株式会社ゴルフダイジェスト・オンラインにおけるWebマーケティングの現場 (3/3) -既存育成のための施策について-
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Webインテグレーション事業を展開する株式会社マイクロウェーブが、大手Webサイトご担当者様と対談を行い、Webサイト運用における成功事例や失敗事例、今後の取り組みについて語ります。
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【対談index】
第1回: ECサイトのKPIについて
第2回: 新規獲得のための施策について
第3回: 既存育成のための施策について
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最終回となる第3回目は、「既存育成のための施策」についてお伺いします。
3.既存育成のための施策について
――それでは、既存育成のための施策についてお教え頂けますでしょうか。
既存会員については、年間の平均購買価格、購買回数、購買商品の分析を行っています。特に購買商品についてはデモグラフィック属性ごとに詳細に分析し、メルマガはその分析結果を元に購買履歴に合わせて内容をチューニングして配信しています。
メルマガでは、ユニット横断施策により最適なコミュニケーションの実現を目指す
メルマガは、ECやゴルフ場予約といったユニット単位で個別に運営しています。
ただ現状では、併用率はあまり高くないです。
今後はGDO全体としてお客様にどう向き合うかというテーマで、各ユニットの施策を横断的に繋げていくことを検討しています。
例えばゴルフ場予約をしたユーザーに対して、予約日の2週間前にゴルフボール商品のおすすめをするなど、各ユーザーのタイミング毎に最適なコミュニケーション施策を取ることを考えています。
実際にゴルフ場予約の会員がECでもアクティブ会員になって頂いたという成果も出ており、引き続き注力していきたいと考えています。
――なるほど、モチベーションの高いユーザーに対して最適な商品を接触させる、といった最適なコミュニケーションを行うことができるようになっていくわけですね。
そうですね、そのようなシナリオ設計を踏まえたコミュニケーションを行うことを考えています。
大きくは全体配信とセグメント別配信のパターンがあります。週に5,6本配信していますが、セグメントの切り方などを検討して、より効果的な配信を行っています。メルマガの内容は、定形パターンではなく、会員のセグメント分けから配信内容について企画検討を行っています。例えば女性ゴルファーを抽出し、ニーズにマッチする情報を配信するといったケースもあります。
――毎回企画検討するとなると大変ですね。そこは社内のマーケティングスタッフなどと連携しながら進めているのですか?
そうですね、マーケティング部など他のユニットとも連携しながら進めています。
分析や企画の作業は大変ではありますが、今後はさらにチューニングを進めてメルマガからのアクセス時に内容によってサイトの見せ方をカスタマイズするなどの施策も考えています。
――さらに施策を進めていくのですね。現在のメルマガの開封率はどの程度になるのでしょうか?
高いものは数十%程度になります。例えば、キャロウェイのクラブ購入者にキャロウェイの商品情報を送るなど、直接的な訴求を行うものは特に効果が高いですね。ただ、セグメントを細かく設定すればするほど、配信対象数が少なくなってしまうという難点もあります。
他には、言い回しとしてギミックを付けた場合、例えば「?」などを付けてクリック訴求を行うと開封率は上がりますが、コンバージョンレートが下がってしまうケースもあります。
全体配信メルマガについては、不特定多数のお客様にメールを送っているため、開封率の増減などの傾向はあまりありません。クーポンなどのお得情報の配信は、効果が高いですね。
――数十%は高いですね!逆に開封率が低いセグメントの傾向はありますか?
低いもので一桁程度のものもあります。女性向けのメルマガは反応が低いケースが多いですね。
――やはり女性の方が、ゴルフ用品への関心が低い傾向があるのでしょうか?
そうですね、女性に関しては上手く捉え切れていないところがあると感じています。
――なるほど。セグメント別配信については、このようなセグメント毎の傾向を検証しながら配信計画を立てているんですよね。
そうですね。会社としての売上計画を立てて、そこに合わせてメルマガ配信計画も立てています。随時結果を検証しながら計画に反映させています。
――売上計画に紐付いた施策としては、メルマガの効果はまだまだ見込めるのでしょうか。今後の可能性についてはどう考えていますか?新たな施策を考える必要があると思いますか?
弊社のお客様の傾向として、10年以上もメルマガ経由で購入して頂いている会員もある程度いらっしゃるため、そのような優良会員へのアプローチ施策としての可能性はまだまだあると感じています。
――メルマガについては、スマホ独自の施策はやられているのですか?
現在、アクセスの時間帯別分析の結果を元にした施策を行っています。
たとえば休憩、通勤時間帯のアクセスが多いという分析結果を元に、そこに合わせてメルマガの配信時間を設定することで、若干ではありますがスマートフォンアクセスシェアが増えたという効果も見えています。
ただ、メルマガの中身に関しては、PCとスマホを併用してアクセスしているユーザーも多く、ユーザーのセグメント分けも複雑なため分けていません。どの媒体でも見やすいように文字や画像の大きさは調整しています。
――そうすると、メルマガからのLPも定期的に改修したり検証を行っているのですか?
