現場のプロがやさしく書いた Facebookマーケティングの教科書

Facebookページ運用のルール・ガイドライン・投稿スケジュールを策定しよう/Facebookマーケティングの教科書#2-6後編

ルールやスケジュール策定、コミュニティガイドラインなど、運用の仕組み作りを解説します

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現場のプロがやさしく書いた Facebookマーケティングの教科書
現場のプロがやさしく書いた Facebookマーケティングの教科書

この記事は、書籍 『現場のプロがやさしく書いた Facebookマーケティングの教科書』 の内容の一部を、Web担向けに特別にオンラインで公開しているものです。

Facebookでは企業も一人のユーザーとして「何を語るか」が大切です。このSectionでは、ユーザーに「ファン」となってもらえる投稿とはどんなコンテンツなのか?投稿はどのようにユーザーに見られるのかなど、Facebookページ運営で最大のポイントとなる「タイムライン投稿」の基本を理解し、効果的なページ運用を効率化するためのスケジュール策定を目指します。

コミュニケーションのルールを決めよう

Facebookページは作るだけならとても簡単です。問題はその後どのように運用していくか、Facebookページを作るのはあくまでも「コミュニケーションをとるため」の手段なのです。

Facebookページの投稿に対するファンからの「いいね!」や「コメント」、「シェア」などの反応からコミュニケーションが始まります。「コメント」には誰がいつどのように返信するのか? 「いいね!」や「シェア」をしてくれた人にどう対応するのか? その頻度やタイミングは? など、実際にコミュニケーションを進めていく上での基本的な運用ルールをあらかじめ決めておく必要があります。また、こうしたFacebookページの運用管理者用ルールの他に、Facebookページに参加してくれるユーザーにも理解しておいてもらうコミュニティとしてのルールも用意した方がよいでしょう。

【チェックリスト】運用管理者用ルールで決めておくと良い項目
  • 管理責任者は?

  • どんな内容を投稿していくか? 訴求内容の精査

  • 投稿担当者は? 名前は名乗るか? 顔は出すか? キャラクターを使うか?

  • 運用体制と緊急時の対応ルールは?

  • タイムラインの監視体制や第三者からの不適切な投稿に対する削除方針は?

  • 効果検証を行う担当者や実施日程は?

  • 自社の他媒体との連携方針は?

  • 控えるべき内容・使用禁止語句は?

  • タイムラインへの投稿ルールは?

  • 投稿内容のチェックは行うか?

  • 投稿頻度は?

  • 投稿するタイミングは?

  • コメントの返信はどうする?

  • メッセージは受け付けるか?

  • 問い合わせがあったユーザーへの対応は?

運用管理者のためのルールとしては上記のような項目が考えられますが、基本指針や運用体制、ユーザー対応とコンテンツ削除に関する方針に関しては、Step1-8で作成したソーシャルメディアガイドラインやコミュニケーションガイドラインと重複する内容も多くなりますので、ここでは実践的な運用の際に必要な項目について考えてみたいと思います。

投稿担当者は? 名前は名乗るか? 顔を出すか? キャラクターを使うか?

社内の運用体制が整い、投稿の担当者が決定したところで、考えなくてはいけないのが投稿者の「見せ方」です。企業が「人格」をもってコミュニケーションしていくにあたって、実際の会話を担当する投稿者がどのようにユーザーと向き合っていくのか? 投稿者の人間味がコミュニケーションの質を大きく左右します。Facebookユーザーは基本的に実名登録ですので、企業もできる限り「人間」らしさを出していくことが好まれます。しかし担当者のキャラクターにばかり頼ってしまっては、その人が異動したり、辞めてしまったときの影響が大きく、組織として運用するにはリスクが高くなってしまいます。担当者の「見せ方」は、人間的な温かみの演出と組織としての運用効率のバランスを考えなくてはなりません。

