Moz - SEOとインバウンドマーケティングの実践情報

デスクトップ・モバイル・音声、どのユーザーにとって使いやすいサイトがいいのか…SEOから見る最善策とは?【後編】

クロスデバイスのユーザーが主流となった時代で「サイトの最適化」をどうするか? SEOからみる「これから」とは?

この記事は、Moz Blog に掲載された以下の記事を、Mozの許諾を得て日本語化したものです。

この記事の内容はすべて筆者自身の見解であり(ありそうもないことだが、筆者が催眠状態にある場合を除く)、Mozの見解を反映しているとは限らない。

この記事は、Webサイトの閲覧環境であるPC・スマホ・音声のうちどれを優先すべきかを前後編の2回に分けてお届けしている。後編となる今回は、その変化に伴う課題やメリット、SEO担当者として考慮すべき点などについて考えてみよう。
前編を読んでおく

これからのタッチポイント

前回、ユーザーの検索ジャーニーをデバイス別にセグメントしてはいけないと締めくくったように、今後、クロスデバイスでのジャーニーはさらに加速すると考えている。それは僕たちにとって、さらに恐ろしいことになる。今回はクロスデバイスを加味したシナリオについて考えてみよう。

たとえば車に乗っていて、何かを聞いているとする(僕は未だに車内でCDを聞いているが、それがちょっと哀れなのは言われなくても分かっている)。衛星ラジオやWi-Fiなど、何であれ耳に入ってくるものを聞いている。

そこで、たとえばポッドキャストを聞いたり、ある著者のことを耳にしたりして、「お、この人物は面白そうだ。もっとよく知りたい」と思うとする。そのためスマートウォッチに「この人物についての検索を保存して。この著者について調べて。著作を教えて」と指示する。

それから家に帰ってGoogle Homeでその検索を呼び出すと、「ちょうど映像がありますよ。私は音声検索デバイスなのでもちろん再生はできませんが、テレビのChromecastに送信できます」と言われる。そこで君は映像をテレビに送信して、それを見る。テレビを見ている間、スマートフォンを取り出して、「何だか欲しくなってきた」と思う。そのためアマゾンにアクセスして、購入する。

ここでは、一連のデバイスからなるチェーン全体が関わってくる。では、このチェーンにおいても、音声の部分についてはどうか? 現時点では重要ではないように思われるかもしれないが、そこでチェーンを断ち切ると、この取引自体が失われる。

したがって、今後起こりうる恐ろしいこととは、個々のデバイスを無視し、これがデバイスの枠をまたいで起こるジャーニーである点に目を向けないことで、自分が考えるより高いリスクに自らをさらしてしまう可能性があることだと思う。

タッチポイントを増やすことのメリット

一方で、この点のプラス面とも呼べるものにも目を向けたい。これらのデバイスのすべてがジャーニーのタッチポイントであり、信頼性を高めることにつながる。

数年前にMozで実際に起こったことなのだが、Mozで販売しているSaaS製品の売上について分析したところ、製品購入に至るまでに平均して約3つのタッチポイントがあったのだ。

ユーザーはただMozのホームページにアクセスして製品を無料で試し、それを購入していたわけではない。こういった人たちはホワイトボード・フライデーを見たり、ビギナーズガイドやブログを読んだり、コミュニティに参加したりするかもしれないのだ。こうしたタッチポイントのなかから3つの手段で製品のことを知ったユーザーは、コンバージョンの可能性がはるかに高くなった。

したがって、クロスデバイスジャーニーで素晴らしいのは、数あるタッチポイントのすべてに目が行き届いていれば、たとえ1度限りの検索に見えたとしても、信頼を得られるということだと思う。

たとえばユーザーが特定のデバイスで検索すると、君のサイトコンテンツを見つけられた。それと同じ検索を音声で行ってみた場合も、そのコンテンツは見つかった。映像の形でも用意されていた。モバイル検索でも、適切なコンテンツが表示されていて、デスクトップ検索でも同様だった。そうしてコンテンツを目にする機会が増えることで信頼性の高いソースだと思ってもらえるので、実際、僕たちにとってメリットだと思う。

SEOの課題

そのあとの課題は、「今すぐにモバイルや音声検索に対応しよう。人を雇って、すべてのデバイス向けにサイトをデザインをしよう」となる。でも実際は「モバイル向けのデザインはできない、音声アプリの開発はしたくない。予算がない。理解も得られない」というケースも少なくない。それは仕方ないことだと思う。

現在、僕が本当に素晴らしいと思っていることで、Mozとしても試してみるよう推奨していることの1つとして、強調スニペットやオーガニック検索結果を表示するアンサーボックスについて取り上げてきた。

