絡し、UGCの「使用許可」をとりましょう。
- 「引用元のアカウント名」と「リグラム・リポストであること」を、自社での投稿内に明記しましょう。サードパーティーが提供しているリグラム・リポスト用アプリを使うのもよいでしょう。
商材によってUGCが発生しやすい・発生しにくいものが存在します。もし皆さんの企業が、UGCやクチコミが発生しやすい商材を取り扱っているのであれば、ぜひ施策の選択肢に入れてみましょう。
今回のおまけ情報:キャンペーン支援ツールは担当者の味方
Instagramキャンペーン実施にあたって、SNS担当者のみなさんは考えるべきことが山積みのはずです。たとえば、以下の項目は、キャンペーン企画段階で決めておく必要があります。
- キャンペーンのゴールとKPI
- キャンペーンのターゲットユーザー
- キャンペーンの予算
- キャンペーンの具体的内容(賞品は?応募方法は?)
- キャンペーンの告知・プロモーションプラン
- 当選者への賞品発送方法
など
さらにキャンペーンを開始した後も「応募者情報の収集」「抽選(選定)」「当選者への連絡」「キャンペーンの効果測定」などをすべて手作業で行おうとすると、とてつもない時間と労力が必要になります。ここはぜひ、「Instagramキャンペーン支援ツール」の導入を検討して、みなさんの貴重な時間・労力を確保されることをお勧めします。
以下、「Instagramキャンペーン支援ツール」をいくつか例示しておきます。使い勝手やご予算にあわせて、みなさんにぴったりのツールを見つけてください。
- ATELU
https://products.comnico.jp/atelu/jp/instagram-campaign - キャンつく
https://camtsuku.com/instagram/ - SmartHash
https://hash.smartpr.jp/
最終回に寄せて
全10回にわたりステップ・バイ・ステップでInstagramのビジネス活用に役立つ情報をお届けしてきましたが、今回で当連載はいったん終了です。毎回多くの方にお読みいただき、本当にありがとうございました!
当連載は終わりますが、Instagramは止まることなく進化を続けることでしょう。ぜひ、今後も最新情報をキャッチして、貴社ビジネスにInstagramを活用していただけたら幸いです。
改めましてご愛読ありがとうございました。また別の形でみなさんと再会できるのを楽しみにしております。
※記事内容は執筆時点の情報に基づいています。製品・サービスの仕様や価格は変更されている場合があります。
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