構造化されたサイトには適切に整理されたデータが必要
構造化されたサイトには
適切に整理されたデータが必要
「作業の流れとしては、商品ごとにどのパターンを使うかを決め、エクセルでデータを作成してキノトロープの担当者に渡します。CMSへデータを入力した後、商品担当がチェックしていきますが、この工程が一番大変でした。
と言うのも、CMS化する場合は、データがちゃんと設計して整理された状態になっていないと自動的な流し込みはできないのですが、既存のサイトにあった情報は、よく設計されたデータベースのような作りにはなっていなかったからです」
古謝氏の言うように、既存のデータは紙ベースで作成したカタログのものが元になっていた。紙のカタログを作るときは、紙面の制限もあるし、ページを開いたときの見た目を優先することもある。打ち合わせをし、紙面を作りながら確認して変更していった、あまり厳密ではないものだったのだ。これをCMS用のデータベースに合わせるために手作業で修正し、サイト構造を作っていくのは、商品知識がないと難しいことだろう。
「一度データを渡して最初にできてきたページをチェックするのが一番大変でした。商品の詳細内容がちょっと違うというのではなく、ページごとに大きく違っているところをチェックする必要があったのです。事前に打ち合わせをしていたものの、やはりズレが出てきました。製品をどういう順番で並べ、どうグループ化してどこに情報を載せていくかという細かいルールが必要になるのですが、製品によってペン先の固さ、色、種類などバリエーションのタイプがばらばらだったんですね。キノトロープさんも商品数のボリュームはわかっていても、製品個別の仕様の細かさが想定以上だったのではないかと思います」(古謝氏)
商品を作るときには、ウェブサイト用のCMSにデータを入力するためにきれいにカテゴリ分けをして作るわけではない。万年筆なら万年筆で、ボールペンならボールペンで特色のある独自の製品を開発するのだから、よほど商品知識のある人間が工夫をしてサイトの構造やカテゴリ分けをしないと、無理が生じてしまう。
カテゴリにこだわらず、検索をうまく使った動的なサイトにするほうが作りやすかったのではないかと尋ねてみた。
「それも検討しましたよ。社内でも検索機能を強化してほしいという声もありました。しかし、今回は見送りました。と言うのも、今回の構築の中でパイロットのウェブサイトを訪れるお客様が何かを目的にきているとき、検索で商品を見せていくことがはたして適切なのか、ユーザーにわかりやすく見せるためには、もっとわかりやすい切り口が必要なのではないかと考えたのです。そこで、製品をカテゴリ別に表示してカタログ的に見る以外の切り口を設けることにしました」
リニューアル後のサイトでは、カタログ形式とは別に、新しいナビゲーションが設置された。「楽しく」「機能的に」「こだわって」という、筆記具を使ったり選んだりする際の3つの切り口による選び方だ。そのときの気分、状況によって商品を選ぶという、ユーザーへの提案をも含めた仕組みは、確かに検索機能よりもユーザーのニーズには合っているようだ。
CMSの導入で広がる
さらに先の展開
FatWire Content Serverの導入で、基本的構造と更新スピードについての満足は得られたのだろうか。
「満足しています。構造については、同じような視点で商品を見られるのが良いです。新商品の情報を追加するのも、自分たちで迷わずできるようになりました。ページをどこに置くかもあらかじめ決まっているので、商品担当が代わってもすぐに作業を引き継げます。
ただ、新システムのワークフローはまだ確立できていないというのが現状です。現在、サイトの情報更新を担当しているのは商品担当者です。しかし、商品担当者の本業は商品企画ですから、本来ならクリエイティブな仕事に注力してほしいのです。だれでもルールどおり入力すればきれいなページを作れるのならば、事務的な作業は別の人に任せるべきではないかという思いがあります。CMSを組織としてどのような体制で活用していくかは、今後の課題となります」
FatWire Content Serverは高機能なCMSで、動的配信やコンテンツごとのアクセス解析など、さまざまな機能がある。しかし、パイロットコーポレーションではまだ必要最低限の使い方しかしていない。更新用のシステムを独自で作るほうがコストは安かったのではないかとも思ったが、そうではないようだ。
「長期的には、筆記具や文具だけでなく、他の事業部のコンテンツもうまく融合していきたいと考えています。今は必要最低限の機能しか使っていませんが、これから運用をしていって、その中でいろいろとやりたいと思うことが出てくると思います。しっかりとしたCMSでサイトを作っておけば、その新たな可能性にもどんどん挑戦できますから」
解決したかった問題点
- サイト全体を構造化し、ページの作りやデザインを統一したい
- ユーザーが情報にたどり着く動線をしっかりと作りたい
- 制作会社に頼まなくても自分たちが情報を追加・更新できるようにしたい
製品名 | Content Server |
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提供事業者 | FatWire株式会社 |
URL | http://www.fatwire.co.jp/ |
提供形態 | インストール型 |
出力形態 | 動的ページ出力・静的HTML出力 |
対応OS | Windows/Linux/Solaris/AIX |
特 徴 | B2CからB2E/EIP、B2B2C/デマンドチェーンにおけるコンテンツ収集/作成、管理、配信を一貫してサポートする。業界標準のアプリケーションサーバー(J2EE)を基盤とし、コンポーネントとして提供される。 |
FatWire Content Serverを利用して静的配信CMS(コーポレートウェブ)をクイックスタートできるお得なセットをFirstSiteLiteという名称で提供中。FirstSiteLiteには次の4つの特徴がある。
特徴1 静的コーポレートウェブサイトのクイックスタートキット:コーポレートウェブ/ウェブガバナンス向けのテンプレート、マルチ静的配信モジュールFlexPublisher2、1CPUのFatWire Content Server 6.3の3つのセット。
特徴2 IT投資が予測可能な555万円の価格設定(1年間の保守料を含む):サイト数が無制限(異なるURLがいくつでもOK)、異なるURLのマルチサイトによるSEO対策に有効、ページ数が無制限(何ページでも出力OK)、テンプレート数が無制限(何パターンでも作成OK)、編集者数が無制限(何人でも登録OK)※ただし、同時アクセス数はサーバーの負荷への考慮が必要
特徴3 移行から運用までの導入支援:従来コンテンツの移行支援、FirstSite Liteのコーポレートウェブ/ウェブガバナンス向けのテンプレートカスタマイズ支援、スムーズな運用を行うためのトレーニング支援体制も万全。
特徴4 「いつかは基幹連動」などの拡張性抜群:グローバルウェブへ拡張、ミラーパブリッシュ動的配信へ拡張、OneToOne動的配信へ拡張、印刷連携(FlexOneでAdobe InDesignへPublish)、基幹連動(ウェブサービスなど)への拡張
※この記事は、『Web担当者 現場のノウハウVol.1』掲載の記事です。
※社名、所属部署、利用サービス、価格など、この記事内に記載の内容は、取材当時または記事初出当時(2006年7月)のものです。
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