世界中で利用が伸びるBNPL(後払い決済)サービスの日本のパイオニア、ネットプロテクションズがShopifyと連携した狙いとは? | ネットショップ担当者フォーラム

ネットショップ担当者フォーラム - 2022年7月25日(月) 07:00
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Eコマースプラットフォーム「Shopify」を提供するShopify Japanと、後払い決済サービス「NP後払い」「atone」を展開するネットプロテクションズ。サービスの連携を始めた両社がEコマースの現在地と今後について語った
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世界中で注目を集めるECプラットフォーム「Shopify(ショッピファイ)」と、国内BNPL(後払い決済)のパイオニアで「NP後払い」「atone(アトネ)」を手がけるネットプロテクションズはこのほど、サービス連携を開始した。

ネットショップ担当者フォーラム 2022 春」のセッションでは互いのサービスの特徴や連携によるメリットなどについて、ネットプロテクションズの秋山瞬氏とShopify Japanの伊田聡輔氏が解説。さらに事業者と消費者の双方にとって最適なEコマースの購買体験を実現するために今後求められることは何なのか、両氏が展望する。本セッションはネットショップ担当者フォーラム瀧川正実編集長の司会で進行した。

(左)ネットプロテクションズ 秋山 瞬 氏(中)Shopify Japan 伊田 聡輔 氏(右)ネットショップ担当者フォーラム編集長 瀧川 正実 氏(左)株式会社ネットプロテクションズ ビジネスディベロップメントグループ 執行役員 秋山 瞬 氏
(中)Shopify Japan株式会社 シニア セールスリード 伊田 聡輔 氏
(右)ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長 瀧川 正実 氏
「Shopify」が「NP後払い」「atone」と連携する狙い

2022年4月にネットプロテクションズが提供する「NP後払い」「atone(アトネ)」の2つのサービスが「Shopify(ショッピファイ)」と連携した。

Shopifyとネットプロテクションズのサービスが連携Shopifyとネットプロテクションズのサービスが連携

Shopify Japanの伊田氏は「世界中の人にShopifyを使ってもらうことを考えたときに、グローバルであることが大切になる部分と、ローカルで使えるものでなければいけない部分がある」と述べる。

グローバル展開のメリットは、プラットフォームがデータセンターを持つことでWebサイトがダウンしにくいこと、キャパシティが大きいことなどがあげられる。一方、物流や決済など、日本のEC事業者がShopifyで物を売る際には、国内サービスを導入する必要があるという。

Shopify Japanとしては、BNPLにおける日本のパイオニアであるネットプロテクションズと組むことで、EC事業者とユーザー双方にとってより高い利便性を提供していきたいとの思惑がある。

コロナ禍とリソースの最適化を狙い増加するShopify導入企業

コロナ禍においてECビジネスに参入する企業や、そこで買い物をするユーザーが増加している。その理由について、伊田氏は「コロナ禍によって実体経済がEコマースの世界に移っているという流れがある」としつつ、それ以外にも日本ならではの要因があるとして次のように指摘する。

日本では、かなりの数のEコマースサイトが5年前、10年前に作られたまま老朽化していると考えられる。当然、事業者側は改修しなければいけないという使命感を持っているが、既存のサイトのマネージメント、たとえばキャンペーンを回したり、季節商品の入れ替えをしたり、維持管理したりする仕事にリソースの多くが割かれてしまい、サイトの改修にまで手が回らない。(伊田氏)

Shopifyとネットプロテクションズのサービスが連携Shopify Japanシニアセールスリードの伊田聡輔氏

こうした環境のなかで、短い期間で簡単に導入ができ、少ないリソースで運営ができるShopifyに注目が集まっているのではないかと見ている。見方を変えると、ビジネスの「成長」と「メンテナンス」の2つの軸のうち、より多くのリソースを「成長」に使いたいと考える企業がShopifyを選んでいると伊田氏は分析する。

実際、Shopifyを導入する企業からは、「オペレーション面でより効率化していきたい」や「負荷なく運営していきたい」といったニーズが寄せられているようだ。

導入企業増加の要因として、伊田氏がもう1つあげるのが、ノーコード・ローコードでやりたいことができるという点だ。つまりコーディングをせずにフレキシブルにWebサイトを改修できる利便性の高さが評価されているようだ。

