マルケトはMAだけじゃない! 広告の最適化からレポーティングまでできるその実力を明かす
マルケトといえばMA(マーケティングオートメーション)のメール配信とナーチャリングというイメージが強いが、実はマルケトの機能はそれだけではない。「Engagement Marketing Platform」というプラットフォーム上に11カテゴリ17種類のアプリケーションを展開でき、必要なアプリケーションをチョイスして契約できる。
「Web担当者フォーラム2016秋」では、マルケトの大里氏が「マルケトを活用したデジタルマーケティング 広告の最適化からレポーティングまで」と題して、広告連携、モバイルマーケティング、レポーティング、ETL(※1)・BI(※2)の機能について紹介した。
さまざまなプラットフォームと連携できる「広告連携」
マルケトは、世界最大の独立系のマーケティング専業のMAプラットフォーマーで、IDCやGartner等、さまざまな調査でもマーケットリーダーという評価を受けている。しかし、マルケトはメール配信だけと思っている人も少なくない。また、マルケトは大企業向けだとか、B2B向けだというイメージを持つ人もいる。そのような誤解を解くために、大里氏はメール以外の機能をいくつか紹介した。まず「広告連携」についてだ。マルケトは、次の広告プラットフォームと連携できる。
IntimateMerger
サードパーティのデータとマルケトの顧客データを連携し精緻なターゲットで広告を配信
特長は、簡単なセットアップと、豊富な配信先・配信方法。まず、マルケト側が持っている
- 閲覧情報やメールの開封情報、セミナー参加情報などの行動情報
- 年齢・性別などのデモグラフィック情報
など、さまざまなデータを使ってリストを作る。それをIntimateMergerに渡すと、さまざまな広告媒体・広告形式で広告配信できる。マルケトとIntimateMergerのデータは、次のようなトリガーでシンクする。
- Marketoから送信したメール開封時
- Marketoから送信したメールのリンクをクリックしたとき
- フォームの入力時
フェイスブック
Cookieだけでなくメールアドレスをベースにしたターゲティング
特長は、メールアドレスを用いたターゲティングと、リード獲得広告。フェイスブックには、メールアドレスでデータを受け渡しできる「カスタムオーディエンス」という機能がある。
マルケトはメールアドレスのデータを持っているので、たとえば「優良顧客リスト」などを作り、設定画面で「Ad Bridgeを使って送信」をクリックすると、数分後にはメールアドレス情報がフェイスブックに送られる。
そのリストに対して広告を配信してもいいし、止めて無駄な広告費を減らす使い方もある(「購入を促す広告は購入済みの人には止める」など)。優良顧客データをフェイスブックに渡したら、それを拡張して優良顧客に似た人を探すのも有効で、Cookie情報と違ってメールアドレスなので精度が高い。
また、フェイスブックには「リード獲得広告」というメニューがある。通常は、フィード内に新規獲得用の広告が流れ、クリックすると広告主のWebサイトに飛んでフォーム入力するという流れだが、Webに飛ばずにフェイスブックのフィード内でフォーム入力できるようにしたのが「リード獲得広告」である。
フェイスブックが情報として持っているユーザー名や住所などがあらかじめ入力されているため、ユーザーにとっては手間が省ける。簡単にリードがとれるいい広告だが、データはフェイスブックの管理画面に溜まるため、お礼メールを送るにしても、CSVを発行して手作業で送信しなければならない。
そこでマルケトでは、リード獲得広告と連携し、ユーザーがフォーム入力したデータが直接マルケトに蓄積されるようにした。メールフォームに入力したらそのお礼のメールが自動で配信されるなど、抜け漏れなく簡単にできる。
Google AdWords
オンライン上で取れるデータだけでなく、オフラインデータも活用
特長は、オフラインのコンバージョンデータのインポートと、データベースのデータを使ったターゲティング。まず、Google AdWordsとマルケトでは、ファネルの考え方が違う。広告は新規の購入や資料請求などがコンバージョンだが、マルケトはその後のナーチャリングが目的で、コンバージョンはスタートだからだ。
Google AdWordsでは新規リードのうちどれだけ成約しているかは追えないが、マルケトはそのデータを持っている。そこでマルケトのデータをGoogle AdWordsに戻せば、オンライン広告やキャンペーンがどれだけ成功したかを把握できる。
また、Webサイト・リターゲティングでは、Cookie情報だけでなくマルケトのデータベースの項目も用いて、精緻なターゲティングが可能になる。
たとえば、「商品ページを見た人に広告を配信」ではなく、「商品ページを見た、かつ、まだ見積りしていない」とか、「商品ページを見た、20代の男性」に広告を出すとか、「サイトトップを見た、かつ、見積り提出済み」にリターゲティングするなど、オフラインのデータも含めたリマーケティングが可能だ。これは、Google AdWordsだけでなくフェイスブックでも使える。
「モバイルマーケティング」「レポーティング」「ETL・BI」
モバイルアプリ向けのプッシュ通知を出せる「モバイルエンゲージメント」では、発行されたSDKをアプリに組み込むことで、通知の作成や設定、送信を行える。メールの作成と同じように簡単に作れて、配信結果のレポート機能もある。さらに、アプリを起動したときにメッセージが出るIn-Appメッセージもある。全員に出すこともできるし、特定のセグメントだけに出すように設定することもできる。
