フォーム作成時に心がけること ――ユーザーは直感的に理解してくれない
今日は検索エンジンマーケティングの話題を取り上げる予定だったけど、少しズルをして、登録フォームとユーザビリティについて書こうと思う。
でも、自分のサイトのランディングページに登録フォームなど、何らかの登録に関する要素があれば、今回のテーマはぴったりのアドバイスになるはず。
さて、私は2008年こそ筋金入りの人間になるという目標のため、クリスティーン(Christine)の強い勧めもあって、ブリティッシュ・コロンビア州(カナダ)のビクトリアで開催されるトライアスロン大会「New Balance Half Iron Man」に参加を申し込むことにしたの。クリスティーンとMansteryGuestと私は嘔吐するまで泳ぎ、自転車をこぎ、走るつもりよ。
さてお楽しみの時間。私は登録ページにアクセスし、必要な情報を書き込み、フォームを送信したの。送信後のページを見ていたら、いくつか間違いを犯してしまったことに気付いたわ。でも実際にフォームを送信するまで、それらの間違いに1つも気が付かなかったのよ。
私がやってしまった最初の間違いは、赤線で囲まれた部分。
フォームでは名字→名前の順なんだけど、私は反射的に、最初が名前で次に名字なんだと思ってしまったのね(※Web担編注:英語圏では通常は名前が先)。だから、登録名が「ケリー・レベッカ(Kelley Rebecca)」になっちゃった。そして以下のような内容の素敵な確認メールが届いたわ。
その後で、関係者の誰かからこんな電子メールが来たの。
なによもう、確かに私がばかみたいよね。いずれにせよ、直感的にフォームでは名前と名字の順番に並んでいると思ったから、あわててその順に書き込んで、間違っちゃったのよ。
さて、2つ目の問題は次の部分。
私の住所は米国ワシントン州のシアトルなんだけど、このフォームでは県または州の欄に「BC」、国の欄には「Canada」と自動的入力されていたの。実際のところ都市と州の欄は正確に入力したんだけど、国の欄は見過ごしてしまったのよ。だから、カナダのワシントン州シアトル在住のケリー・レベッカと登録しちゃった。んもーっ!
まだまだあるわよ。
自分が1.9キロメートルを泳いだときの推定タイムなんて、まったく見当が付かないわ。私は高校1年のときに(だから10年前ね)、たぶん規定サイズではないスイミングプールでせいぜい6往復くらいしか泳いだことがないし。だから学生水泳選手気取りのジェーン・コープランド(Jane Copland)におよその数字を尋ねてみたの。だけど彼女はまったく役に立たなかった。
レベッカ:もう、まったく見当が付かないわ! ジェーンだったら真っ当に泳いだとして、この距離のタイムってどのくらい?
ジェーン:1時間あたり?
レベッカ:違うの。1.9キロメートルよ。
ジェーン:1時間でそのくらい泳げるっていうこと? まあ。
レベッカ:距離あたりだってば。
ジェーン:ふむ。
レベッカ:私、ハーフトライアスロンの登録フォームに記入しているところなんだけど、この距離をおよそどれぐらいのタイムで泳げるか、書かなきゃいけないのよ。
ジェーン:えーと、2キロメートルか。私のベストタイムで、25分くらいかな……。
レベッカ:もういいわ。
おそらくほとんどの人は、この距離を泳ぐのにどのくらいの時間がかかるのか、正確に何時間何分だなんてわからないわ。だから、たとえば「0分~25分」「25分~40分」みたいに、ある値からある値の範囲で答えられる回答を用意しておくようお勧めするわ。1つひとつの回答を調べて、「ひどく遅い」「普通」「平均以上」「ジェーン並の速さ」というカテゴリに分類するよりも、このほうがタイム別のグループに分類しやすいでしょ。
さあ、次に行きましょう。
オーケー、重要度に応じて1から10までの数字を入れるんだけど、これはつまり、各項目に順番を付けるということ? それとも、それぞれ任意に10段階の評価を入れてもいいのかしら。この点がはっきりしなかったから、私は適当に数字を入れて、1から10までの順番を付けるということはしなかったわ。
さて、次。
完成した登録フォームと回答を見直してみると、健康に関するアンケートのセクションで、この小さなテキストボックスに入力した回答が部分的に消えているのに気付いたの。私は、「季節性アレルギーで現在のところ治療中:薬物(FlonaseとAllegra)とアレルギー注射」というふうに入力したんだけど、おかしなことに、フォームには「季節性アレルギーで現在のところ治療中:」としか残っていなかったわ(治療内容はどうなったの? ノォーーー!)。
さあ次はこのセクションよ。
「参加してみませんか? それなら95ドルをお願いします」という内容以外に、この講義に関する詳しい情報がまったくなかった。どこでこれらの臨床講義が行われるの?