「売ることに全勢力をつぎ込みたいという事業者をサポートするのがプラットフォームの役目であり、そこが支持されている」と伊田氏。

こうしたShopifyの拡大について、後払い決済サービスを提供するネットプロテクションズの秋山氏も評価している。

事業者にとっては、手軽に使えるという点が非常に大事で、それが事業規模を問わずに提供できているShopifyの強みであり素晴らしいところ。最近は導入企業が一層増えている印象で、機能も拡充し使い勝手もよくなっている。(秋山氏)

ネットプロテクションズ執行役員の秋山瞬氏ネットプロテクションズ執行役員の秋山瞬氏
Shopifyがサービス運用で大事にしていること

ここでShopifyの運営方針/コンセプトを整理しておこう。Shopifyが重視していることとして、大きく4点をあげることができる。

①成長
サイトのメンテナンスではなくて、ビジネスの成長に事業者のリソースを割けるようにする。

② シンプルな操作性
コーディングの知識がない人でもやりたいことがすべて実現できるように、高い操作性を実現する。

③ オートメーション
在庫がなくなったら自動的にそのEコマースサイトから商品を消すなど、ルーティーンの業務を自動化する。

④イノベーション
最新の機能を素早く搭載できるプラットフォームである。

上記の4点を踏まえた下記2点がShopifyのコンセプトとなる。

  • 事業者が今、やらなければいけないことが簡単にできるようにする。
  • 今後、やらないといけないことはできるようにする。
Shopifyが重視している4つのことShopifyが重視している4つのこと
後払い決済サービスに関するトレンド――国内と海外の違い

コロナ禍以降、決済手段の拡充についても注目度が高まっている。買い物体験の向上を目指す企業が増えていることが背景にあるが、この流れは世界的にも進んでおり、2021年はAmazonがBNPLの導入を開始。アメリカだけではなく、ヨーロッパ、オーストラリアでもBNPLはトレンドになっている。

日本では、BNPLの分野はネットプロテクションズがパイオニアとなり、後払い決済の文化を創出してきた。もっとも、海外と日本では、BNPLに対するニーズなどにおいて異なる点もあるようだ。

海外の場合、クレジットカードで支払う際に手数料を払って分割払いをしていたユーザーの間で、購買後に手数料無料で分割払いができるという点が評価されている。つまりクレジットカードの代わりに手数料無料で分割払いができるサービスというのがBNPLの位置づけだ。

これに対して、日本では事情が異なる。日本では元々、カタログ通販で後払いという決済手段に馴染みがあった。カタログ通販からEコマースに移行しても、物が届いてから安心して払いたいというニーズは依然としてある。つまり分割ではなく一括で、物を見てから安心して払いたいというニーズに対応しているのが日本のBNPLのあり方だと言える。

国内と海外の後払い決済の違い国内と海外の後払い決済の違い
クレジットカードの保有率と分割・リボ払いの日米比較

日本のクレジットカードの保有率は微減傾向にある。ただ、分割やリボ払いをアメリカと比べると、日本は明らかにニーズが少ない。日本の商習慣ではそもそも分割払いに対してあまり馴染みがないことが影響しているようだ。

クレジットカード保有率は微減し、分割・リボ払いの利用は少ないクレジットカード保有率は微減し、分割・リボ払いの利用は少ない
ネットプロテクションズ会員の内訳

ネットプロテクションズの会員500万人のうち、性別では女性が76%と多く、年齢層では20代から60代まで幅広い年代が利用している。また、クレジットカードの保有率は70%程度で、カードを持っていながら後払い決済を利用しているユーザーが多い傾向にある。

対面での購入時にはクレジットカードを使うが、Eコマースで物を買うときはネット上にクレジットカード情報を残したくなかったり、新しいEコマースサイトでは後払いで買いたかったりというニーズが背景にある。昨今、不正アクセスが増加するなか、ユーザーはクレジットカードと後払いを使いわけているようだ。

また、コロナ禍によって、代引きのように配送スタッフと対面で支払いをするのを避ける傾向にある。加えて、宅配ボックスや置き配など配達手段の進化もあり、後払い決済サービスの利用拡大を後押ししている。

ネットプロテクションズの会員セグメントネットプロテクションズの会員セグメント
日本におけるBNPLの市場動向

日本のEC市場は拡大傾向にあるが、その伸び以上にBNPLの市場規模は伸長している。ネットプロテクションズによると、これまで全く後払い決済を導入していなかった事業者が新たに始めるケースが増加しており、それと同時に、ユーザーが後払い決済を利用する金額も増えてきているという。