スマホならではの見やすさ、どのような商品が見られるかを検証しつつ飽きられないような定期的改修などを行っています。
――常に新しいことに挑戦していく、そこが御社の販売力であり強みになっているんでしょうね。
そうですね、メルマガ経由のお客様の購買による収益は全体の数割を占めています。
ロイヤリティの低い会員へのアプローチは課題の一つ
――会員の中でも購買意欲が高い方とそうでない方がいるかと思いますが、そのようなグラデーションの低い位置にいる会員に対して引き上げる施策は行っていますか?
セール時などにワンショットで購入される会員もいらっしゃいます。
そのような会員は価格を重視し複数のECを利用していると推測されるため、そこをどう引き上げていくかが課題だと感じています。ポイントなどのインセンティブを強化することも考えていますが、同時に、価格、インセンティブ以外の価値提供も考えて行かなければならないと思っています。
――ポイントは今後どのような施策を検討されているのですか?
現在はGDO内共通で使えるGDOポイントを導入しています。GDOポイントはゴルフ場の予約、買い物などにご利用いただけますが、他の大手ポータルサイトなどのように、サービスの相互利用を後押しするインセンティブとして十分でないところもあるので、今後の課題として考えています。
お客様とどのように継続的にコミュニケーションを行うか、というCRM施策の観点もありますね。
――CRM施策としては、ブランドのファンを醸成していくような動きは行っているのでしょうか。
例えばクラブの試打会など、リアルイベントを行うなどして接点を増やし、ブランドファンを育成していくなどの施策もやりたいと考えています。
商品仕入れはバイヤーと連携しMD計画を策定
――御社ではPB(プライベートブランド)を展開されておりますが、そちらの状況はいかがでしょうか。
PBは、ブランドがあまり主張せず、ナチュラルで普段でも着ることができる、というコンセプトで展開しています。
売り上げは年間億単位あり、特に下着は売り上げも高く、ご評価いただいております。
PBは粗利が高いため今後も展開していきたいと考えていますが、在庫リスクもあるため、慎重に進めています。売れるものからコツコツと伸ばしていきたいですね。
――在庫リスクのあるPB展開も含め、商品販売計画は季節要因も含め読みづらいところもありますよね。御社の仕入れモデルは、受注発注ではなく仕入れを行うモデルなのでしょうか。
そうです、弊社では仕入れ商品を物流センターに確保しています。
仕入れのタイミングや、在庫数などの読みについては、試行錯誤を繰り返しています。
――仕入れの際にはバイヤーが予算を持って行っているのですか?
そうですね、バイヤーは売上予算を持っており、達成するための仕入れ戦略についても試行錯誤しております。
――そのような商品仕入れの現場では、EC担当とバイヤーとの連携は行っていますか?どういう商品が売れるか、今ならどの品番を数多く確保したいのかなどといった計画と連動は行っているのでしょうか。
バイヤーとの連携は常時行っています。
新商品の拡販、在庫処分などを推進するため、どのように販促施策を実施するか、クーポン配布や割引施策をいつどのように打ち出すかなど、仕入れとの足並みを揃えて計画を立てています。
――MD計画(MerchanDising計画)も立てられているのですか?
はい、立てています。
例えば、ゴルフクラブは、発売してから次の新製品が出るまでの周期は、おおよそ2年くらいになるため、その周期をベースにした品揃え計画を検討する際に、年代別や性別などの定量分析、ゴルフ好きなユーザーの声などを元にした定性分析を定期的に行っています。
しかし、どうしても価格訴求によりがちになるところもあり、MD計画についてはまだ発展途上だと感じています。
価格訴求によりすぎた計画だと、価格のみを重視するユーザーが増えてしまい、他ECサイトへお客様が流出しやすいですし。
――商品の売れ筋として、セール時以外に季節のトレンドなどはあるのでしょうか?
商品の売れ筋では季節ごとのトレンドが見られます。
春夏は半そでポロシャツ、冬はダウン、梅雨時はレインウェアなどです。
真冬や真夏はプレイ人口が減るため、ECも含め売り上げが落ちる傾向があります。
「GDOトライシクルモデル」によってゴルフライフのトータルサポートの実現へ
――以前、大規模なシステム改修をされていましたね。それはやはり「ゴルフで世界をつなぐ」ための機能やサービス拡充が目的であったのでしょうか。
はい、システム改修のメインは、複数の事業のIDを統合して回遊性を高めたことです。
弊社独自のビジネスモデル「GDOトライシクルモデル」の仕組み構築の一環として行っていました。
今後も、ゴルフライフのトータルサポートを目指し、ゴルフユーザーが集まる場所を作っていきます。
――ECを取り巻く環境は、デバイスの進化や競合状況、ユーザーニーズによっても変化を繰り返してきました。改修を繰り返しながら自社のビジネスを確立されていっている姿勢は、まさにオンリーワンで先行者であると感じました。貴重なお話を頂き、本当に有難うございました。
こちらこそ有難うございました。
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【対談index】
第1回: ECサイトのKPIについて
第2回: 新規獲得のための施策について
第3回: 既存育成のための施策について
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