主婦や事務職はYahoo! JAPANを、経営者はGoogleを使う/検索サービスの利用に関する調査
Webマーケティングガイドでは、インターネット調査会社の株式会社ボーダーズと共同調査のもと、検索サービスの利用実態に関する調査「第6回検索サービス利用調査」を行った。
その結果、普段利用している検索サービスはYahoo! JAPANであるとの回答が最も多く、Googleがそれに続いた。また、職業別/職種別/業種別で見てみると、Googleの利用者はYahoo! JAPAN利用者に比べ、専門職や経営者・役員などの割合が高い傾向にあり、Yahoo! JAPANではGoogle利用者に比べ主婦や技術系以外の事務職、販売職などの割合が高い傾向にあることがわかった。
※調査概要に関しては、記事の末尾に記載している。
Google利用率の伸びがYahoo! JAPANの伸びを上回る
Q1では、普段利用している検索サービス(複数回答)について聞いた。その結果、利用している検索サービスは「Yahoo! JAPAN」が88.4%と多くのユーザーが利用しており、「Google」が70.6%と続いた。
この結果を第1回検索エンジン利用調査(2006年11月)と比較すると、ほとんどの検索エンジンで、利用率が増加していることがわかった。その内、利用率が増加した上位3検索サービスは、「Google(16.2ポイント増)」「goo(14.3ポイント増)」「infoseek(13.9ポイント増)」となった。Yahoo! JAPANは11.5ポイントという伸びにとどまり、その他検索サービスの利用率の増加を下回る結果になった。
約6割が主にYahoo! JAPANを利用
次にQ2では、最も利用している検索サービス(単一回答)を尋ねたところ、最も利用している検索サービスは「Yahoo! JAPAN」が59.8%と半数を超え、次いで「Google」が32.4%という結果になった。
米調査会社comScoreが2007年9月21日に発表したcomScore qSearchデータ中の2007年8月の米国における検索エンジンシェア調査結果によると、1位はGoogleで前月比1.3ポイント増の56.5%。2位はYahoo!で前月比マイナス0.2ポイントの23.3%。3位はマイクロソフトで同マイナス1.0ポイントの11.3%だった。
※参照:comScore Releases August U.S. Search Engine Rankings
それに対してこの調査では「Yahoo! JAPAN」と「Google」で92.2%の市場シェアを占め、特に、Yahoo! JAPANの市場占有率が際立つ結果となった。
専業主婦はYahoo! JAPANをよく利用する
Q3では、Q2でYahoo! JAPANとGoogleを最も利用していると答えたユーザーに職業を聞いた。
Yahoo! JAPANとGoogleで大きな違いが見られた職業の中で、Yahoo! JAPANの利用構成比が多かった職業は、上から順に「会社員(その他)」「会社員(事務系)」「専業主婦」となった。逆にGoogleの利用構成比が多かった職業は上から順に「自由業」「経営者・役員」「会社員(技術系)」であることがわかった。
- 1. 会社員(その他):73.1%
- 2. 会社員(事務系):70.8%
- 3. 専業主婦:70.4%
- 1. 自由業:73.9%
- 2. 経営者・役員:56.9%
- 3. 会社員(技術系):56.6%
研究・開発者はGoogle、営業/販売職はYahoo! JAPANを利用する
またQ4では、Q2でYahoo! JAPANとGoogleを最も利用していると答え、Q3で会社員であると答えたユーザーの職種を聞いた。
Yahoo! JAPANとGoogleで大きな違いが見られた職種で、Yahoo! JAPANの利用構成比が多かった職種は、上から順に「経理職」「その他の事務職」「販売職(販売・接客)」「営業職」となった。逆にGoogleの利用構成比が多かった職種は上から順に「研究・開発職」「クリエイティブ職」「総務職」であることがわかった。(医師、弁護士、会計士に関しては、Yahoo!JAPANユーザー比率が100%だが、サンプル数が少ないため参考データとしておく)
- 1. 経理職:84.4%
- 2. その他の事務職:78.9%
- 3. 販売職(販売・接客):75.7%
- 4. 営業職:73.3%
- 1. 研究・開発職:68.9%
- 2. クリエイティブ職:56.7%
- 3. 総務職:53.0%
理系出身者はGoogle、それ以外はYahoo! JAPANを利用
さらにQ5では、Q2でYahoo!とGoogleを最も利用していると答え、Q3で会社員であると答えたユーザーの業種を聞いた。ただし、業種別構成比に関しては、各業種のサンプル数が少ないため、参考データにとどめる。
Q3~Q5の調査結果から総じて、Yahoo! JAPANと比較して、Googleの利用者は理系出身者が就く専門職や経営者・役員などが高いことがわかった。逆に、Googleと比較して、Yahoo! JAPANでは主婦や技術系以外の事務職、販売職などが高いことがわかった。
Googleユーザーの世帯年収は高い!?
