コンテンツマーケティングをプル戦術、プッシュ戦術、シェア戦術で考える(SEOか? ソーシャルか? の議論に代えて)
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「コンテンツマーケティング」と聞いて、皆さんはどんな手法をイメージしますか? 実際、アプローチはさまざまで、新しいSEOの手法ととらえる人もいれば、ソーシャルシェアを軸に考える人もいます。
コンテンツマーケティングを行っているオウンドメディアの流入元は、多様化しています。「SEOか? ソーシャルか?」だけでなく、その他の手法も考えて区分しなおすと、集客の本質が見えてきます。
今回ご紹介する「プル・プッシュ・シェア」の区分です。
プル・プッシュ・シェアの一覧表を大公開!
情報の伝達経路を、「プル」「プッシュ」「シェア」に区分してみましょう。
プル
検索エンジン
プッシュ
RSS、メルマガ、スマホアプリ、お気に入り、サイト名検索、提携メディア、ソーシャルメディア(Twitter、Facebook他)
シェア
他メディアの引用・転載(Yahoo!ニュースなど)、キュレーションメディア(グノシー掲載など)、ソーシャルメディア(Twitter、Facebook他)
自発的に答えを探すユーザーに、コンテンツを用意するのがプルです。プルの施策は、検索エンジンへの対策=SEOでほぼ完結します。
ソーシャルメディアは、プッシュとシェアの両方の役割を担っています。オウンドメディアの公式アカウントをフォローするユーザーに、更新情報を届ける場合はプッシュ。RSSやお気に入りへの登録も、ユーザーの行動・マインドは近く、プッシュに分類できます。
「いいね」や「ツイート」を介して、口コミで情報が広がっていく場合はシェアです。
プッシュとシェアを区別しないとソーシャルメディア対策が混乱する
コンテンツマーケティングのソーシャルメディア対策を語るとき、しばらく話のかみ合わないことがあります。プッシュとシェアを分けて考えると、とてもわかりやすくなります。
流入のインパクトが大きい「検索エンジン(SEO)」と「ソーシャルメディア」に目がいきがちですが、手法は他にもあります。また、同じソーシャルメディアでも2つの役割に分けられます。全体像から、オウンドメディアの流入を考えることを、おすすめします。
コンテンツマーケティングはまず着実な戦術から始める
プル・プッシュ・シェアのフレームワークに続いて、コンテンツマーケティングの実践論に、コンテンツマーケティングの具体的な手法は、現時点で、主に4つのアプローチがあると考えています。
- 検索エンジンからの流入を獲得する
- ソーシャルメディアでバズらせる
- 購読者を獲得し定期的にコミュニケーションする
- ネイティブ広告等の広告手法を利用し流入とバズを狙う
企業によって得意分野がありますが、結論から言えば、私たちは
・SEO型のコンテンツマーケティング=1に徹する
・SEO+シェア+購読の複合型コンテンツマーケティング=1、2、3を連動。
補完的に3を使う
のどちらかが、現実的な方法だと考えています。予算に余裕があれば、複合型が最適と考えます。
プル戦術
→コンテンツマーケティングのベースをSEOにすると安定する
「コンテンツマーケティングとコンテンツSEOが混同されている」という指摘を、聞くことがあります。言葉の定義はさておき、私はコンテンツマーケティングをSEOの視点で考えることが、間違いだとは思いません。
コンテンツマーケティングのそもそもの発想は「宣伝ではなく情報提供を」。検索エンジンと非常に相性が良いのです。
ネットで検索するユーザーのマインドは「質問」です。何かを「調べたい」「解決したい」という明確なニーズが、検索キーワードには隠れています。ニーズを見極め、正しく答えることがSEOの基本です。
コンテンツは、質問に対する「回答」でなければなりません。既存メディアでいえば、新聞や雑誌より、辞書や電話帳の役割に似ています。誰もが驚くスクープや、流れるような文章がなくても、ユーザーの役に立つことができます。
誤解を恐れずに言えば、クリエイティブに大きく左右されないのがSEO型のコンテンツマーケティングです。「質問」を投げかけたユーザーは、「回答」が用意されていることに満足します。コンテンツの出来栄えやページの見た目に満足するのではありません。
SEO型のコンテンツマーケティングでは、ユーザーからの「質問」がある限り、記事へのニーズがあり、半永久的にアクセスを生み続けます(ストック型のコンテンツと呼んでいます)。
