企業ホームページ運営の心得

埋蔵金を掘り起こせ!“採用SEO”と伝統の小技

Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の伍十六

採用ページは利益の埋蔵金

今、企業の採用担当者は採用難に苦しんでいます。

少子化により学生アルバイトは慢性的な人手不足で、団塊世代の引退による戦力ダウンを避けるためにも新規採用は不可欠なのですが、どこも同じ状態で採用戦線は激化の一途を辿り、大学3年生で内定が出るという異常事態です。仮免を取る前に採用されるバスの運転手といったところでしょうか。

採用難から「採用経費」も増加傾向にあります。最近の大学生の就職活動は就職情報サイト「リクナビ」や「マイナビ」に登録するところから始まるといい、学生の登録は無料ですが企業の登録は有料です。街角に溢れる「無料(フリー)」の求人誌も、掲載する企業はフリーではなく有料です。

商売用ホームページとは企業活動全般をフォローするツールです。もちろん「採用」も守備範囲ですし、積極活用すると埋もれていた埋蔵金が見つかることがあります。

年間125万円の儲けを発掘

たとえば、新聞折り込みにある連合求人紙(チラシ)は小さい枠でも数万円です。5万円の枠を1年間、毎週出稿すれば50回で250万円です。ホームページの採用ページを活用することで、採用経費を半減できれば年間125万円の「儲け」が発掘されます。

自社の採用ページに掲載しただけで1週間後に採用できた例もありますし、仕掛け次第では「即戦力」や「やる気のある新人」を集めることだってできます。採用ページは「商売用」の視点で見直すとお宝が眠っているのです。

しかし、「問い合わせがない」という話もよく聞きます。その差はいったいどこにあるのでしょうか。

採用SEOでリクルートを回避

SEOを意訳するなら「探して貰いやすくすること」です。

問い合わせがないのはSEOが欠けているばかりか、勝ち易きに勝つという鉄則に逆らい、強豪ひしめく激戦区に参戦していることが理由です。最悪な例が「アルバイト募集」です。これをタイトルや見出しに使い採用ページをまとめると、ライバルはリクルートを筆頭ととした数々の「就職情報サイト」となります。膨大な検索結果の中では、あなたのサイトが何番目に表示されるかは見当もつきません。

採用でのSEOは「大工」「バーテンダー」「トリマー」といった「職種」を軸として、「採用」「募集」「見習い」といった組み合わせで攻めます。ライバルはグンと少なくなる上に、「職種」で探す人は経験者という即戦力であったり、見習い希望でも本気度が高い人材だったりします。漫然と「アルバイト」を探している人と、「職」を求めている違いが表れるからです。

これを「採用SEO」と名付けます。

相手に会わせたキーワード選び

「言葉」にも注意が必要です。言葉は時代と共に移ろうもので「就職活動」のことを今の大学生などは「就活(しゅうかつ)」と略して一般用語化しています。となると、「職種+就活」という選択肢もありということです。そして商売用ホームページにおいて専門用語の取り扱いは慎重にならなければなりませんが、「採用ページ」だけは特別で「型枠大工」「スノースタイル」「ハンドラー」なども採用SEOとして有効です。

ただし採用SEOは仕掛けることはできますが「待ち」の戦術ですので、いち早く人材確保を目指すなら同じキーワードを使った検索連動型広告への出稿を併せて行うことをオススメします。

きめ細やかな言葉遣いで効果アップ

商売用ホームページは百種百色の世界で、色の数だけ「成功法」があり答えは1つではありません。しかし、数少ない共通する成功法則の1つが

「確率を上げる作業は徹底する」です。

採用ページには必ず「業務拡大」「リニューアル」「新規オープン」といった「求人する理由」を入れるというのも確率を上げる作業です。求人しているということは「(人手が)足りなくなった」か「辞めた」かの理由があり、後者と想像され「なにかあった」と痛くない腹を探られることもあります。そこで「先制攻撃」としてポジティブな理由を明示してあげるというわけです。

ベテランから学んだ技

その他にも「お気軽にご応募(お電話)ください」と「担当者名」「入社日、面接日相談に応じます」も欠かしてはならない修飾語と暗記してください。「お気軽に」とあることで不安は1gほど軽くなり、担当者名によって「相手」が人だと安心し、また問い合わせし易くなります。入社日・面接日も現在の勤務先との兼ね合いから躊躇している「心配性」の背中を押してくれることがあるのです。「勤務先」になるかもしれない企業には必要以上に神経質になるものなのです。そこで微に入り細に入りの心遣いで安心させてあげるのです。これも確率を上げる作業です。

「お気軽に~」のテクニックはスポーツ紙の求人欄の営業をしていた、今は亡き先輩から教わったもので、私のオリジナルではありません。問い合わせが少ないと次の契約をとれないことから編み出した「小技」だとメタボな身体を揺すりながら教えてくれたことを思い出します。

先んずれば埋蔵金を制す

無限のページを作れるホームページの特性も活かしてください。「職場の声」や「経験談」などはその職場で働く未来の自分を想像させるコンテンツとなりますから、何ページ作ってもOKです。また、自分たちの職場はついつい「知ってるつもり」となる点に注意してください。これぐらいは知っているだろうは厳禁です。本気で仕事を探している人は意中の企業なら欠片のような情報でも知りたいものです。そして「情報量の多さ」が「職種+周辺情報で検索」を誘発しアクセス数を増加させます。

採用経費を圧縮して意欲ある人材を探し出すことができる埋蔵金のような「採用ページ」。私のクライアントの所では、自社サイトだけでも新しい仲間を得ています。そして取り組むのならお早めに。「職種」ですから同業者も使えますので。

♪今回のポイント

採用SEOという考え方で埋蔵金ゲット。

コツコツと確率を上げていく小技を活用せよ。

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