多くのリンクを獲得するのにきわめて有効な1つの方法は、大規模なメディアキャンペーンを展開することだ。これは、サイト運営者が有名ブランドの場合には特にうまく機能する。大規模なメディアキャンペーンは、たくさんのリンクを獲得するすばらしい方法だし、有名ブランドは何の苦もなくこういうことをやってのけるんだ。
では、有名ブランドでなければ? その場合は、残念ながら不利だと言わざるをえない。では、その代わりに何かできることはないか、そして勝利を手にする方法はないか考えてみよう。大企業でなくても、何か方法があるのが今日のウェブの利点の1つだからね。
潤沢なマーケティング予算があれば、それはそれで大きな強みだ。しかし、頭が切れて行動が迅速なら、成功を手中に収めることもできる。実際、インターネット上でブランドを作り上げるには、ありとあらゆる新しい方法が使えるんだ。
この記事では、価値が高くオーソリティのあるリンクを増やしていくために、どのような方法を検討すべきかということに主眼を置いて書こうと思う。価値の高いリンクを獲得する戦略を成功させるには、たいていの場合、非常に強力なコンテンツやツールが必要となる。この記事はそういったものがあるという前提で書いてあることを心得ていてほしい。もし、その手の投資をする気がないというのであれば、この記事は君には向かないので、別の記事を読むほうがいい。
成果の出ない戦略で多くの時間を無駄にしている余裕なんかはない。実際、適切ではない戦略に着手してしまったら、最良の選択はさっさと失敗することだ。どうしてかって? そうすれば、大きな後れを取ることなく次の戦略に取りかかれるからさ。
自分たちの事業に利用できる最善の戦略について、前もって分析しておくことは非常に重要だ。望みのもてそうなマーケティング機会には非常に多くのタイプがあり、企業にはそれぞれ独自の個性があるからだ。では、リンク構築のための主な方法をいくつかを見ていくところから始めよう(リンク購入はこの方法のリストには含まれない。この点について詳しくは、僕が最近書いた「僕ならリンクは買わない」を見てほしい)。
リンク構築の機会
- ソーシャルニュースサイト※Web担編注
日本ならば、はてなブックマーク、newsing(ニューシング)、Buzzurl(バザール)、livedoorクリップ、Yahoo!ブックマークなど。
Digg、Reddit、Propellerなどのサイトだ。こういうサイトで成功すれば、何百、あるいは何千というリンクが獲得できることがある。この戦略を検討するときに考えなければいけない大事なポイントは次の通り。
- どういった層がそのソーシャルニュースサイトを利用しているのか?
- どのようなコンテンツがその利用者層の関心を引くか?
- そのサイトの利用者の関心を引くコンテンツを作成できるか?
- 結果としてもたらされるリンクは、自分のビジネスに役立つのか?
- オンラインメディアサイト
オンラインメディアサイトと言えば、まず名前が挙がるのがNew York TimesやBoston.com、About.comといった、非常に価値の高いサイトだ。しかし、こういったサイトに取り上げてもらうのは非常に難しいので、たいていはもう少し下のところを狙うことになる。
ここで考えなければならない重要な問題は、自分のビジネスに関連性の高い記事を提供しているのはどのメディアサイトか、ということだ。たとえば、自分の会社が「糖尿病(diabetes)」に関連した製品を提供しているのであれば、Diabetes HealthやDiabetes Digest、Diabetes Newsあたりを狙いたいよね。
ここで重要なのは、こういうオンラインメディアで取り上げてもらうために自分ができることは何か、ということだ。ぜひとも、これらのメディアがみんなに知らせたいと思う記事を書くように努めてみてほしい。ただし、コンテンツは絶対に良質のものでなければならないし、何か目新しいことを含んでいる必要がある、ということは覚えておいたほうがいい。古いトピックの焼き直しでは、成功率は非常に低くなる。
さて、このようなオンラインメディアサイトで、自分のビジネスに合うところがあるだろうか? そこに取り上げてもらえるだけの質の高いコンテンツを、自分は作成できるだろうか? この2つの質問の答えが両方ともイエスならば、この手の戦略を自分のビジネスに活用することを考えてみよう。
- ウィジェット
人から人へ広めてもらうことを意図した無料で使用制限のないアプリケーションを開発しよう。ここで重要なのは、ユーザーが人に教えたくなるようなものを開発することだ。そう、ユーザーにマーケティングをやってもらうんだ。仲間と一緒に参加した方が便利なアプリケーションや、ユーザーが人に見せびらかしたいと思うようなものがいい。
ただし、これは若干遠回りなやり方だという点は注意しておかなければならない。もしも、それを使用するために自分のサイトにリンクするようユーザーに要求したら、そのアプリケーションはきっと人づてには広がらなくなる。しかし、ウィジェットが人から人へと広まっていけば、リンクは自然とついてくる。僕らのクライアントでも、PROTRADEというところがこの手法を使い、Facebook上で大成功を収めた。
- ウィジェットを情報発信ツールとして利用しよう。そのためには、それを見た人が自分のウェブサイトに置きたいと思うような価値の高いコンテンツを埋め込まなければならない。そして、市場アウトリーチプログラムを利用して、その情報を利用できる人たちにウィジェットのことを知ってもらうんだ。これは少しばかり労力がかかるので、コンテンツ提供の見返りとして少しばかりユーザーにリンクを要求してもかまわない。ここでは名前を出せないのだが、あるクライアントは、このテクニックを利用して関連性の高い2000以上のサイトからリンクを獲得した。