Q6では、Yahoo! JAPANとGoogleを最もよく利用するユーザーを世帯年収別に比較したところ、Googleユーザーの方が世帯年収の高いユーザーが高い比率で存在することがわかった。
本記事には掲載していないが、Yahoo! JAPANとGoogleユーザーの年齢別構成比において、Googleは年齢の高いユーザーの比率がYahoo! JAPANと比べ約7.6ポイント多かった。Q6の世帯年収構成比の違いの理由の一つに、この年齢構成比の違いもあるのかもしれない。
情報探求性が高いのはGoogleユーザー
Q7では、Yahoo! JAPANユーザーとGoogleユーザーの情報探求性について調べた。その結果、GoogleユーザーはYahoo! JAPANユーザーと比較して、情報探求性が高いユーザーが高い比率で存在することがわかった。
「興味を持った事柄について調べるときは積極的に人に聞く」など情報探求に関する複数の項目について、「1、まったく当てはまらない」「2、当てはまらない」「3、どちらでもない」「4、当てはまる」「5、まったく当てはまる」と、度合いに応じた5件から回答を求め、対応する1~5の点数をそれぞれのユーザーに付けた。このユーザーの点数、つまり情報探求性の低い順に1~5のグループに分け、その比率をグラフに表した。
※参考:五十嵐祐(2006)「情報探求性尺度の作成と大学生のメディア利用の実態について(PDF)」、総務省 郵政事業庁「通信白書 平成10年版」、川上・電通メディア社会プロジェクト(1999)「ネットワーク人間尺度」、高比良ら(2001)「情報活用実践尺度」
Yahoo! JAPANユーザーと比較して、Googleユーザーの中で情報探求性の高いユーザーの構成比が高いのは、Q4で明らかにしたように、研究・開発職や経営者など情報探求性が高いと考えられる職種が比較的多いことが理由の1つであると思われる。
Yahoo! JAPAN、Googleユーザーどちらも半数程度が1日3~4回以上サービスを利用
Q8では、Yahoo! JAPANユーザーとGoogleユーザーに、各検索サービスの利用回数を聞いた。その結果、Yahoo! JAPANとGoogleを普段利用しているユーザーの半数程度が1日に3~4回以上検索サービスを利用することがわかった。また、Yahoo! JAPANユーザーはGoogleユーザーと比較して、検索サービスの利用回数が多いユーザーの比率が高いことがわかった。
検索サービスの使い分けをするユーザー比率は約33%
Q9-1で、利用目的に応じた検索サービスの使い分けについて尋ねたところ、約33%のユーザーが利用目的に応じて検索サービスを使い分けていることがわかった。
この結果は、第3回検索サービス利用調査結果(2006年11月)と比較して、ほぼ変化のない結果となった。これらのことから、半数以上のユーザーが一度使い慣れた検索サービスを使い続ける傾向があることがわかった。
さらにQ9-2では、Yahoo! JAPANとGoogleを最も利用しているそれぞれのユーザーにおける、検索サービス使い分けの構成を比べた。その結果、Yahoo! JAPANユーザーよりもGoogleユーザーの方が検索サービスを利用目的に応じて使い分ける傾向があった。
このQ9-2の結果には、Q7でのGoogleユーザーの情報探求性が高いという結果とあわせて考えると、Googleユーザーは他の検索サイトの特性に合わせた使い分けを行い、求める情報を効率的に得る努力をしていると推測できる。
検索数が多いジャンルは「趣味・エンターテイメント」「ショッピング」
Q10-1では、検索サービスで検索をよく行うジャンルを聞いた。その結果、上位5つのジャンルは、以下のとおりになった。
- 「趣味・エンターテイメント」:65.2%
- 「ショッピング」:56.0%
- 「グルメ・レシピ」:39.0%
- 「旅行」:37.0%
- 「ネット」:35.2%
さらにQ10-2で、Yahoo! JAPANユーザーとGoogleユーザーの結果を比較したところ、Yahoo! JAPANユーザーは、Googleユーザーと比べ「旅行」「ビューティー」「住まい・暮らし」などについて、検索する割合が高い結果となった。Googleユーザーにおいては、Yahoo! JAPANユーザーと比べて「ITデジタル」「経済」「サイエンス」などで検索する割合が高かった。
※この比較はあくまで絶対数比較ではなく、相対的な比率の比較である。
ユーザーが能動的に情報を探し出すのが検索サービスの特徴である。このことを考慮に入れると、その情報ジャンルの検索割合が高いほど、ユーザーがその情報を欲しているということがわかる。
この結果から読み取れるように、Yahoo! JAPANとGoogleユーザーにおいて、欲している情報ジャンルには差がある。リスティング広告のタイトルと説明文やランディングページの作り方などに、Yahoo! JAPANとGoogleでそれぞれ効果検証をしていく事が大事だといえるかもしれない。
Yahoo! JAPANは「親しみやすい」、Googleは「検索精度が高い」というイメージ
今度はQ11で、Yahoo! JAPANとGoogleそれぞれのイメージを普段利用しているユーザーに聞いたところ、Yahoo! JAPANはGoogleと比較して「親しみを感じる」「よく知られている」「使いやすい」などのイメージを持つユーザーが多い結果となった。それに対しGoogleは、Yahoo! JAPANと比較して「検索精度が高い」「先進的」「特徴がある」などのイメージを持つユーザーが多かった。
大体の閲覧検索結果ページで、約78%が4ページ目以降を見ない
最後にQ12では、検索結果の閲覧ページ数を聞いたところ、「1ページ目まで」から「3ページ目まで」と答えるユーザーが77.6%と大半を占める結果となった。つまり、4ページ目以降のリスティング広告の掲載や自然検索の結果ページでは、77.6%のユーザーには見てもらえない可能性があると考えられる。このデータはリスティングの広告運用やSEO(自然検索最適化)の掲載順位を考慮する際にぜひ参考にしていただきたい。
調査概要
- サンプル数:500
- 調査期間:2007年10月17日~2007年10月20日
- 調査方法:インターネットリサーチ
- 調査機関:株式会社ボーダーズ
- 対象者:16歳以上の男女
今回の調査対象は、16歳以上の男女500人。男女比で均等割り付けを行い、年齢はT層(男女16~19歳)が80人、F1/F2/M1/M2層がそれぞれ75人、F3/M3層がそれぞれ60人の均等割り付けをおこなった。
- 本調査は、業界の全般的な調査であり、あくまでも指標となるものですので、参考データとしてご活用下さい。業種や取り扱っている商品、またユーザーの属性によっても調査結果は大きく異なると考えられます。
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