運用パターンとしては次の3種類が上げられますが、それぞれのメリット・デメリットを踏まえて検討してください(表2-6-1)。

運用パターンメリットデメリット
属人性を排した企業名運用
  • 企業・ブランドとして一貫したイメージでファンと接することができる
  • 企業・ブランドと接しているという安心感がある
  • ルールをしっかり作ることで複数人での運用が可能
  • 担当の変更が運用に影響しにくい
  • 人間味を感じさせるのが難しい
  • 複数人で運用する場合、投稿にばらつきが出ないようにするルール作りが必要
  • 無印良品
  • Uniqlo
  • ANA.Japan
キャラクターを活用した運用
  • 親しみやすく話しかけやすい
  • コミュニケーションしたいファンに合わせた設定ができる
  • キャラクターの設定や運用方針を決めることで複数人での運用が可能
  • 担当者変更の影響が少ない
  • 人気化すると販促アイテムなどに展開できる
  • 信頼が得難い
  • 真剣さが感じにくい
  • ユーザーは実名なのに架空のキャラクターで接するのは不誠実と思われるリスクがある
  • キャラクターと中の人の実体がズレていると信憑性に欠ける
  • トラブル・有事のときの対応がしずらい
  • 伊藤ハム/ITOHAM FOODS inc.
  • ローソン(LAWSON)
  • 東急スポーツオアシス
    tokyusportsoasis
担当者の人間性を発揮した運用(単純に担当者の顔・実名を出すだけではなく、担当者の「人柄」が見える運用も含む)
  • 会話をしている相手が「人」であることが意識されやすく、リアリティーがある
  • 親近感からファンと「友達」になりやすく、信頼を得やすい
  • 担当者が前面に出ていることで誠実さが伝わる
  • 運用担当者に高度なコミュニケーション能力が求められる
  • 適任者を選ぶのが難しい
  • 引き継ぎが難しいことが多い
  • JAPAN AIRLINES(JAL)
  • C1000(ハウスウェルネスフーズ)
表2-6-1 担当者の見せ方 3パターンの比較

口調はどうする? 絵文字は使うか?

企業・ブランドのイメージ、運用のポリシーによりますが、年齢や性別など、できる限りユーザー層に合わせた方が良いでしょう。そのためにはFacebookページのファンの属性が自社の目指すターゲットにマッチしてるかを検証する必要があります。ただ、ファンの年齢層が高いからといって、極端にかしこまりすぎてもいけません。「友達」としてどのように接するか、実際の人間関係を参考にすべきです。

投稿頻度は?

企業・ブランドの属性やページの運用スタイルにもよりますが、投稿数が多すぎるとうるさく感じられ、「いいね!」を取り消されてしまうかもしれません。一方で少なすぎると、エンゲージメントを構築するチャンスが失われ、エッジランクが低下し、表示されにくくなってしまいます。

※EdgeRankCheckerは記事への「いいね!」やコメント投稿などのエンゲージメント(ユーザーの関与)が最盛期の10%に落ちるまでを「ライフタイム」と定義している。

また、前回の投稿にまだファンからの反応が多いときに、次の投稿をしてしまうと前の投稿のエンゲージメントを妨げてしまい、もったいない場合があります。Facebookページの分析を専門とするEdgeRank Checkerの調査では、「ページの投稿のライフタイム平均は約3時間で、連続投稿すると損をする」という結果が報告されています

Socialbakersの調査によると、Facebook上の人気トップ10ブランドにおける1日当たり投稿回数の1か月(2012年3月25日から4月24日)平均は1.36回、 一番多いiTunesでも2.27回と3回を下回っています。ニュースや情報の発信が主体のメディアは必然的に投稿数が多くなると思いますが、一般的なブランドでは1日1回、量より質の投稿方針を取る方がよいでしょう。

図2-6-2 Socialbakers
図2-6-2 Socialbakers

投稿するタイミングは?

これもそれぞれのFacebookページによって異なりますが、Facebookインサイトが利用できれば、ファンのリアクションが多かった過去の投稿の傾向を読み解くことができます(インサイトの活用法についてはStep3-2を参照)。

また、ファンの属性から平均的な生活習慣を読み取り、Facebookを利用する時間帯を推測してみましょう。一般的にソーシャルメディアへのアクセスが多くなる時間帯は、通勤時間(7:00~9:00)、お昼休み(11:00~13:00)、終業前後(14:00~18:00)、就寝前(21:00~23:00)と言われていますので、この時間を意識して投稿しつつ、インサイトを分析して、自社に最適な投稿タイミングを見極めましょう。

コメントの返信はどうする?

Facebookページでは、ファンからの投稿やコメントがあったら、 可能な限り素早く返信することが望ましいのですが、答えづらい質問や、クレームなどのネガティブな投稿やコメントのような、対応に困るものもあり得ます。また、大変嬉しいことながら、ファンからのコメントが多過ぎて全てに対応しきれない状況があるかもしれません。そうした場合、どのようなスタンスで対応をするのか、事前に検討しておきましょう。

●好意的なコメントに対して
  • コメントを返す

    ⇒コメント欄に半角で”@“を入力し、その”@“の後に返信したい相手を入力するとタグ付けができ、相手に知らせることができます。

  • コメントに対して「いいね!」をする

    ⇒「読みました」という意思表示になりますので、コメントを返す余裕がなくてもせめて「いいね!」はするようにしましょう。

●対応に迷うコメントに対して
  • 一次回答をする

    ⇒「担当者に連絡します」「お調べします」など、すぐに対応できなくても真摯な姿勢をみせることが大切です。

  • 何もしない(スルーする)

