毎日1000記事をたった30分でチェックする情報収集術。その時短テクニックを運営堂の森野さんに聞いた

毎日1000記事からWebマーケター向けの情報を30記事厳選し、メルマガとして送ってくれる森野さんに情報収集の時短テクニックを聞いた。

皆さん情報収集ってどうやっていますか?

どんな情報を集めるかによってその手法が変わると思いますが、世の中一般的な情報は、ニュースサイトやアプリなどを使っている方が多いと思います。しかし、自分の仕事に関する専門的な情報の場合、それだと難しいこともあります。

そこで、私がよく見ているメルマガがこちら。

運営堂のメルマガ

これは運営堂の森野さんが、「SEO」や「リスティング広告」といったデジタルマーケティングに関わる記事を10分野に分けて情報を紹介してくれるメルマガです。平日毎朝7時に届きます。

なんとこのメルマガを作るのに、毎日1000件近くの記事から森野さんが30本ほど厳選しているのだとか。私はてっきり機械がやっているもしくは、複数人でやっているのだと思っていましたが、森野さん1人で毎日続けられているとのこと。しかも、この選別にかかる時間はわずか30分!

すごい情報収集の技が隠れていそうなので、さっそく森野さんに話を聞いてみましょう。

運営堂 森野誠之(もりのせいじ)さん

1000本もの記事から30本厳選する時間は、たったの30分

――情報収集はどうしていますか?

情報収集に使っている主なサービスは、次の2つです。

  • RSSフィードリーダーのfeedly(フィードリー)
  • URLクリッピングサービスのPocket(ポケット)

さまざまなサイトのRSSをfeedlyに登録して、スマホでチェックしています。スマホだと文字だけなので、表示速度が速いんです。しかも広告も出ません。どこでも確認できるのでこのスタイルが定番です。逆に、ブラウザの方が重くて作業がしづらいです。

作業はこんな感じです。

  • feedlyを開いて、「いいな」と思った記事は、Pocketに保存します。その後Pocketからチェックします。

  • feedly以外にも、PocketではTwitterで情報発信をよく行っているアカウントをフォローしてそれを非公開リストにして保存して、情報収集しています。

  • これら以外に、FacebookやYahoo!ニュース、BLOGOS(ブロゴス)のニュースサイトも見て、「役立ちそうだ!」という記事をPocketに保存します。

feedlyで毎日届く記事数は600~700本くらい。Twitterが300本くらい。それらを選別してPocketに入れると50~70本くらいまで絞り込まれます。そこから、SEOやリスティング広告、AIといったタグを付けて分類していきます。重複しているネタや内容が薄かったものを削除して、最終的に30~20本を選んでメルマガで紹介しています。

――これにかかる時間は?

RSSのチェックが約10分で、1000記事から50~70記事くらいに絞ります。その後、記事のチェックが約15~20分で、30本に厳選し、メルマガで紹介できるように、10分野に分けてタグ付けしています。

この作業を毎日かかさず、5、6年続けているので完全に慣れです。慣れなきゃ、こんなたくさんの情報から必要な情報を取り出すことなんて無理ですね(笑)。

この作業は、大体朝の通勤時間にやります。出張などのときも、午前中にこれを済ませないとなんだか落ち着きません。

feedlyの1ページに表示される記事数は7~10記事。タイトルとサイト名で「必要、不要」を瞬時に判断し、1ページにつき1、2秒で処理している。RSSチェックにかかる時間は10分程度。
Pocektされた記事を1つずつ開いて、タグ付けするのにかかる時間はわずか5秒程度。この速さならば、1000記事から30記事を厳選するのにかかる時間が30分というのも納得だ。

――そのスピードで何を見て、どう判断しているのですか?

タイトルとサイト名です。まずタイトルを見て、ピックアップすべきかを判断します。判断に迷ったときは、どこの記事かを見ます。この作業をずっとやっていると、サイトの特性がつかめるようになります。たとえば、「このサイトはあおり記事ばかりで内容がない」とかです。

実際の記事を見にいけばどんな情報を発信しているサイトなのかはわかりますが、それ以外には、TwitterやNewsPicksなどのコメントを見ると、第三者にどのように思われているサイトなのかを把握できます

良い情報が出ないサイトとわかればRSSから外しますが、あおり記事がメインだけど、10本に1本くらい良い記事が出ることがあるようなサイトはRSSに登録したままにしています。たくさんのサイトや記事を見続けていると、さまざまな経験が溜まっていき、タイトルとサイト名を見れば瞬時に判断ができるようになります。

――どんなサイトのRSSフィードを登録しているのですか?

基本的に継ぎ足しで来ているので一体何件登録されているか、わかりません。また自分からサイトを探しに行くことはありません。ニュースサイトやTwitterなどから流れてきたサイトを見て、その都度登録しています。

サイトがなくなることが多いので、定期的に削除します。個人のブログも登録しています。

検索エンジンは情報収集に向かない?!

――「情報を自分から探さない」とは、ググらないってことですか?

そうです。メルマガの情報収集をするのに、検索エンジンでキーワードを叩くことはほとんどありません。後述していますが、検索エンジンは物事の上っ面を調べることに向いていると思うので、私が集めたい情報はなかなか出てこないわけです。

検索エンジンを使うのは、食べ物屋を見つけるときやPCやスマホの設定の仕方を忘れたときくらいです。

――確かに。たとえば、メルマガのジャンルにもある「SEO」を検索エンジンで調べると、SEOの基本概念が検索上位に表示されますもんね。

だから、ググらず情報収集するには、RSSで情報を発信しているサイトそのものを登録しておくといいんです。

――では、信頼のおけるサイトはどう見つけたらいいと思いますか?

