暴言レビューから顧客サービスを改善する評判管理の基本(前編)
「レビュー」はローカルビジネスやECサイトなどで重要な要素だが、やりとりが無機質になりがちだ。もっと人間的で親しみを感じる対話を実現できれば、顧客サービスを改善したり評判管理を進めたりでき、ビジネス成果をさらに伸ばせるのではないだろうか。
この記事では、ローカルSEOの専門家としての17年の経験から、次のことを解説する:
なぜレビューは冷たく無機質なのか
インターネットは人々をつなぐ優れたツールだが、時には障害にもなる。
ローカルビジネスは否定的なレビューが投稿される。コンピュータのありふれた白い画面上に表示されるグレーの言葉は実に冷たく、よそよそしく見えることがある。さらには、返信しても、やり取り全体が堅苦しく形式的で、面と向かい合った人間同士の感覚が欠けているように感じる。
たとえば、こんな風に:
少なくとも、電話で苦情を受けた場合には、顧客の声の調子から得られる情報はもう少し多く、適切な声の高さで、さらに質問したり、なだめたり、サポートしたり、場合によっては解決したりすることで対応を試みることができる(それでも丁寧な言い方をしないと、人間的なつながりが失われかねないが)。
スタッフが顧客から直接苦情を言われる場合は対応できるが、それは従業員が問題を解決する独自の取り組みをする権限を与えられている場合に限られる。
対面でのやり取りを課されながら、顧客に苦情を言われても十分に人間的な行動を取れる権限を与えられていなければ、従業員はブランドが特に重視しているロイヤルティを獲得する機会をことごとく失うことになる。2人は互いを直視するが、一方が人ではなく企業として行動しなければならない場合、その体験はあまりに形式的になってしまい、記憶にも残らない。
ローカルビジネスのオーナーとして心から望むのは、レビュー欄に書かれたこうした冷ややかでニュアンスに欠けた言葉を、血の通ったやり取りに変える力を持つことだ。一方通行のメッセージを玄関先での会話に変えたい。そこには、さらなる詳細情報や重要な教訓、解決策、そして隣人との心から打ち解けた人間的なつながりを築ける可能性がある。たとえば、こんな感じだ:
大きな障害:レビュー
ローカルSEOの専門家としての17年に及ぶ経験から、私が自分のお気に入りのビジネス(思い入れを持ってひいきにするようになったビジネス)を考えたとき、それはオーナーとスタッフがこの上なく気さくに接してくれるビジネスであることに思い至った。これらのビジネスは私に好意を持ってくれて、話を聞いてくれて、尊重され、信頼され、感謝されていると感じる独特な環境を作り上げており、私はそれにロイヤルティで応えている。一歩引いて考えてみると、これは本当にすばらしいことだ。
私にとって、ビジネスで打ち解けた隣人関係を築いている相手として象徴的なのは、地域の小規模農家の人たちだ。彼らには次のような特徴がある:
- 高い品質の農作物を育てようと全力を尽くしている
- 私の名前を知っている
- 私の食の好みを知っている
- 楽しむことだけが目的でも敷地内を自由に歩き回らせてくれる
- 私を信頼して、自己申告制で支払わせてくれる
- 他に栽培してほしい作物があるか聞いてくる
- 購入した作物をどのように調理しているか知りたがる
- 作物の他の調理法を教えてくれる
- さまざまなトピックについて楽しい会話をしてくれる
ここで描写しているのはビジネスだろうか、それとも友人だろうか? その境界はあいまいだ。一部の農家の人たちにはハグをしたことがある。困難に陥っていた人のために祈ったこともある。最初は金銭的取引のために出会った人たちかもしれないが、人間的な関係を築いてきた。私が彼らとどう関わるかは、すべて農家の人たちのビジネスへの取り組み方によって決まる。
いくつか例外はあるが、ほとんどのローカルブランドは、堅苦しさの緩和と隣人のような関係の強化を、対面での顧客サービスに取り入れるよう努めることが可能だ。考えてみてほしい。顧客は多くの場合、礼儀をわきまえた関心と、友情を育む思いやりを持って接してもらえることを喜ぶだろう。
