企業担当者に聞くFacebook&Twitter運用の現場

東京ビッグサイトのなかの人に聞くTwitter活用、年間300以上のイベント開催で伝えるべき情報とは

1年間に約300件のイベントが開催される東京ビッグサイトは、どんな情報をつぶやくのか
企業担当者に聞くFacebook&Twitter運用

大規模な展示会やカンファレンス、夏冬のコミックマーケットなど、ビジネスから趣味まで、年間300件以上のイベントが開催されている東京ビッグサイト。施設は東京都が所有し、運営管理は株式会社東京ビッグサイトが行っている。

今回は、東京ビッグサイトのTwitter「@T_Bigsight」の運用について、広報担当の井上真弓氏と浅井氏にうかがった。

公式サイトで最も重要な情報はイベントスケジュール

――企画広報課ではどのような業務を担当されていますか。

株式会社東京ビッグサイト
総務部
企画広報課
広報担当課長
井上 真弓 氏

井上広報に関する業務全般です。Webサイトの管理、運営、半年に1回刊行するイベントスケジュールの冊子発行、会社案内・施設案内などの制作、公聴活動、メディアの受付窓口、顧客満足度調査、お問い合わせやクレーム対応など多岐にわたります。復興支援イベントなど社会貢献のイベントの企画・運営や施設内のプロジェクションマッピングによるにぎわい創出などもあります。

――かなり多くの業務があるのですね。イベントは年間300件ほどあるそうですが、Webサイトの更新などはどのようにされていますか。

井上Webサイトでは、トップページに掲載しているイベントカレンダーが重要なコンテンツとなっています。イベントに参加する方は、キーワードで検索することもできます。

掲載しているイベントの詳細は、イベント主催者様に専用ページから、「イベント名」「開催期間」「入場料」「概要」「イベントページのURL」など必要な情報を登録いただき、その情報がWebサイトに反映されるようになっています。

主催者様は逐次情報を更新できます。冊子で発行しているイベントスケジュールの場合は半年に1回の更新ですが、Webサイトでは常に最新の情報を確認できるようにしています。

Twitterではイベント以外の情報も発信

――Twitterの運用を開始したのはいつ頃ですか。

井上2013年です。企業や東京都、政治家などもSNSを活用し始めていた時期でしたので、我々も活用を始めました。きっかけは、すぐにサイト上のお知らせを更新したいと思ったときに、自分たちでは更新できないという課題があったからです。

サイトの更新は外部の会社に委託しているのですが、SNSがあればタイムラグなく情報を更新できます。そのメリットを感じて開始することになりました。

――運用のルールなどは決めましたか。

井上最初に社内でガイドラインを用意しそれに従って運用することにしました。Twitterの特性から緊急情報などを投稿したいのですが、まずはビッグサイトで開催予定のイベントを定期的にお知らせすることから始めました。

株式会社東京ビッグサイト
総務部
企画広報課
広報担当
浅井 氏

浅井Twitterで発信するイベント情報は、社内のシステムと連携して、その週の開催イベント情報を毎週月曜に自動的に発信できる仕組みにしています。

広報課の活動として、ビッグサイト内でプロジェクションマッピングの定期上映、社会運動に合わせたアウェアネスカラーでの施設ライトアップなどの情報もTwitterで告知しています。

浅井最初、Twitterで配信していたのはサイトのカレンダーと同じイベント情報だけでしたが、徐々に駐車場の情報なども配信できるようになりました。大規模なBtoCのイベントでは、車で来場する方が多く、駐車場が満車になることが大きな課題でした。満車が予想される大規模なイベントがある場合は事前に、公共機関での来場をうながすツイートをしています。

東京モーターショーの場合は、車好きの方が多く集まるため、近隣のコインパーキングを臨時駐車場として用意する特別体制になります。Webサイトのトップページに、ビッグサイト周辺の駐車場マップへのリンクを用意しているので、Twitterでもお知らせしてうまく車が分散するように案内しています。

その他、東京ビッグサイトが主催する展示会ごとに専用のアカウントを運用しています。東京ビッグサイトのアカウントからリツイートできるように、毎朝チェックしてリツイートしています。

定型文とそれ以外の情報を組み合わせて発信

――基本的に定型文を用意しておいて、内容を更新する形ですね。

浅井はい。駐車場の満車予想の情報については、駐車場の運営担当の部署がスケジュールを送ってくるので、それにあわせてツイートを用意して、ツールの「つぶやきデスク」の予約投稿として設定しています。

プロジェクションマッピングの情報についても、お知らせのタイミングを決めて設定しています。天候悪化で中止になる時も、定型文を用意しておいてすぐに配信できるようにしています。