    ⇒敢えて対応しないという対応が必要な場合もあります。

●ネガティブなコメントに対して
  • コメントを返す

    ⇒軽微なクレームに対しては、早めに誠意を込めた謝罪をすることで大きな問題になるのを防ぐことができます。まずは相手がコメントをくれたことに感謝を表しましょう。こうした対応はタイムライン上で他のユーザーにも見られています。誠実な企業かどうかが試されていると考えましょう。

  • 個別対応が必要な場合

    ⇒内容によっては、公共の場で応答してしまうと、ページに悪影響を及ぼし、ブランドの評判を落としかねない場合もあります。その際は「メッセージ」やユーザーサポート、お問い合わせフォームなど、個別に対応できる窓口に誘導するという対応も考えられます。ただし、より親密なサポートを提供することを目的とし、隠蔽しているように見られない配慮が必要です。

  • ブロックする

    ⇒明らかに炎上を目的とした嫌がらせ行為と分かる場合や、他のユーザーに被害が及ぶ場合、スパムや荒らしなどは、最終手段として「ブロック」することもできます。

メッセージは受け付けるか?

ファンがページの管理者に直接メッセージを送れる機能は「ページの編集」の「権限の管理」から利用を選択できます。もし利用するのであれば、送られて来たメッセージに、誰がどのようにどのタイミングで返信するかを検討しておかなければいけません。もし、個別に対応する窓口が他にあるならば、無理に利用しないという選択もあります。

対応時間は?

投稿のタイミングの項でも紹介しましたが、Facebookユーザーがアクティブになる時間帯は、一般的な企業の就業時間外であることが多くなっています。そのため、投稿もコメント返しもその時間帯で対応するのが望ましいのですが、担当者の負担を考えると就業時間外の対応をどうするかは頭の痛い問題です。投稿に関しては、事前にスケジュールを立て予約投稿機能を活用する、就業時間外のコメントに関しては翌朝の対応になる旨をページに明記するなど、対応時間をユーザーに周知している企業が多いようです。

ユーザーに向けたコミュニティガイドライン

Facebookページに参加してくれるユーザーが、気持ちよく過ごせるためのルールを用意し、ページに記載して周知することは、スムーズなコミュニティ運営だけでなく、炎上リスクを避けるためにも有効です。コミュニティを円滑に運営することは管理者の信頼にも繋がりますので、どのようなコミュニケーションを目指しているのか、参加者にどんな行動を期待しているのかを分かりやすく提示しましょう。また、削除基準や禁止事項など、ある程度のルールがあることで、ユーザーも安心してコミュニケーションに参加することができます。自社サイトや他のSNSなどのソーシャルメディアにもガイドラインがある場合は、整合性をとる必要もあります。Facebookページだけに限らず、生活者とどのように向き合っていくかという企業姿勢を本質的に検討しておくべきでしょう。

現場のプロがやさしく書いた Facebookマーケティングの教科書
  • 現場のプロがやさしく書いた Facebookマーケティングの教科書
  • 藤田 和重、小川 裕子 著
  • ISBNコード
    978-4839943608
  • マイナビ 発行

この記事は、書籍 『現場のプロがやさしく書いた Facebookマーケティングの教科書』 の内容の一部を、Web担向けに特別にオンラインで公開しているものです。

本書は、アライドアーキテクツで約2年間に渡りブログメディア「ソーシャルメディアマーケティングラボ」を運営しながら、実際にFacebookマーケティングに携わってきた担当者2名が、これまでに培った経験や知見を最大限に活かし「企業のFacebookページ運営担当者」に向けて執筆した、Facebookマーケティング指南書の決定版です。

ターゲットを法人利用に絞り、Facebook広告の効果的な運用やFacebookキャンペーンの実施といった実用的な情報に加え、「どんな投稿がファンの心を引きつけるのか」といったテクニックや国内企業約35社のFacebook活用事例など、実際の業務で役立つ豊富なノウハウや情報を惜しげなく公開しています。

本書は、マーケティングやデジタル、WEBは専門だがソーシャルメディアはよくわからないという方、全く違う領域からいきなりFacebookページの担当になられた方、そして「Facebookって何?」という方でも、読み進めながら実践していただける内容を目指しました。

企業のFacebook活用の本質的な意義から、実務面の手順を追った解説、実例紹介まで、即戦力として役立つことを願っています。

ナビゲーターは新人マーケター「あゆみ」ちゃんと、マーケティング部の先輩である「小田先輩」。

図解やイラストを多用し、親しみやすい文章と誌面で、Facebookやマーケティングに詳しくない人でも、ある程度知っていて「一歩先の」知識を手に入れたい人にも、役立つ内容となっています。

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