ストック型のコンテンツは、着実に成果を残してくれます。費用対効果の面でも確実性の高い方法だと、考えています。
ただし、流入を稼ぐだけのコンテンツSEOは、本質的には無意味です。ビジネスに有益なアクセスを集め、何かの形でコンバージョンに寄与するコンテンツを設計することが重要です。
シェア戦術
→ソーシャルシェアを狙うならクリエイティブに注力。予算をかける価値はある
ソーシャルメディアでコンテンツをシェアさせる場合、事情は変わります。ストック型のコンテンツは辞書のようなもので、「質問」を持っているユーザーにはとても便利ですが、そうではないユーザーは、魅力を感じません。情報を友人や同僚に伝えたいとは思わないでしょう。けれど、感動した小説や、役に立つビジネス書であれば、人にも勧めたくなります。
「質問」に答えさえすればよかったSEO型のコンテンツマーケティングと違い、ユーザーの心を動かす、クリエイティブの工夫が必要です。
ソーシャルシェアを狙う場合は、驚きや共感、学びや気づきなど、感情や知性にインパクトを残すコンテンツが求められます。クリエイティブに大きく依存し、「バズる」かどうかは水モノ。コストをかけても、十分な効果を得られる保証はなく、リスクが高いのです。
とはいえ、予算を割いて、クリエイティブの向上を追求する価値はあります。うまくいけば、1本のコンテンツが、ばく大なパワーを発揮するからです。1本のコンテンツで、一気に情報拡散する事例は、たくさんあります(LIGさんの「伝説のウェブデザイナーを探して」などは、その好例かもしれません)。
爆発的な拡散はしなくても、愛情と手間をかけて作ったコンテンツはファンを作ります。次の項で挙げる購読者のケアにも、クオリティの高い記事は欠かせません。
プッシュ戦術
→購読者をもてなす設計がオウンドメディアを育てる
一度接点を持ったユーザーとは、継続的に関係を築きたいところです。意外に見逃されがちですが、とても重要な購読の仕組みを整理しておきましょう。
継続的に情報発信する上で、以前より活用されているのがメルマガです。アドレスを登録してもらうのは決して低くないハードルですが、配信を継続することができれば関係性は強まります。
メルマガとともに、古くからあるコミュニケーションツールに、RSSがあります。積極的に活用しているのは、ITリテラシの高いユーザーに偏りますが、少なくてもユーザーは確実にいます。また、分野によってはRSSで購読するような情報感度の高いユーザーはバズ(シェア)の起点となってくれることが多くあります。
購読者向けのツールとして手軽なのは、FacebookページやTwitterアカウントの運用でしょう。ソーシャルメディアは、多くのユーザーにとって情報収集のプラットフォームになっています。購読者以外のニュースフィードにも表示されることで、自社を知らないユーザーにも情報を届けることができるのもメリットです。
問題点は、購読者に情報を届ける際に、エッヂランクの影響で表示されない、タイムラインが早すぎて読まれない、などソーシャルサービスの性質・仕様に左右されることです。
RSS、メルマガ、ソーシャルメディアを組み合わせて、購読の仕組みを作っていくことになります。それぞれのメリットとデメリットを考慮して、バランス良く設計することが重要です。何も考えずに、「とりあえずやってみよう」でスタートすると、あまり長く続きません。
コンテンツも購読者向けに考えなければなりません。「何か情報がないかな」と接触してくれるユーザーを、ピンポイントな情報に特化したストック型のコンテンツでもてなすには、限界があります。継続的な購読を見込むなら、シェア戦術と同様に高いクリエイティビティが求められます。
まとめ:私達が考える2015年コンテンツマーケティングの最適解
私たちは、まずはストック型のコンテンツと、SEO型のコンテンツマーケティングをベースにすることが重要だと考えます。その上で、シェアと購読でレバレッジをかけるコンテンツマーケティングを提案しています。
クリエイティブには力を入れるべきですが、依存しすぎるとプロジェクトそのものが不安定になります。「ブログを書いたけれど、全然バズらない」と、オウンドメディアの運営をあきらめてしまうようなケースは、多いのではないでしょうか?
まずは、着実に成果を残すこと。次に大きく育てることが、成功への近道だと考えているのです。
株式会社ブレインネット:一見卓矢
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