この講義はおそらくビクトリアのどこかで行われると思うけど、私は参加登録したくないわ。もし地元のシアトルで行われることがあれば、おそらく参加するだろうけど、明確な説明もなしに、フォームの真ん中あたりでまったく新しい情報が出てくると、ややこしくてわかりにくいわ。
フォームに戻り、その部分はあえて空白にしておこうと思って、何も入力しないままとりあえず「送信」ボタンを押したの。そしたら、こんなメッセージが表示されたわ。
名字を入力してください。ブラウザの『戻る』ボタンをクリックし、登録フォームのページに戻ってください
[戻る]ボタンをクリックして、私の名字だけを入力し、フォームを再送信。そうしたら今度は、ご想像のとおり「名前を入力してください」というエラーメッセージが出てきたの。冗談でしょう? 送信のたびに1つの間違いに関するエラーメッセージしか出てこないということ? なんてユーザーをイライラさせる、のろまなやり方なのかしら?
もっと標準的なフォームだったら、戻ったフォームで入力していない欄や間違った情報を赤く強調表示し、「下記のフォームの強調表示された部分に正しい情報を入力してください」とかなんとか、そういう類のメッセージが出てくるものよ。
自慢するわけじゃないけど、私は平均よりもコンピュータに詳しいユーザーだと思う。だからこのトライアスロン参加登録フォームの数箇所でつまずいてしまったことはとても残念だわ。単に私の注意が散漫で、あちこちの微妙に変わった点や、標準とは異なる形式に気が付かなかっただけ、と言われても仕方ないけど、ほかの人たちだって大勢が同じ間違いをするだろうと言っておきたいわね。
この点こそ、私がこの記事のタイトルで強調したかったことなのよ。ユーザーは直感的に理解してくれない。だからフォームもそこを踏まえなくちゃだめ。すべからく標準に合わせること。変に順番を入れ替えたりせず、すでに前の段階でユーザーが入力した欄でないのなら、自動入力もするべきじゃないし、ユーザーについて推測してはいけないわ。
多くの場合、フォームでは最初に名字じゃなくて名前が来るわ。私はカナダ出身じゃない。どのくらい速く泳げるのかなんてさっぱりわからない。栄養補給食品の好みを決める方法なんて知らないわ。私はアレルギー持ちだから、そのアレルギーで私が使ってる医薬品を知っておくことは有益だと思う。臨床講義指導に関する不明確な情報には困惑するばかり。そして、一度に1つのエラーしか修正できず、すべて修正し終わるまで[戻る]ボタンを何回もクリックするのは嫌なの。
何だかすっかり「べからず」集みたいになっちゃって、あまりこうすべきという話ができなかったわね。できるだけユーザーフレンドリーなフォームの作成方法に関しては、ぜひ稿を改めたいけれど、ちょっと時間がかかりそうなので、とりあえず「優れたウェブフォームの作り方」「ウェブフォームのコンバージョン率を引き上げるためのヒント」「良いフォームを作るためのチェックリスト」を紹介しておくわね(すべて英文)。
さてさて締めくくりは、カナダのワシントン州シアトル在住のケリー・レベッカさんと聞いて、どんな人物像が心に浮かんだか教えてあげる。彼女は湖で四苦八苦し、生まれながらにしてえらを持ち足指に水かきのあるジェーンに恨み言をぶつけるような女性よ。あら、なんかおもしろい漫画のキャラクタになりそう……。
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