――運用ルールにしたがって広報課に集約して配信しているのですか。

井上以前は、承認して投稿という流れもやってみましたが、承認のフローを回すのに時間がかかるなどの課題から、定型文で投稿する体制にしました。

例外としては、東京モーターショーのときに、駐車場管理の部署がリアルタイムで満空情報を発信したことがありました。駐車場の情報はリアルタイム性が重要ですので、担当部署が例外的に投稿したことがありました。

浅井定型文以外の投稿では、臨海副都心の情報発信もしています。たとえば、3月から4月にエリアの複数の事業者や団体が共同で、臨海副都心チューリップフェスティバルを開催しました。その時は自分でチューリップの写真を撮影してイベントの様子を紹介する投稿をしました。定型文ではないので、こちらは個別に承認してもらっています。

キャンペーン参加で海外の業界団体との交流も

――Twitter以外のSNSの運用については考えていますか。

井上5年前に立ち上げた時は、情報を発信するのが精一杯で、一番効果がありそうなTwitterから始めることにしました。Twitterの運用を始めてから、Twitterユーザーの特性や、Facebook、Instagramユーザーの特性、強みなどがだんだんわかってきました

他の企業や海外の展示会場の投稿などを参考にしながら、運用も検討していきたいと思います。

――運用にあたって外部の企業やコンサルタントにお願いすることはありましたか。

井上特にありません。企画広報課に情報システム担当部門があるのですが、そこに相談しています。イベントの自動ツイートの仕組みなどは、情報システム担当の担当者が進めました。

――Twitterの効果測定はしていますか。

浅井フォロワー数は1万人を超えましたが、定期的にレポートを作るような本格的な効果測定はしていません。今は目標の数値もはっきりとは決めておらず、つぶやきデスクからインプレッション数やクリック数などを見ています。プロジェクションマッピングのツイートなどは、5,000インプレッションあるときもあります。

――Twitterを運用していて発見はありましたか。

井上海外の展示会の業界団体が、展示会業界を盛り上げるイベント「Global Exhibitions Day」を開催していたとき、SNS上でもハッシュタグキャンペーンを実施していたことがありました。そこで我々も活動の賛同を示して、社員が集まった写真をキャンペーンのハッシュタグをつけてツイートしました。イベントには80カ国以上が参加していて、こうした国際的な業界の活動に気軽に参加でき、海外の団体とのネットワーキングにも活用できるのはいいなと思いました。

来場者の利便性向上のためのコミュニケーションを強化したい

――Twitterはツールで運用されていますが導入のきっかけは。

井上以前は、独自のシステムを構築して管理していました。承認と投稿ができるシステムでしたが、文字数の制限があったり、画像を投稿できないなど不便なところが多くあり、直接Twitterから投稿することもありました。

また、予約投稿はできないので、休みの日に駐車場のツイートが必要になった時に、個人の端末からツイートするわけにもいかないので困っていました(※編注、広告設定済みのアカウントは管理ツールから予約できる)。

こうした課題に対して、ITに強いメンバーが利便性やセキュリティの高さから、つぶやきデスクをすすめてくれました。つぶやきデスクは予約投稿が簡単にできるという話を聞いて、まずは試用してみました。1か月使ってみて、使い勝手が良かったため特に他のツールとの比較せずに、昨年度末に正式導入することになりました。

浅井費用がお手頃だったのもよかったです。また、ユーザーの要望を聞いて定期的に改良されているということなので、使い勝手があがっていくのもいいですね。

――運用で悩むことはありますか。

浅井注目を集めるための表現などはもっと工夫していきたいです。ハッシュタグも工夫したいですし、プロジェクションマッピングも「ただ今上映中!」のようにカジュアルな呼びかけをしていきたいです。

アウェアネスカラーのライトアップやプロジェクションマッピングはハッシュタグを浸透させて、一般のユーザーにも使われるようにしたいです。なお、アウェアネスカラーのライトアップは弊社だけでなく、臨海エリアの事業者も一緒にやっているので、他の施設の画像も一緒に投稿すれば、目に止まりやすくなりそうです。

――今後、やっていきたいことはありますか。

井上現在1万フォロワーですので、もっとフォロワー数をふやしていきたいですね。発信を通して、来場者の利便性向上、地域の盛り上げに貢献したいです。

浅井現在、アプリの開発をしています。お気に入りのイベントの情報をチェックしたり、参加予定のイベントが近づいたらアラートを出したりするなど、より便利に使えるようにしたいですね。展示会がたくさんあり、WebサイトやSNSで発信できる情報が限られてしまいます。アプリの機能を充実させれば、利用者だけでなく主催者側にもメリットになると期待しています。

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