しかし、その媒体がオンラインレビューの場合、新たな障害にぶつかる。正規の学校で読み書きを習った人は、文章でのやり取りでは無意識のうちにある程度は堅苦しくなってしまうものだ。ミスをして減点されるのを心配するし、レビューの返信を書く際は、多くの人に見られることを意識する。また、顧客の顔の表情や声の調子、ボディランゲージなど、コミュニケーション上の重要な手掛かりが欠けていることも、堅苦しくなる原因の1つだろう。
私たちの側からすれば、握手することは不可能だし、助けたい気持ちを体で示すこともできない。笑顔で親しみを示すことも無理だ。
実を言うと、レビューは対面でのコミュニケーションに代わる優れた選択肢ではない。にもかかわらず、すでに広く定着している。そのため、多くの取引をめぐって当事者の双方が抱くいくらかの懸念が積み上がって障害になっている。たとえば、次のようなケースだ:
この両者を近づけるにはどうすればいいだろうか? 少なくとも、同じ場所で人を目の前にして話しているようにするために。
すべてのレビューを丹念に確認しなくてもヒントを得るワークフローを作成する
私の知る限り、レビューに関するワークフローを最も簡単に導入できる方法は、Moz Localなどの極めて直感的な製品を利用することだ。ダッシュボードには基本的なコンポーネントが組み込まれており、簡単なことから始めて、評判管理の複雑な世界に入っていける仕組みになっている。
上のスクリーンショットでは、評判管理向けにMoz Localが提供している機能の一部を示している。うまくまとめられたさまざまなデータウィジェットを使って、顧客に近づき、懸念ではなく友好的な雰囲気の中で真の有意義な対話をするためのかけ橋を作れる。これをタスク別に詳しく説明しよう。
ワークフローで設計すべきタスクは次の3つだ:
- リアルタイムでアラートを受け取り、確認すべきレビューから手掛かりを探る
- 集約された感情のなかから手掛かりを探る
- ビジネスの評価をひと目で把握する
それぞれ解説していこう。
1. リアルタイムでアラートを受け取り、確認すべきレビューから手掛かりを探る
会話に入るには、それが始まったことを把握する必要がある。Moz Localのダッシュボードの右側にある列には、さまざまなプラットフォームに書き込まれるレビューやグーグルで入力されるQ&Aのフィードが流れてくる。
こうした「さまざまなレビューを確認できる場所」をもっていれば、君のビジネスについて誰が会話を始めているのかを毎日確認できる。また、星による評価を見ることで、直近の顧客が良い体験をしたか、それとも悪い体験をしたかを把握できる。
3つ星以下の評価を受け取ったら、そのレビューを確認し、5つ星以外の評価を付けた理由について顧客がどれだけの情報を記載しているか確認することを習慣にしよう。
以下に架空の例を挙げる:
レビューにはタイムスタンプが付いているため、顧客が不満を覚えた体験を、特定の日にビジネスの場で起こった出来事と結び付けられるかもしれない。たとえば、人手不足だったか、機器が故障していたか、あるいは別の問題があったかもしれない。
実際、特定の日に受け取ったレビューの星が少ないかどうかが一目でわかる機能をもったツールもある(Moz Localならば左下のグラフだ)。
顧客の苦情が特定の問題と結び付けられることがわかれば、返信する際に「申し訳ありません」と言うだけではなく、もっと具体的に説明できる。たとえば、「機器が壊れたために食事が冷めてしまった」と説明したうえで「埋め合わせをさせてほしい」と頼むこともできる。
2. 集約された感情のなかから手掛かりを探る
品質管理上の情報として重要なのは、状況が次のどちらなのかを知ることだ:
- その苦情を言っている顧客は1人だけ
- 複数の顧客が同じ苦情を訴えている
非常に多くの場合、グーグルのレビューは他のプラットフォーム上のレビューと比べて特に簡潔なので、その多くを見て、共有されている話題のテーマがあるかどうかを確認できなければならない。
こうした集約・分析といったことをできるツールもある。たとえば、Moz LocalのダッシュボードにあるReviews Analysis(レビュー分析)ウィジェットだ。