これについてグーグルがやろうとしていることの1つとして、グーグルは、すべてのデバイスで同じコアエンジン、同じコアコンピテンシー(中核となる能力)を用いる必要があることを認識している。

したがって、コアエンジンが検索エンジンなら、テレビ上で動かしたいと考えている。同じものをラップトップ、デスクトップ、スマートフォン、スマートウォッチ、Google Home上で動かしたいと考えている。これらすべてのデバイスごとにアルゴリズムを書きたくはないのだ。

グーグルは、すべての物事をカードという視点で考えている。

デスクトップで見る限りは分からないかもしれないが、デスクトップ上のすべてのものはカードだ。もちろんアンサーボックスもカードだ。これは分かりやすい、枠線で囲まれているからだ。オーガニック検索の結果、広告、ナレッジパネル、ニュースストーリーのすべてはカードだ。

これによってグーグルに何ができるか、そして今後何ができるようになるかと言えば、いかなるデバイスに対しても意味のある情報を組み合わせて、できる限り多く表示することだ。

そのため、デスクトップの場合はページ全体にわたり、モバイルの場合は縦長の長方形になるためデスクトップよりは少ない。そしてスマートウォッチやGoogle Glass、何であれその後に登場するデバイス、あるいは音声の場合、表示されるカードはおそらく1枚だけだろう。

しかし、SEOの観点から見ると、現時点で素晴らしいことの1つは、これらの強調スニペット、これらのQ&Aが、大きな画面で表示されることだ。

僕たちはこれを、デスクトップでの検索結果0番と呼んでいる。なぜなら検索ボックスのすぐ下に一連の検索結果として大きく表示されるからだ。このボックスは非常に目立つ。モバイルでは、これと同じQ&Aが画面上に占めるスペースははるかに大きくなる。

したがって、これはSERPにすぎないが、非常に支配的な地位を占めており、その下にも検索結果が表示される。音声では、これと同じQ&Aの対が表示されるだけで、レシピや天気予報などの専門的な内容でない限り、多くの回答がこのQ&A形式の音声で行われ、それには強調スニペットも原動力となる。

僕がこれらを好条件だと思うのは(今後も好条件であり続けてほしいと思っているのだが)、グーグルはこれらすべてのデバイスを同じコアエンジンで動かしたいと考えているので、デスクトップで検索結果の表示順位を上げたり、デスクトップユーザーの役に立つことは、モバイル検索の順位を上げる助けにもなるということだ。

そして音声での検索結果の順位を上げる助けにもなる、要するに、これらすべてのデバイスでの検索順位にもプラスとなるだろう。そのため、クロスデバイスによるアクセスの「チェーン」を断ち切らないよう努めてほしい。

ただし、僕たちがすでに得意としていることは今後も役に立つと思うし、強調スニペットに表示される方法を色々と試してみることで、Q&AがモバイルやGoogle Homeでどう表示されるのかを確認するとともに、これらすべてのデバイスが、願わくは僕たちがすでに得意としている最適化のテクニックが、何らかのメリットにつながることを認識しておくことを強くおすすめする。

ジャーニーチェーンを育てる

さらにアドバイスしておきたいのは、Q&Aの回答を最適化する場合、検索ユーザーにもっと知りたいと思わせる余地を残しておくことが最善の回答になるということだ。

したがって何ができるかといえば、ユーザーのジャーニーチェーンを育て、人々にもっと検索するよう働きかけ、リッチなコンテンツを提供し、サイトに戻ってきたいと思わせるような内容にして、信頼性を築くことだ。

なぜなら、このチェーンは実際、僕たちにとってある意味で好条件だからだ。このチェーンは商品購入に至る助けになる。これらのデバイスで信頼性が得られれば、まずまずのモバイル体験を備えていれば、音声で情報を提供できれば、それこそブランドを構築する助けにもなるので、取り組むだけの価値はある。

そこで教えてほしいのだが、現在どのような不安があるだろうか? モバイルインデックスについては、誰もが少し心配しているかもしれない。音声については、何が心配だろうか? IoTで心配していることは? 将来、スマート冷蔵庫での検索順位も考慮しなければならなくなることを心配しているだろうか? そして、それにはどういった意味があるのだろうか?

これはもうサイエンスフィクションの領域になりつつあるが、ぜひもっと話したい。コメント欄でお会いしよう。

用語集
SEO / SERP / SaaS / アンサーボックス / インデックス / オーガニック検索 / コンバージョン / スニペット / スマートフォン / 検索エンジン
この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

EC
「EC」は、Electronic Commerce(電子商取引)の略。Eコマース ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]