楽天市場公式 ネットショップの教科書 オンライン版

「期待値を上回るサービス」が感動を呼ぶネットショップのコミュニケーション

『楽天市場公式 ネットショップの教科書』

この記事は、書籍『楽天市場公式 ネットショップの教科書』の内容を、Web担当者Forum用に抜粋してオンライン版として公開するものです。本書は楽天市場に出店するネットショップの運営ノウハウ、繁盛する秘訣を楽天スタッフ自らが書き下ろした、唯一の公式解説書です。

『楽天市場公式 ネットショップの教科書』

  • ISBN9784844324607
  • 1,600円(税込 1,680 円)
  • 楽天大学 編 /三木谷 浩史 監修

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感動コミュニケーションを設計する
――究極の対面販売の秘訣1

魅力あるお店、お客様から好かれるお店を作りたいとショップ運営者の誰もが思っています。では、魅力を感じてもらい、好かれるために、お店はお客様に対して何をすればよいのでしょうか。そのためには「よいサービス」を提供すればよいわけですが、「よいサービス」とは何なのかを考えてみましょう。ここではお客様から評判のよかったサービスとして、前述の「商品に同梱された手書きのお礼状」を例にします。

これについては第1章で、デジタル通販というイメージで注文した商品の中に、思いがけず直筆の手紙というアナログなものが存在したことのギャップが感動につながっていると考察しました。この「思いがけず」というのがよいサービスか悪いサービスかを分ける基準になるのです。言い換えると、「お客様の期待値を上回るのがよいサービス、下回るのが悪いサービス」ということです。

自分が「よいサービス」だと思った経験を思い出してみてください。それは、自分の「期待」をよい意味で裏切られた経験のはずです。

期待値をコントロールして満足度を上げる

もう1つ大切な視点があります。それは、お客様の期待値をコントロールすることです。

すなわち、不用意にお客様の期待値を高めない、または、あらかじめお客様の期待値を抑えておくことで、満足度の高いサービスを提供できる確率が高くなるわけです。

例えば、お客様からの問い合わせ対応について、お客様が金曜日の夜中にメールでお店に問い合わせをしたとします。そのお店は土日休業なので月曜日にメールの返事をしましたが、そのような事情を知らないお客様は「この店は対応が遅い。信用できない」と思ってしまっている、というようなことが往々にしてあります。このような場合は、ページ上に「当店のメール対応定休日は土日です」と明記してあれば、お客様の期待値が抑えられ、月曜に返事がいっても「悪いサービス」とは思われないで済みます。「月曜日に返事が来る」ことが、サービスの期待値になるわけです。そこでもし、問い合わせの返事が土曜日に来たら、お客様は「休日出勤か。頑張っているな」と思うことでしょう。

また、「お客様の期待値はどんどん高まる」ことも知っておかなければなりません。

例えば、先ほどの直筆のお礼状を思い出してください。一度、手書きのお礼状を受け取って感動したお客様がリピート注文をしたとき、届いた中にまた手書きのお礼状が入っていても、もう感動してもらえません。「手書きのお礼状が入っている」というのがお客様の期待値になってしまっているからです。もしお礼状が手書きではなく印刷のものになっていたら、お客様は「サービスが悪くなった」と思うことでしょう。

「よいサービス」は、お客様の期待値をコントロールすることで創り出すことができます。ただ一方で、どんどん高まる期待値を常に上回るサービスを提供していかなければいけないということでもあります。

そこでもう1つポイントとして大事なのが、「お客様が期待していない(期待ゼロの)部分で上回ること」です。お客様の「期待の対象」には2種類あります。

「商品」と「商品以外の部分(サービス)」です。ここで忘れてはいけないのが、「商品に対しては一定の期待を持たれている」ということです。なぜならお客様は商品代金を払っているので、当然よい商品を期待しているからです。また、店舗側としても、ページやメルマガで商品のよさをアピールしているので、お客様の期待値は高くなっています。つまり、3,900円払っているから、3,900円分の価値がある商品が届くのはあたりまえなので、そこそこの商品が届いたくらいでは「感動」にはつながりにくいわけです。

その点、あるお店では、商品に「小さな袋に入れた5円玉」を同梱して、お客様から好評を博しています。「期待ゼロの部分」なら期待を上回りやすいという一例です。

よいサービスとは?

クレームはファンを増やす絶好のチャンス

お客様の期待値が「よいサービスかどうか」の基準になるということは、「自分がいくらがんばっていると思っていてもダメ」ということです。

例えば、クレーム対応で何度もやり取りをしているのにお客様が一向に納得してくれないような場合、「自分はこれだけ誠実な対応をしているのに、なぜわかってもらえないのだ!」と思ってしまいがちですが、それはそのお客様の期待値を超える対応ができていないからということになります。したがって、そこで冷静さを失わず、相手の期待がどこにあるのか、そのレベルはどのくらいなのか、ということを汲み取り、その期待以上の対応をすることができれば、お客様は感動し、お店のファンになってくれるわけです。

クレームは、「ファンを作るチャンス」といわれます。実際、ある店長さんはこんなことをいいます。

「私たちのお店では、クレームが来るとスタッフみんなで『やった!』と喜ぶんです。ちょっと不謹慎ですが(笑)、クレームをくれたお客様に誠実に対応すれば、ファンになってもらえる自信があるからなんです」。

お客様は、自分の期待を下回ることがあってクレームをいってきた時点で、お店に対して「なんだこの店は!」という思いを持っています。つまり、お店に対する評価が下がっているわけです。同時にお店に対する期待値も下がっています。したがって、よい意味で裏切ることができるチャンスが大きくなっているのです。

お客様の満足・感動の大きさは、期待と現実のギャップの大きさに比例します。期待値が下がっているから適切な対応を受けたときのギャップが大きいのです。これが「クレームはファン作りのチャンス」といわれる所以です。

クレームはファンを増やすチャンス
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