TwitterとLINEのファン獲得に有効。その場で当たるキャンペーン手法「インスタントウィン」とは?
Twitter公式アカウントを開設! だけどフォロワー数が伸びない。プレゼント付きのフォロワー増キャンペーンでも実施すべきか……。
企業がTwitterやLINEなどのSNS上にアカウントを持つことはもはや一般的となった。SNS上でキャンペーンを行おうと考えた場合、ひきつけ効果が高いのが、フォローやRTをしてくれたユーザーに対し、その場で抽選結果を伝える「インスタントウィン」だ。
「デジタルマーケターズサミット 2019 Winter」では、ユニークビジョンの白圡(しらと)氏が登壇。インスタントウィンの効果と成功事例を解説した。
キャンペーンに向いているSNSは「Twitter」と「LINE」
企業が各ソーシャルメディアで公式アカウントを運用している場合、フォロワー数の増大などを狙って、プレゼント付きのキャンペーンを実施するケースが多い。
国内ではTwitter、Facebook、Instagram、LINE、そしてTikTokなどが人気を集めているが、白圡氏によれば、各ソーシャルメディアの特徴に合わせてキャンペーンを実施する必要があるという。今回のセミナーで例として挙げられたのは「Twitter」と「LINE」である。
白圡氏にとって、TwitterとLINEはAPIが充実していて新規サービスの開発に注力できる点が魅力となるようだ。
Twitterにおけるインスタントウィンとは
本講演のテーマである「インスタントウィン」とは、応募・手続きなどをすると、その場で抽選が行われる懸賞方式のこと。
たとえば、次のようなものがインスタントウィンだ。
- 購入額に応じてスクラッチカードを配布し、当選者にすぐ景品などを渡す
- 飲料にオマケで付いているシリアル番号をWebで入力すると、プレゼントの当落が即座にわかる
このインスタントウィンは、実店舗はもちろん、インターネットでのマーケティングとも非常に相性が良く、頻繁に利用されている。
ユニークビジョンの提供するSNSマーケティングツール「Beluga」シリーズの1つ、「Belugaキャンペーン」は、Twitterでインスタントウィンを簡単に実施できるものだ。ユーザーに企業アカウントをフォローしてもらい、該当のツイートをRT(リツイート)してもらう。するとユーザーにはすぐに抽選結果がリプライされ、当選者にはDMも届けられる。
こうしたインスタントウィンを実施するにあたり、重要なポイントとなるのが不正ユーザーへの対処だ。何も対策をしないと不正ユーザーや悪意ある業者が野放しになってしまうこともある。Belugaキャンペーンはさまざまな不正を排除できるようになっている。
不正対策により、本来のファン層にプレゼントが届けられれば、企業へのエンゲージメントが高まったり、転売される可能性が減ったり、プラスの効果が期待される。
2018年10月に都内で開催された広告関連イベント「アドテック東京」では、Twitter JapanがBelugaキャンペーンによるインスタントウィンを実施した。ブースに来場した客に公式アカウントをフォローしてもらい、来場目的を選択してもらう。すると、オススメのセミナー情報に加え、当落がリプライで届くという仕組みだ。
この企画によって、広告主・広告会社に「インスタントウィン」というTwitterマーケティング手法の認知を拡大するとともに、セミナープログラムの紹介と参加誘導も実現できた。
LINEでキャンペーンを実施する魅力
Twitterと並んで、LINEにおいてもインスタントウィンは相性が良い。
LINEの公式アカウントは多いものだと3000万人近い友だちがいるため、一度のキャンペーンでリーチできる数が多く、またトーク画面から直接ユーザーへアプローチできることがキャンペーンに向いている点として挙げられる。
2つのSNSはそれぞれ性格が異なる。前述した通り、「各SNSの特徴に合わせたキャンペーンを企画することが重要」と白圡氏は言う。
LINEにおけるインスタントウィンの具体的な事例として紹介されたのが、ベビーフードで知られる「和光堂」が2018年9~10月に実施したキャンペーンだ。LINEアプリ内のトークないし広告でキャンペーンページへと誘導。アンケートに答えてくれたユーザーにその場で抽選を行い、結果は動画付きメッセージでプッシュ通知する。
この施策は、アンケート登録後にキャンペーン参加というフローで実施された。広告主はその後、アンケート回答項目によって各ユーザーへアプローチといったマーケティングも可能になるという流れだ。
プレゼントが欲しいからキャンペーンに応募してくれたユーザーを、さらに先の施策にも繋げられる(白圡氏)
TwitterのDMでもコミュニケーションOKなチャットボット
ユニークビジョンでは顧客コミュニケーション用のツールとして「Belugaチャットボット」も用意している。主にTwitterのDM機能での利用を想定しており、企業アカウントのツイート内で特定のリンクをタップすると、DMに遷移し、さらにシナリオベースによる自動応対が行える。
最終的には、チャットの結果を再び公開ツイートにすることもできる。「Belugaチャットボット」の場合、アイコン画像を一時的に差し替えられるため、たとえば、芸能人・人気アニメキャラクターなどを起用することで、ユーザーは没入感の高いチャットを楽しめるのが強みだと白圡氏はアピールする。
実際に、2018年12月には、ゲームアプリ「スタンドマイヒーローズ」の公式アカウントがBelugaチャットボットを使用し、26名のキャラクターから好きなキャラクターを選んでクリスマスのデートスポット診断を受けられるというキャンペーンを展開。アイコン画像をキャラクターごとに変更することでリッチな体験を演出し、好評を博した。
目的あってこそのキャンペーンを
企業のマーケティング担当者にとって、施策の“目的”が重要なのは言うまでもない。むやみやたらにインスタントウィンでプレゼントを配ったとしても、それだけで売上が上がる訳でない。目的をハッキリさせることによって、どんな施策を行うのか、どのSNSを選択すればいいのかが変わってくると白圡氏は指摘する。
- ブランド認知向上
- 情報の拡散
- 来店誘導
- エンゲージ向上
- フォロワー獲得
インスタントウィンの特徴はまず、「射幸心にアプローチする(できる)」ことだ。モノを無料で欲しいと思う気持ちは誰にでもある。その期待から、フォローや情報拡散(RTなど)の行動を起こしてもらいやすい。よって、マーケティング目的が「フォロワー数の増加」であれば、インスタントウィンは極めて有効な選択肢である。
さらに白圡氏は、インスタントウィンは、キャンペーンの設計次第で、さまざまな目的達成に応用できるとも語る。「毎日のRT」を抽選条件に加えれば、インプレッション数が増える。また、当落を動画の最後で伝えるようにすれば、単純にメッセージを送るよりもユーザーとブランドの接触時間は長くなる――といった具合だ。
マーケティングの大家であるフィリップ・コトラーは、その著書で「顧客はもはや受動的なターゲットではなくなり、能動的なコミュニケーション・メディアになりつつある」と指摘している。
白圡氏はこの言葉について「Twitterなどの存在によって、顧客はもう“メディア”そのものになってきたのではないだろうか、と指摘する。だからこそ、顧客を巻き込んでいくことが重要」と補足。TwitterやLINEで顧客接点を獲得するためにぜひインスタントウィンやチャットボットを活用してほしいと呼び掛け、講演をまとめた。
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