複数のゴールを提示する「コントラスト効果」
複数のゴールを提示する「コントラスト効果」
非常に高価な商品Aを見たあとに、それよりは安価な商品Bを見ると、普段なら手が出ない商品Bが安く感じられることがある。これは「コントラスト効果」と呼ばれ、相対的に物事を捉えがちな人間の認知特性が引き起こす現象である。
ウェブサイトにおいても、このコントラスト効果を上手く利用することで、ユーザーをビジネスゴールへと効果的に誘導できる場合が多い。
たとえば、「お問い合わせ」と「資料請求」という2つのボタンを並列に設置すると、「資料請求」ボタン単体の場合に比べて「資料請求」ボタンがクリックされやすくなるといったケースがユーザビリティテストでも観察されている。
この場合は、「お問い合わせは面倒だけど、資料請求だけならまあいいか」というユーザーの心理が働いていると考えられる。その結果、相対的に簡単に見える(=ユーザーにとって障壁の低い)アクションである資料請求のクリックが促進されているわけである(図3)。
このように、コントラスト効果をうまく利用することで、会員登録や資料請求数を増やすことが可能なケースがある。
ただし、このコントラスト効果は、あくまで、ユーザーに選択肢を提示するという姿勢のもとで実装することが必要である。虚偽の情報を与えるなど、ユーザーをあざむくようなやり方では、逆にユーザーに敬遠されてしまう。
情報収集からスムーズに誘導できるようにする
お問い合せや資料請求を多く集めたいと思うあまり、ページのファーストビュー(画面をスクロールしなくても見える位置)へ誘導のリンクを設置しているサイトを見かけることがある。
ところが、ユーザーはコンテンツの部分を上から下へ読んでいく。そのため、ユーザビリティテストを行うと、お問い合わせボタンにユーザーが気づかない結果がしばしば見られる(図4)。
そこで、コンテンツの直下にお問い合わせや資料請求のリンクを設置すると、効果的にクリックしてもらえるようになることが多い(図5)。
ユーザーがページの内容を一通り読み終え、興味を持った時点でお問い合わせや資料請求へのリンクを提示するわけである。
1ページの中でも、ユーザーがどのような順で情報を見るかを考慮し、最適なリンク配置を行うことで、スムーズにビジネスゴールへとユーザーを導くことが可能になる。
また、リンクの設置についても、テキストリンクではなく、ボタン形式にすることで、“(お問い合わせや資料請求などの)次のステップへ移動する”ことをより明確にユーザーに伝えることができる(図6)。
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