検索と消費行動の深い関係 - 『検索エンジン最適化の初心者ガイド』改訂版#2
この記事は、『検索エンジン最適化の初心者ガイド』をセクションごとに書き直していく過程のエントリだ。この構想については、概要を見てもらえば、もっとよくわかるだろう。
人と検索エンジンはどのように影響しあうか
SEOや検索の順位といった観点から、オンラインマーケティング戦略を立てる上で、「来訪者の感情を汲みとる」ことは、最も重要な要素の1つだ。平均的な検索ユーザーが、もっと具体的にいえば自分の狙う市場のユーザーが、どのように検索エンジンを使っているかがわかれば、より効果的にそれらのユーザーに接触して、関係を維持できる。
検索エンジンの用途は、ここ数年で大きく広がってきた。しかし、検索を実行するという第1原則にほとんど変わりはない。大半の検索プロセスは次のような段階を辿る。
答、解決策、情報などが必要だと感じる。
自分に生じたニーズを一連の語句(検索キーワード)の形にする。
検索エンジンでその検索キーワードを使った検索を実行する。
自分の求めるものがあるか検索結果を見る。
検索結果をクリックする。
答そのもの、あるいは答につながるリンクを探す。
そこに満足のいく答がなければ、検索結果に戻って別のリンクをチェックする。
あるいは検索キーワードを入力し直して、もう1度検索する。
このプロセスで満足のいく答が見つかれば、そのユーザーは、情報を提供してくれたサイトとその結果をもたらした検索エンジンに対して好印象を抱く。ウェブ検索の開びゃく以来、検索は驚くほど一般的な活動になった。Pew Internet & American Life ProjectとcomScore Media Metrixが共同で2005年12月に公開した調査データ(PDF形式)では、インターネットを利用する男性の90%、女性の91%が検索エンジンを使っていると明らかにしている。さらに、そのうち男性で42%、女性で39%は毎日検索エンジンを使用していると回答し、いずれのグループでも85%以上の人が(検索エンジンで)「探していた情報が見つかった」と回答している。
検索エンジンの使い方について大局的な視点から見渡す上で魅力的な調査データを、さまざまなところが出している。僕は、新しくてなおかつ現状を表すこれらのデータを調べてみた。これは、ユーザーの検索の仕方を理解するためだけでなく、検索が持つ力について、説得力のある論拠を示す上でも役に立つ(このガイドを読んでくれている読者の多くは、自分の上司のためにこの作業をしなくちゃいけないんじゃないかと思うけどね)。
- 2006年4月にiProspectとJupiter Researchが共同で行った調査(PDF資料)では、次のことがわかった。
- 検索結果の1ページ目のリンクをクリックするユーザーは、検索エンジン利用者の62%。3ページ目までの検索結果をクリックするユーザーを含めると全体の90%となる。1ページ目でクリックする人の割合は、2004年の調査時(60%)より多くなっており、2002年のわずか48%と比べると大幅に増加している。
- 検索エンジン利用者で、自分の求めるものが見つからなかった場合に検索を続行する人の41%は、1ページ目で欲しい結果を得られなければ、検索キーワードと検索エンジンのどちらか、あるいはその両方を変えてみると回答した。最初の3ページで求める情報を得られなかった場合、同様の操作をする人は88%に上る。
- 検索エンジン利用者の36%は、「ある企業について、検索結果のトップに表示されれば、その分野におけるトップ企業だと思う」と答えている。
- 上述のPew InternetとcomScoreの2005年11月における共同調査(PDF資料)では、次のことがわかった。
- 1日の検索エンジン利用者数は、平均6000万人。
- 検索エンジンの利用率は、教育レベルおよび収入が上がるにつれて増加する。高卒資格のない人では27%だが、大卒以上では55%となる。年収360万円(3万ドル)未満では29%だが、年収900万円(7万5,000ドル)以上では52%となる。
- eMarketerの依頼でForeSeeとACSI(米国顧客満足度指数)が行った2007年8月の調査結果(詳細資料)は次のとおり。
- 検索エンジンおよびポータル利用者の75%は、自分たちのユーザー体験に満足した。
- 検索エンジン別に見ると、米Yahoo!では79%、Googleでは78%、MSNおよびAsk.comでは75%のユーザーが、満足していると回答した。
