2007年3月6日、体感温度が氷点下2度と底冷えするニューヨークで、ClickZ主催のUnica後援によるセミナー「The New Age of Web 2.0 Marketing(Web 2.0マーケティングの新時代)」に参加してきたの。場所はニューヨークヒルトンで、参加は無料だったし、すごく良いセミナーだった!
このセミナーに参加するまで、ウェブサイトが成功する秘訣は主に2つだって思っていたの。つまり、ウェブのデザイン/開発/利便性が1つで、検索エンジン最適化(SEO)および検索エンジンマーケティング(SEM)がもう1つ。
だけどセミナーに参加して、もう1つあるんだってことがわかったわ。それは解析よ。クリエイティブで多面的なウェブデザインやSEOやSEMとは違い、解析は傾向や数字を扱う作業で、専門的な1つの職務って感じね。成功しているウェブサイトは、ウェブデザインやSEOやSEMの作戦をうまく進めるために解析作業を行っているの。
セミナーの進行役はClickZのRebecca Lieb氏で、JupiterKaganのDavid Schatsky社長や、UnicaのSteven O'Brien副社長、Reed Businessのウェブ解析担当ディレクタJudah Phillips氏が壇上にいたわ。
Web 2.0とは?
Phillips氏の定義によると、Web 2.0とは「ブログ、Wiki、ソーシャルネットワーキング、消費者生成コンテンツ、ポッドキャスト、RSS、RIA(リッチ・インターネット・アプリケーション)、ソーシャルタギングやソーシャルブックマーク、パブリッシング、ソーシャルネットワーク、レビュー、マッシュアップ型のコンテンツ作成」とのこと。
一方O'Brien氏の定義は次の通り。
増大するインターネット上のソフトウェアやサービスに対する投資を正当化しようと、ベンダーが使っているマーケティング上のもっともらしい言葉。
双方向性のあるウェブアプリケーションを作成するための技術(Ajax、SOAP、RIAなど)の総称。
ネットバブル崩壊後、カンファレンスを宣伝するためO'Reilly Mediaが2004年に編み出した造語。
FlickrやMySpaceなど、ユーザー生成コンテンツやユーザー参加を促すインターネットサービスの総称。
Web 2.0とは関与だ
Web 2.0型ウェブサイトの目標は、より多くの人に関与してもらうことにある。関与の度合いは、セッション数や訪問数、繰り返し訪問の数、セッション時間、RIAの利用(回転や拡大など)、ダウンロード数、アップロード数、レビューの数、コメントの数、投票数、購読者数、見込み客接触数などから測定できるんだって。成果は、推薦、登録、購入などで測定できるそうよ。
Web 2.0型ウェブサイトが目指すもの
Web 2.0型ウェブサイト解析の課題
Web 2.0によって、ウェブサイト統計の新たな評価モデルが生まれた。もはやページビューは、ウェブサイトの活動状況を評価するのに最適な指標ではない。RIAの急増で、従来型の測定方法では評価が難しくなり、多くの動作がページ間を移動せずに発生するため、Web 2.0要素の効果測定には新たな方法が必要になった。
RIAアプリケーションで最も一般的なのは、Adobe Flash、Javaアプレット/アプリケーション、Active Xコントロール、Ajaxとのこと。
イベントに対するタグ付け機能を使って、関連するイベントをマークしておくことは、どの機能がどんなコンバージョンを生み出しているのか知る上で必要。これを行うためには、適切なタグ付け方法を使う必要がある。
FlashやFlexを使ったアプリケーションまたはムービー:ActionScriptタグ
Ajax、DHTML、自分のブログ:JavaScriptタグ
他所のブログに載った自分のブログ記事:ウェブビーコン
関与度合いを評価するための解析
解析活用の成熟度合い
ウェブサイトの大多数は、すでに解析を導入済みか、現在投資をしているところ。47%がウェブ解析を使用中で、12%が今後12か月以内にアップグレードや入れ換えを計画中、22%が導入を計画していて、19%が導入計画なし。
ウェブ解析に関する企業の取り組みの度合いは、5段階に分けることができるそうよ。
- 第0段階:
- ウェブ解析未導入。
- 第1段階:
- 最低限の技術投資(1万ドル未満)を行い、ウェブトラフィックに関する標準的なレポートを作成している企業。売上が5,000万ドルに満たない小さな会社。
- 第2段階:
- 年間1万ドルから2万5,000ドルの技術投資を行っている企業。レポート、経路分析、商取引分析のためにさほど多くない額を充て、型どおりのレポートの作成に若手社員を1人配置している。売上が5,000万ドルから5億ドルの会社。
- 第3段階:
- 中程度から高額の技術投資(年間2万5,000ドルから12万5,000ドル)を行っている企業。このグループが用いている解析プログラムは、目的に合わせたデータ生成や、別システムとの統合を実現している。データ解析専門の社員を1人配置している。売上が30億ドルまでの企業。
- 第4段階:
- 悟りの境地。技術投資は年間15万ドルを超える。解析に多額の投資を行っており、5人以上の担当者が業務上重要な存在になっている。意思決定の際に解析は不可欠。組織を左右する最重要事項の意思決定は、データ解析担当者の助言なしには行われない。
各段階におけるデータ解析担当の責任とは?