マルケトではメールアドレスをキーにしてさまざまなデータを紐づけるが、アプリのデータもそこに含まれる。スマートフォンでの行動、PCでの行動、マルケトの持つ属性情報など、すべてメールアドレスに紐づけて、個人を特定できる。これにより、その行動に基づいたコミュニケーションが可能になる。きちんとターゲティングすれば広告もコミュニケーションになるのだ。
また、マルケトにはさまざまなレポーティング機能がある。
- キャンペーン投資対効果
施策の効果をX軸、Y軸、円の大きさと色の4軸で比較するバブルチャート。
通常、どのプログラムやチャネルが成果を上げているかを実証するのは難しい。そのため、予算編成に判断ミスが起こったり、経営幹部のマーケティングに対する信頼が揺らぎやすくなるのが課題だ。
しかしこのチャートでは、プログラムにより獲得した商談規模・リード件数・シングル/マルチタッチなど、さまざまな切り口でのROI測定が可能になる。
- レポートビルダー
リードやメール・イベントなど詳細なレポートを作成可能。セールスフォースなどと連携すれば商談情報も含めた分析ができる。
- メールインサイト
履歴集計データを利用するメール分析環境。
- クロス集計
クロス集計は分析手法として強力だが、マルケトのデータベースにある属性情報によるクロス集計が可能。
ETL(Extract/Transform/Load)ツールの「zapier」は、データを抽出して加工しDBに書き出せることで現在700以上のアプリケーションとの連携機能があり、マルケトもそのひとつだ。zapierにより、ダッシュボードの「DOMO」やBIツールの「Tableau」などと連携が可能になる。
このように、マルケト単体でメール配信ツールとして利用するだけでなく、それ以外のソリューションがたくさんあり、650社以上のパートナーやCRM/広告プラットフォームとの連携が可能なエコシステムを築いている。
国内&中小企業&B2Cでも導入実績あり
続いて、具体的な導入事例が紹介された。「逸品弁当」という高級仕出し弁当専門店の、中小企業&B2Cでの事例で、次のような施策を行っている。
- ターゲットに合わせたキャンペーンメールの送付
従来から、セグメントを抽出して注文内容に合わせたキャンペーンメールを送っていたが、データ抽出やメール作成に工数がかかっていた。マルケトを導入することで、工数は1/3になった。
- 顧客の温度感に合わせたメルマガの実施
スコアに応じて、メールの内容と配信頻度を自動で変えるようにした。スコアの低い人には3週間に1回、中程度の人には隔週、スコアの高い人には毎週メールを配信した。毎週は多すぎると感じるかもしれないが、開封率は62%と非常に高い。
- ダウンロードコンテンツ
カタログダウンロードコンテンツを作り、新規リードの獲得チャネルを開拓した。
- ランディングページの作成とA/Bテスト
マルケトではランディングページやフォームを作れる。PC向けとスマホ向けのランディングページを作り、同時にABテストを行った。また、一度作ったランディングページをコピーして必要部分を変更するだけで、大量のランディングページを作ることができるため、検索キーワードや流入した広告に合わせたランディングページを作り、出し分けたところ、直帰率が下がった。
その他、広告連携やレポーティングを利用している。Google アナリティクスとデータを連携し、さまざまな角度・粒度で分析を行いPDCAサイクルを高速回転中だ。実績として導入して1年弱で、広告費は50%削減し、注文数は45%アップという驚異的な効果をあげている。広告費を下げなければ注文数はもっと上がるが、これ以上は配送が追いつかないということだ。
最後に大里氏は、これからのマーケターのあるべき姿として、「TOMORROW'S MARKETER」という言葉を挙げた。
TOMORROW'S MARKETERとは、次のような資質を持ったマーケッターのことだ。
- As Individual――ユーザーを一人の個人として認識する
- Based on what they do――ユーザーの行動に合わせる
- Continuously over time――長期にわたって途切れることなく
- Directed towards an outcome――成果が得られることを重要視する
- Everywhere they are――ユーザーがどこにいても繋がることのできる
そのためには、組織は「リードを営業部門へ渡す役割を担う1つの事業部門」から「包括的な事業目標を定めすべての事業の中心となる部門」にならなければならない。
また、「自らの経験やノウハウを基にマーケティングを立案」するのではなく、「テクノロジーとデータを基にマーケティングを立案」する必要があり、「企業中心のマーケティング活動を実施」するのではなく、「顧客中心のマーケティング活動を実施」するように変化が必要だ。マルケトを使えばこのようなマーケティングのスキルセットが手に入るのかといえば、あくまでツールなのでそういうわけではない。
しかし、スキルを上げるような仕組みは整えている。それが、コミュニティやユーザー会だ。また、創業以来積み重ねたベストプラクティスをe-Bookで公開中なので、参考にしてほしい。
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