このビューでは、顧客がレビューで特によく使っている言葉を最大100件確認できるほか、それぞれの言葉を含むレビューの割合、それぞれの言葉を使っているレビューに関連する星の評価を確認できる。どの指標を軸に並べ替えるかも変えられる。
この架空の例での分析を見ると、ビジネスオーナーは、たとえば次のようなことがわかる:
食事を冷めた状態(Cold)で出したことでレビューの評価が非常に低くなってしまったようだ(平均で星2.7)。しかし幸いにも、この苦情が含まれているのはレビュー全体のわずか1.7%だ。
「サービス」という言葉を使っているレビューが全体の2%あり、その評価は平均で星3.8しかない(まあまあ良い体験にすぎない)。
そのキーワードを含むレビューのリストに表示されたそれぞれの言葉をクリックすると、何が顧客の満足度を下げているのかを明らかにするための手掛かりが得られる。
上のスクリーンショットに表示されている数字はどれもかなり低く、ビジネスにとってそれほど懸念する事態ではないだろう。だが、もしビジネスオーナーが次のような評価を目にすれば、話は変わってくる。
ここで、このレストランのベジバーガーに言及している12.2%のレビューは、平均で星2つという非常に低い評価と関連している。オーナーはこのレビューリストを詳しく調べて、顧客がこのメニューを不満に思う理由は何なのかを確認する必要があるだろう。
たとえば、これらのレビューの多くで言及されていることが次のようなものだったらどうだろうか:
- ハンバーガーに味がなかった
- 調味料が効いていなかった
- バンズが崩れていた
これらがヒントになってレシピの変更につながるかもしれない。繰り返すが、これによりオーナーは、不満を抱いた顧客に対して偽りのない心からの説明ができるようになる。理想を言えば、顧客に再度来てもらえるよう頼み、新しいレシピを無料で試食してもらうといった対応につなげるといい。
レビューの感情分析機能がビジネスにとってどのような詳細情報を示すとしても、顧客と双方向の会話をする意図を持ってそれを利用しよう。あることについて顧客に苦情を言われたら、すべきことは次のとおりだ:
- その原因を調査する
- 解決策を実行に移す
- その顧客を維持できることを願って招待し、解決策を体験してもらう
これは通常、その顧客の代わりを見つけるよりはるかに少ない費用で済む(アクイジションのコストは、リテンションのコストよりもはるかに高い)。
3. ビジネスの評価をひと目で把握する
ビジネスで関連する2つの重要な側面をひと目で把握できる機能は、多くのツールが提供しているはずだ。Moz Localならば、ダッシュボードにある次の2つのビューだ:
左側のAverage Rating(平均評価)ビューでは、顧客満足度の全体像を集計されて採点するシンプルな機能だ。この例で示しているビジネスには心配事がほとんどなく、96%の顧客は4つ星以上を付けており、3つ星以下に相当する体験をしたのはわずか4%だ。顧客満足度の観点から見れば、この架空の企業は素晴らしい仕事をしている。
しかし、右側のReviews Reply Rate(レビュー返信率)をみると、いくらか改善が必要なことがわかる。このビジネスはレビュー全体の1%にしか返信しておらず、2つ星~5つ星のレビューへの返信率は0%、1つ星のレビューへの返信率でもわずか21%だ。このビジネスはオフラインではすばらしい仕事をしているかもしれないが、オンラインでの対応を改善しなければ、時が経つにつれてレビュー評価の平均は下がり始める可能性がある。
要するに、レビューを
- 個別
- 全体
の両輪で調査するワークフローをもつことで、時系列を超えたストーリーや顧客満足度が把握できるようになり、ビジネスオーナーはより明確になったストーリーを生かして返信を書けるようになるのだ。
この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。後半となる次回も、今回に引き続いて評判管理の基本を説明する。→後編を読む
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