- 第1段階:
- 企業は解析プログラムに投資し、そのプログラムの管理やレポートの作成のために毎週数時間を費やす。そしてサイトへの訪問者がどのように活動し、それが事業目標とどう関係しているのかを把握する。データ解析担当者は、ユーザーの活動とそれが意味することの2点を結び付ける。またデータ解析担当者は、レポートの作成とその配布に力を入れており、データの重要性について他のスタッフを啓蒙しようと試みている。
- 第2段階:
- データに取り組み、その価値を啓蒙するためフルタイムのスタッフが1人割り当てられている。
- 第3段階:
- データに基づいて継続的な改善を行うという考え方が定着している。データを行動の促進に活かし、その行動がサイトデザイン、電子メールマーケティング、検索マーケティングに影響を与えている。
- 第4段階:
- アクセス解析に多額の投資を行い、その投資に値する見返りを得ている。
解析ツールの活用
データの収集と解析で問題となるのは、データが多すぎること、専門的なノウハウが不足していること、そして無数の事柄を測定できてしまうこと。企業がデータの収集と解析に必要なツールを配備しても、それだけでデータを読み解けるわけじゃない。
企業が業績に与える解析作業の重要性を理解すれば、次に乗り越えるべき難題は、データの扱い方だ。過剰なデータを避けるため、今すぐ価値をもたらすデータのみを収集し、段階的に収集と調査の手を広げること。たった1つの側面だけに集中することも役に立つ可能性がある。
解析ツールの多くは、最も基礎的なレベルでしか使われていない。一般的なトラフィックレポートの作成用としてのみ利用しているのがほとんどだ。
追跡するのが興味深い統計値の1つに、クリックストリームというものがある。メールキャンペーンをユーザーに最適化すると、見返りは非常に大きい。クリックストリームデータに対する深い理解があれば、ユーザーの振る舞いに基づいてターゲット化した、効果の高いメッセージを作成できる。
ウェブ解析に対する私の直感
ここまでセミナーで見聞きしたことを書いてきたけど、ウェブ解析っていうのは、言わば洞察マシーンね。セミナーを受ける前の私は、解析の大切さや、解析をどういう風に使うべきかについて認識していなかったというか、完全には理解していなかったの。ウェブサイトを検証し改良する作業を、継続的に行うために解析を使えば、ウェブサイトがインターネット上の戦力として侮りがたいものになるのね。
私はウェブサイトの統計情報を、最も基礎的なレベルで使ってるわ。だから、これからやらなきゃならないこと全部を考えると圧倒されちゃう。とりあえずゆっくり始めることにして、まずはクリック経路とランディングページに集中し、その2つをもっと改良するわ。
Search Engine Strategiesカンファレンスのニューヨーク開催(SES NY)が楽しみ!
ウェブサイトを成功に導く洞察に満ちたセッションに参加するのって、いつだってとっても興味深いよね。SES NY精神的にも、電話なし、締切なし、電子メールなしという状態の部屋で3時間学ぶのは、すばらしかったわ。とても新しくて、複雑で、刺激的な業界だから、ワクワクする雰囲気があったの。
これだけ書いてもピンと来ない人のためにはっきり書くと、要するに4月10日に開幕するSES NYが待ち遠しいってこと。4月にニューヨークへ来る人のために、ロングアイランドから帰る道すがら街並の写真を撮っておいたの。ほら、何だかワクワクしてきたでしょ?
じゃあ、会場で会いましょうね!
ソーシャルもやってます!