Webサイトには2つのストーリーが絶対に必要。でも・・・【ライター目線のWeb制作⑥】
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ホームページは文章や画像、映像などコンテンツが命です。どんなに美しいデザインや先進のプログラムを使っても、中身が充実していなければ、主役の魅力は伝わりません。雑誌や書籍の編集・執筆をルーツとするライターの私にも、Web制作をお手伝いする機会が増えてきました。ここでは、コンテンツ制作を生業とするライターの目線から、Web制作の現場で役立つ情報を連載します。
Webサイトには2つのストーリーが絶対に必要。でも・・・
Webサイト制作では、2種類のストーリーを作ることが重要だと、私は考えています。ひとつは、企業や商品の特徴を効果的・魅力的に伝える表のストーリー。同じモノでも、重点を置くポイントや書く順番、文章表現によって、伝わり方は全く違うものです。
もうひとつは、アクセスした人をどのようにコンバージョンまで導くか、という裏のストーリーです。こちらが意図するように、アクセスした人が動いてくれるよう、マーケットを理解しなければなりません。
ケーススタディ「iPhone 5を販売するサイト」
たとえば、先般登場し、話題になったiPhone 5をWebサイトで販売するとします。画面が3.5インチから4インチへサイズアップしたことは、最も大きなトピックのひとつ。従来モデルのiPhoneユーザーにとっては、大変興味のあるポイントでしょう。
しかし、これからスマホの利用を検討するユーザーにアピールするなら、優先度は下がります。市場で4インチのスマホは決して珍しい存在ではなく、ターゲットにとって「iPhoneを選ぶ理由」は他にあるからです。
その点を考えると、こんな風に2組のストーリーを描けます。
※簡略化した内容です。実際はもっと複雑なストーリーになります。
●iPhoneの既存ユーザーに訴求する場合
【裏のストーリー】
モデルチェンジで進化した点を中心にアピール
↓
それによって生活が変わることを訴求
↓
新モデルへの買い換えを促進。他モデルへの乗り換えを防ぐ
【表のストーリー】
画面の大型化、高速通信への対応やプロセッサーの高速化など
それによって具体的に何がどれほど快適になるか
↓
下取りキャンペーンなど既存ユーザーのメリット
↓
「iPhone 5に変えた方が良い」「だからiPhoneは手放せない」というオチで締める
●スマホ新規ユーザーに訴求する場合
【裏のストーリー】
他のスマホに対するiPhoneの優位性をアピール(気持ち・機能)
↓
それによって生活が変わることを訴求
↓
数多あるスマホの中からiPhoneを選んでもらう
【表のストーリー】
デザインやサイズ感、操作感などiPhoneが積み重ねてきた世界観
※実際のユーザーに取材するなど体験・体感を重視
↓
アプリの機能性や安全性、スムーズな動作
LTE対応や大型化など他のスマホに追いついた点
など機能・スペックとそれで良くなったこと
↓
「スマホはiPhoneしかない」「あなたもiPhoneの世界へ仲間入り」というオチで締める
訴求するマーケットによって、裏のストーリーは違います。それによって、サイトに書くべき内容や順番、語り口(表のストーリー)も変わるのです。
Web制作現場の問題点
表裏2つのストーリーづくりが充実していなければ、Webサイトの目的を適切に果すことはできません。しかし、実際には、この点が意識されることはほとんどない、というのが、Web制作の現場を見てきた私の所感です。
実は、プロのライターが入っているときこそ要注意。たとえば、上記のようなiPhoneの紹介を実力のあるITライターが担当すれば、しっかり読み応えのある記事にしてくれます。だからこそ、誰も疑問を持たず、プロジェクトが進行してしまうのです。読んで楽しいコンテンツでも(雑誌ならそれで良いかもしれません)、目的を持った企業サイトとしては機能しないでしょう。
マーケットを理解するコンテンツ制作者
そんな事態を防ぐには、マーケティングとコンテンツ制作、両方のバランスが大切です。私は、精度の高いWebサイトを作るには
①コンテンツを理解するマーケティング担当者
②マーケットを理解するコンテンツ制作者
③両方を統括できるプロデューサー
のいずれかが必要だと考えています。Webコンテンツ研究所は、まさしく②のマーケットを理解するコンテンツ制作者を信条に、Web制作をお手伝いするプロジェクトなのです。
Webコンテンツ研究所では、そんな能力とポリシーを理解していただける無料の提案サービスを行っています。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
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■□■筆者・小越建典について■□■
小越建典は、都内の編集プロダクションで活躍するライターです。雑誌や書籍の編集、執筆でキャリアを積み、企業Webサイトのライティングも多く手がけます。最近は中小のサイトを中心に、ディレクションまで含めた案件が急増。現在は、出版系のメディアと一般企業のコンテンツを、半々程度の割合で制作しています。
Web制作の現場やコンテンツのあり方に問題意識を持ち、情報発信にも努めています。Webコンテンツ研究所主宰。
ライター・ディレクター 小越建典
Webコンテンツ研究所
MAIL:okoshi@avant-garde.jp
TEL : 050-3632-0545
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