「文章はとにかく短く」? でも本当は……
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この記事は、第3章「もっと明快に」から、Chapter 3-30「身も蓋もないくらいがちょうどいい」の内容をお届けします。
「とにかく短く」は最初だけ
多くの文章読本やライター講座では、「文章はなるべく短く」「余計な言葉を削って」「タイトでソリッドな表現を心がける」と教えています。この教えはある意味では正しく、ある意味では間違っています。
というのも、訓練を受けていない方が文章を書くとおおむね冗長に書きがちで、タイトすぎる文章を書いてくる人は1割もいません。したがって入門者には四の五の言わず、とにかく短くソリッドに、とお題目を掲げるのが常道なのでしょう。
唐木ゼミでも新人のうちは、「身も蓋もないくらいでちょうどいい」と言い切っています。それでも覚えていただきたいのは、完読のためほんとうに目指すべきは、適切な長さの文章、適度に締められた文章なのだということ。短文一辺倒でもタイト一辺倒でもいけません。
まずは論旨を引き締める
なぜ初心者は冗長な文章を書いてしまうのか。私はその原因は主に不安にあると考えています。自信のなさゆえ、断定を避けて濁したり、言い回しを和らげようと余計な表現を足したりしてしまいがちになる。もしくは分量をかさ増しして、無内容なのにさも意味のあることを言っている気になる。
こういう文章は読み進んでもいっこうに文意が伝わらず、水で薄められたサイダーのような、あいまいな読み味だけが積み重なっていきます。当然ながら離脱者がボロボロ出て、完読されない文章となってしまいます。
したがってタイトな文章を書くいちばんの秘訣は、第1章の主眼と骨子の項に戻って、話題と論旨をしっかり組み立てることです。事実とロジックがグラグラな文章は、表面的に締めたところですぐにメッキがはがれてしまうもの。言っていることに自信があれば、おのずと文章はタイトに明快になっていくでしょう。
事実とロジックが確かになったとして、それでも冗長さが漂ってしまうなら──。そういうときに改めるべき箇所を、次のページから具体的に紹介していきます。文章をタイトに、ソリッドに締めていくテクニックを身に付けて、心地よい読み味を出せるようになってください。
肥満でも痩せすぎでも魅力的に映らないのは人間も文章も同じ。健康的なダイエットを目指して、適正な肉付きのボディを手に入れましょう。
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