BNPLの市場は成長しているBNPLの市場は成長している
ネットプロテクションズが掲げるミッション「つぎのアタリマエをつくる」

ネットプロテクションズでは「つぎのアタリマエをつくる」というミッションを掲げている。

Eコマースをするなかで、決済は切っても切り離せない。その部分を決済専業会社に任せることで、EC事業者は空いた時間で本業に集中する。このように次の当たり前を作ることを実現していくのが目指すビジョンだ。

ネットプロテクションズが決済で最も大事にしているのが与信の仕組み。後払い決済という特性上、購入後に支払わないという事態を避けるため、20年間で3億件のデータを蓄積し、そのデータを用いて独自の与信システムを構築している。また、与信では取引を止めずユーザーにストレスを与えないことも大事になる。そこで与信の通過率の高さも同時に実現するような仕組みを20年間磨き続けているという。

ネットプロテクションズは独自の与信システムを構築ネットプロテクションズは独自の与信システムを構築

ネットプロテクションズでは、EC事業者の売り上げ拡大への貢献にとどまらず、利用者側に対してもAIを活用しながら取引の透明性を担保し、購買のサポートも行っている。

ネットプロテクションズが目指す理想の決済ネットプロテクションズが目指す理想の決済
新規顧客獲得に有利な「NP後払い」と優良顧客の定着化に強い「atone」

ネットプロテクションズの「NP後払い」は、Eコマースにおける物販の決済として利用される。ユーザーは会員登録が必要なく、名前・住所・電話番号・メールアドレスを登録すると、請求書が届き、コンビニや郵便局で支払う。日本の7人に1人がこのサービスを使っているという。

このNP後払いを進化させた決済サービスが「atone」で、携帯電話番号とパスワード入力によるログインで利用する。NP後払いが購入のたびに請求書が届いて支払うのに対して、atoneは月でまとめて支払う。請求書はハガキだけでなく、メールやアプリにも対応。買い物時に使えるポイントも付与する。

NP後払いは会員登録が不要なため、新規の顧客獲得において有利となる。一方、リテンションにつなげてLTVを高めていきたい場面では、atoneの方が親和性は高い。

NP後払いとatoneの違いNP後払いとatoneの違い

メンズスキンケアのD2Cを手がけるECサイトでは、NP後払いとatoneを併用したことで、初回購入の翌月以降にリピートする割合が14%アップした事例もあるという。「新規顧客の獲得」と「既存顧客の継続化」という2つの軸において確実に成果を出している。

NP後払いとatoneの今後について、ネットプロテクションズの秋山氏は「事業者と消費者の双方がストレスなく購買体験できる決済サービスとして、さらに付加価値を提供していきたい」とする。

その一環で、NP後払いとatoneの両サービスを使う際にそれぞれ開発が必要だったところを、共通のインターフェースを作ることで両サービスの導入やアップデートを同時にできるようにしていく計画だ。

2つのサービスに共通のインターフェースを設ける2つのサービスに共通のインターフェースを設ける
Shopifyとネットプロテクションズの協業で目指す世界とは?

ShopifyがEコマースで物を売るための敷居を下げるプラットフォームだとすると、ネットプロテクションズのNP後払いはEコマースで物を買うための敷居を下げるサービスと言える。その意味では、Shopifyとネットプロテクションズの協業は「売る側の敷居を下げ、買う側の敷居も下げることに大きく貢献する」(伊田氏)ことになりそうだ。

さらに、atoneに関しては、Eコマースだけではなく実店舗でも使えるサービス設計になっており、物販に限らずデジタルコンテンツでも使えることから、対象となる領域も広くなる。ネットプロテクションズとしても「誰でもどこでも使えるような世界観を作っていきたい」(秋山氏)と意気込む。

また、atoneのアカウントを持っていれば初めて利用するEコマースでatoneのアカウント情報を使って簡単に会員登録をすることができる機能を提供する予定だ。

atoneのログイン機能atoneのログイン機能

Shopify Japanの伊田氏はECモールか自社ECサイトの2択ではなく、「どこでも売れるし、どこでも買えることが大事」と話す。

ECモール、自社サイト、SNS、実店舗などすべてのチャネルで同じ顧客経験を提供するというのが、これからのコマースのあり方だろう。(伊田氏)

今回の両社の協業によって、こうした新しいコマースの実現に向けた動きがより加速していきそうだ。

どこからでも買える顧客体験の提供を目指すどこからでも買える顧客体験の提供を目指す

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オリジナル記事:世界中で利用が伸びるBNPL(後払い決済)サービスの日本のパイオニア、ネットプロテクションズがShopifyと連携した狙いとは?
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