矢野経済研究所は5月28日、国内の物流工程における流通加工市場を調査し、結果を発表した。それによると、2024年度の物流工程における流通加工市場の規模は1兆1100億円の見込みとした。
物流工程において、製品・商品の価値を高めるために主に倉庫内で行われる作業(製品・本体に対して行われる作業や、数量・容量・単位を変更する作業、外装などに対して行われる作業など)を対象に市場規模を算出した。
2023年度の物流工程における流通加工国内市場規模(事業者売上高ベース)は1兆800億円と推計。矢野経済調べの物流総市場規模である23兆4015億円(2023年度見込み)のうち、4.6%を占める規模となった。2030年度には1兆3100億円規模まで到達すると予測している。

物流工程における流通加工国内市場規模予測
市場動向として、近年サプライチェーンの上流から下流まで、ワンストップサービスを提供する物流事業者が増えていると指摘。単なる輸送や保管といった従来型の物流機能(入出庫作業や保管業務など)だけではなく、流通加工などの付加価値サービスも組み合わせた一気通貫の物流サービスの提供で、効率的で最適な物流体制を構築しているとした。
輸送や保管が主要業務となる物流業において、流通加工は物流機能拡大の一翼を担い、サプライチェーンの最適化を促進し、付加価値の創出に資する要素として注目されているとした。注目される背景として次の4つをあげている。
- 国内貨物輸送量の減少
- 輸送効率化ニーズの拡大
- 倉庫自動化の進展
- EC化の進展

物流事業者にとって流通加工の重要性が高まっている背景
物流工程における流通加工ニーズは、メーカーや小売業などの荷主企業が担っていた作業にも業務領域を拡大することで、従来型の物流業務以上の伸びが期待される。調査では規模拡大に向けたポイントは、「サプライチェーンにおける流通加工の最適化」と指摘。荷主企業は、輸送効率、保管効率、作業効率、貨物量の適正化、製品・商品の価値向上(差別化)、リードタイム、作業人員の確保など、複数の要素を考慮して、全体最適の観点から業務の最適化を判断することが求められるとした。
矢野経済では、これからの物流事業者の流通加工は、単なる請負作業にとどまらず荷主企業の課題やニーズを把握し、サプライチェーン全体の効率化を推進する提案型ビジネスへと進化し、より一層拡大していくものと考えると総括した。
調査概要
- 調査期間:2025年2月~4月
- 調査対象:国内有力物流事業者など
- 調査方法:矢野経済研究所の専門研究員による直接面談(オンライン含む)、アンケート調査、文献調査併用
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オリジナル記事:EC化の進展などで物流工程における流通加工市場規模は2024年度1兆1100億円の見込み
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