- comScoreが2007年8月に発表した調査結果(詳細資料)は次のとおり。
- ウェブ上で実行される検索の数は、2006年から2%増加して、月に約100億件に達した(全エンジンの合計)。
- 検索エンジン別の検索数シェアは、Googleが圧倒的首位の55.2%だった。以下、米Yahoo!(23.5%)、Microsoft(12.3%)、Ask.com(4.7%)と続いた(Googleの検索結果を表示するAOLは4.4%)。
- 米Yahoo!が2007年に発表した調査結果(詳細資料,PDF資料)は次のとおり。
- 検索マーケティングがもたらす実店舗での購買金額の増加は、貼り付け広告の効果の3倍。
- 貼り付けがもたらす実店舗での購買ボリュームの増加は、検索マーケティング広告の効果の3倍。
- WebVisibleとNielsenが2007年に発表した地域検索に関する調査(詳細資料)では、次のことがわかった。
- 地域の企業や店舗情報を探すのに、検索エンジンを利用したのは回答者の74%。これに対し、印刷版のイエローページを利用した人は65%、オンラインのイエローページを利用した人は50%、通常の新聞を利用した人は44%だった。
- 地域の企業や店舗を見つけるのに、インターネットを利用したことがあると回答した人は全体の86%で、前年(2006年)の70%からさらに増加している。
- 80%の人は、製品やサービスをオンラインで調査してから地元の実店舗で購入すると回答した。
- AOLから流出した検索キーワードのログでわかった傾向(詳細資料)は次のとおり。
- 検索結果ランクの1位は、全クリックスルーの42.25%を獲得する。
- 2位だと全クリックスルーの11.94%、3位では8.47%、4位になると6.05%を得る。それ以下はすべて5%に満たない。
- 上位10位までの検索結果で、全クリックスルーの89.71%を占めた。11位から20位(通常は検索結果の2ページ目)の10件は、合計で全クリックスルーの4.37%を得て、3ページ目では2.42%、5ページ目は1.07%だった。それ以降のページはすべて1%に満たなかった。
これらの統計以外にも、市場調査会社のEnquiro Search Solutionsが検索エンジン利用者のヒートマップテストを行っている(調査資料)。この調査では、検索活動でユーザーが何を見て、何に焦点を合わせているかについて、おもしろいことがわかった。下の図は、Googleにおいて実施したヒートマップテストの結果だ。このヒートマップから、ユーザーは赤、オレンジ、黄色で示された部分で大半の時間を費やしていることがわかる。
この調査は、同じページ内でも表示順位が下がれば、いかに注意が集まらないのか非常によく示しており、ユーザーの視線は、スポンサー付き検索結果(PPC広告)よりもオーガニック検索領域の、強調表示されたキーワード、タイトル、説明に集まるという傾向が如実にわかる。
こうした情報に興味を持った人は、Search Engine Landの「Stats: Search Behavior」のページに、さまざまな研究や調査やホワイトペーパーのデータが山ほどあるので、そちらを見てほしい。
これらの興味深いデータから、検索エンジンを利用したウェブ検索およびマーケティングについて、いくつか重要な結論が導き出せる。特に、以下に挙げたポイントはかなりの確度で重要と考えていいだろう。
検索は今や、驚くほど一般化している。米国ではインターネット利用者のほぼ全員が、そして世界全体だと何十億という人々が検索を実行している。
検索結果の上位数件に入ることは、人々の目にとまる上で決定的に重要だ。
検索結果の最上位に入れば、最も多くのトラフィックを得られるだけでなく、自分たちの会社なりウェブサイトなりが、価値を有し、ほかと比べて重要性も高いとの印象を消費者に対して与えられる。
オフラインにおける経済活動の驚くほど多くの部分が、ウェブ上での検索によって促進されている。
消費者に接触し、ビジネスを構築する上で、その規模や接触対象そしてターゲット市場にかかわらず、マーケティング担当者視点から見ればインターネット全体が、より具体的にいうと検索が、最良かつ最重要な方法の1つだということは疑う余地がない。
今夜は少し時間がかかっちゃったね。もう少し手直ししなくちゃいけない点があることも、検索のプロセスを視覚的なフローチャートにすべきだってこともわかっているんだけど、そろそろベッドに倒れこむとするよ。明日この記事を書くときには、何か新しいことを報告できるようにするからね(笑)。
ソーシャルもやってます!