ジャンルによって、手堅いメディアがいくつかあります。運営堂のサイトでも紹介しているので、参考にしてみてください。

運営堂メルマガ – よくある質問 – 運営堂
http://www.uneidou.com/faq/mailmagagine/

それ以外で判断するならば、新聞社であったり、書籍とWeb両方をやっていたりする会社は情報の取り扱い方を心得ているので、まずはそういうサイトから見ていくといいと思います。あとは、行政機関などのサイトも有効です。

そういったサイトを継続的に見ていると、知見がどんどん溜まってくるので、「このサイトはなんかおかしい」とか徐々に気づけるようになってくると思います。

Web・SNSはトレンド把握。分野の深掘りは本。

――情報収集をする方法として、今までWebを中心に聞きました。それ以外にも本や雑誌などもありますが、それぞれどんな特性があると思いますか。

  • SNSは、トレンドを押さえる。
  • 検索エンジンは、上っ面を押さえる。
  • 本や雑誌は、その分野を深掘りする。

全く知見のない分野を初めて調べるときは、本屋に行って、関連する書籍を見比べて3冊くらい買ってそれをざっと読みます。そこから、細かく気になることをWebなどで調べていく感じです。ネットはトレンドの移り変わりがわかるものって感覚です。

――テレビや新聞、ラジオなどは?

テレビはほとんど見ません。見るとしても天気予報くらいですかね。最近はもっぱら、DAZN(ダゾーン)でサッカー観戦です(笑)。新聞も良いんですが、情報が遅く、物理的に読みづらいですよね。

Podcastで提供されている「聴く日経」を1.5倍速にして聞いています。日本経済新聞朝刊のニュースを20分でまとめて伝えてくれるので、経済情報をさらっと押さえるのに便利です。

情報収集を習慣化して身に付けるには、アウトプットと継続が鍵

――情報は収集するだけでなく、身に付いてこそ情報の価値があると思うんですが、どうしたら身に付くと思いますか。

アウトプットすること」と「継続すること」が大事ですね。たとえば、週に1回気になった記事を10本まとめてみる。それを1か月続けてみてください。それだけでもかなり大変ですし、つらいと思います。1か月続けられたら、3か月、半年、1年とどんどん続けてください。

1年続けられれば、習慣化されていますから情報収集してアウトプット自体が気にならなくなると思います。

――継続って大事ですね。森野さんの情報収集の目的を教えてください。

情報収集の目的は流れを知ることです。知識を得ることではありません

たとえば、「SEO」であれば検索エンジンが出てきたころはmeta keywordsにキーワードを入れるだけで上位に出ましたし、隠しテキストが効いていたころもあります。リンクが有効だったころもあります。

こうして検索エンジンで簡単に上位に出せるとなると、その手法を商売にする人が出てきて、検索エンジンが荒れてきます。

荒れてくるとサービスの提供側(今はほぼGoogle)が品質対策をすることとなりますが、それに嫌気がさして新しいものに移る人も出てくる。つまりTwittwerやInstagramなどのSNSです。

新しいものが出る→儲ける人が出る→荒れる→品質対策が取られる→嫌気がさした人などが新しいものに移る、の繰り返しです。これはSEOに限らずどんな所でも起きますので、この観点で全体の流れを見ておくと何となく次の動きがわかるのです。

毎日の情報収集は点です。それが1か月続くと線になって、1年続くと波になります

波がわかってくれば浮き沈みがわかってきたということなので、流行り廃りがわかるようになってきます。あとは小さい波に対応するのか、大きい波に対応するのか、波がなくなるのかくっつくのかなどを考えていけば良いわけです。

わかってくると「またか」と思うことが増えてくるようになるはずですよ(笑)。

――最後に、情報収集が苦手な方へ一言お願いします。

なんでもやり始めたときは、知らないことや作業が不慣れということで時間がかかります。しかし、知っていることが増えて、作業が慣れてくると、新しく知ることがどんどん少なくなっていって、「情報収集が苦手」という意識が薄まるはずです。

Webに関する情報を収集したいのであれば、前述した手堅いサイトを毎日時間を決めて見続けてください。そしたら、きっと何かしら発見があり、何かしらの知見が溜まりますから。

継続するには、「歯磨きくらいの時間でできる」が望ましいので、ぜひ頑張ってみてください。

編集後記:森野さん、ありがとうございました。

森野さんのメルマガに登録したい人は、こちらからどうぞ。

※2019年2月1日より有料化するそうです。森野さんは、自社サイトで有料化する理由もちゃんと語っていますので、こちらも併せてご確認ください(追記:2019/1/31)。

個人的に「メルマガってたくさん送られて来るわりに、役立つ情報が少ない」と思っているわけで……だからこそ、自分に役立つ情報がスッキリとまとまっている森野さんの「メルマガ良い感じ! じゃ取材して、情報収集の極意を聞こう」と思ったわけです。ちなみに私は、森野さんのメルマガの要チェックとAI情報、その他で紹介されている記事をよく見ています。

情報収集をするのに、RSSを使っている人って多いと思います。私も登録していますが、情報が増えすぎて収拾がつかなくなるんですよね。森野さんのようにちゃんと情報の分野を分けて管理できればいいのですが、それができない&自信がない人はこういうお得なコンテンツを見つけて、チェックすることです。

あと一つ、超個人的な楽しみとして、自分の書いた記事が森野さんのメルマガで紹介されているとニンマリします。

用語集
RSS / SEO / SNS / meta keywords / フィード / フィードリーダー / リスティング広告 / リンク / 検索エンジン
この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

リテンション
既存顧客との良好な関係を保つこと。それを目的とした施策を、リテンションマーケティ ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]