- 昔ながらのPR活動
何百万ドルも投じたキャンペーンを展開する余裕がなくても、PR活動はできる。月に数千ドルで非常にいい仕事をしてくれるPR会社はある。こうした種類のリソースを利用するのも、オンラインメディア戦略を展開する1つの手法だし、大きな効果が得られる可能性もある。
ほとんどのPR会社は、君の会社の仕事を始めるにあたり、どうやれば自分たちの仕事がうまくいくかというアイデアをたくさん準備している。ツールもあればコネもあり、君自身がこれらのプロモーションを手がけるよりPR効果を上げられるだけの経験もある。
ただ、PR会社との関係を続けていく際には、注意しなければならないことがある。それは、方向性を決めるにあたり自分が積極的に関与すればするほど高い価値が得られるということだ。PR会社と関係を築くとき、スタート時点でいくつかのアイデアを用意しておき、やり取りのなかでそのアイデアを先方にどんどん伝えよう。自分の会社のビジネスについては彼らより君のほうが詳しく、彼らは君よりメディアのことをよく知っている。双方の強みを組み合わせて活用することに力を注ごう。
- 大学のサイト
これは古い手法だが、なかなかいい手法だ。僕が話しているのは、大学サイトのフォーラムにスパムを仕掛けて、リンクだらけの書き込みをすることじゃないよ。大学のサイトには、リンクが獲得できれば自分のサイトの質に対する立派な保証となりそうなページたくさんある。もちろんそれには、向こうが君のサイトにリンクしたいと思うような理由がなければならない。
たとえば、求人関係のサイトであれば、学校の就職案内センターと連絡を取って、そこに掲載してもらえるよう頼むのもいいだろう。そのようなリンクを数多く集めているサイトもある。このやり方が君の会社に適しているのであれば、この戦略は試してみる価値が大いにある。
ただ、「.edu」「.ac.jp」ドメイン名を持つサイトからのリンクが獲得できるような自動マッチングシステムなどはない。結局、.eduや.ac.jpからのリンクが良いというのは、次の2つの理由による。
- 大学の多くは強力で、潜在的なオーソリティのあるウェブサイトを持っている。これは、そこに集まっているリンクのおかげであって、ドメイン名が「.edu」「.ac.jp」だからではない。
- もし、学生のニーズに正しく合ったコンテンツがあれば、こういったサイトとの連絡は非常につけやすい。
- 政府系サイト
これも昔ながらの手法だが、やはり価値は高い。その理由などは、大学サイトの場合とほぼ同様だ。政府系サイトの各ページがどのような利用者を対象としているのかを考え、そのオーディエンスに適したコンテンツが自分のサイトにあるかどうかどうかを判断しよう。そして、連絡を取るべき人物を見つけ出すんだ。
多くの政府系ウェブサイトでは、リンクポリシーが公開されているので、これに注意しておくこと。そのサイトでだれかに連絡を取るときは、事前にそのサイトのポリシーを読んでおかなければならない。これを怠ると、思わぬ過ちを犯してしまう可能性があり、そのサイトとの関係を築く機会を危険にさらすことになるかもしれない。
これも僕らのクライアントの例だが、VisualDXHealthは米国立医学図書館から多くのリンクを獲得できた。これは、大規模なウェブサイトマーケティングキャンペーンの一環で、2007年5月に1日1600程度だったトラフィックが、2008年3月現在では2万近くまで増加している。
- ブログ
これは、本当はオンラインメディアサイトの項に含まれる下位項目なんだけれども、普通のオンラインメディアサイトとは大きく異なるダイナミクスを持っているので、ここで別に項を設けて話したいと思う。従来のオンラインメディア界の人を相手にする場合は、彼らにとっての問題を解決しなければならない。ところがブロガーが相手の場合は、会話をするところから始まる。
この場合、まずは自分の分野で影響力のあるブロガーを見つけるところから始める。これにはたくさんの方法がある。僕のよく知っているところだと、SEO-PRの人たちは「BuzzLogic」というツールを好んで使っていて、これが彼らにとって非常に役立っているようだ。PR会社に依頼して代わりに見つけてもらうっていう手もあるね。
ほかには、デイン・カールソン氏のウィジェット「How Much is My Blog Worth」(これもまた、すばらしいウィジェットの成功例だ!)などのツールを使って調べてみるという方法もある。また、livedoor ReaderやGoogle Readerなどのフィードリーダーを使えば、そのブログの購読者が何人いるかを知ることもできる。さらにいいのは、複数のフィードリーダーを使っていろんなところからデータを集めることだ。
そして、より影響力の強いブロガーに注力すること。そのほうが、効率が遥かに良いからだ。影響力のあるブロガーがいれば、他のブロガーも追随してくるものだ。ただし、すべては良好な関係を築くところから始まるということは覚えておいてほしい。最初からリンクを張ってくれと要求したり、自分のサイトへのリンクだらけのコメントを彼らのブログに投稿したりしてはならない。
ビジネスとリンク獲得機会のマッチング
以上、本当に高い価値のリンクを探すのに使える7つの方法を大まかに述べてみた。これらはいずれもリンク購入では入手できない種類のリンクだ。しかし、一企業がすべての戦略を無理なく同時に実行できるという数ではない。たとえこれらをすべて同時に展開できる企業があるとしても、すべての戦略がその企業にとって適しているというわけでもない。たとえば、Diggで高い評価を受けるのに必要なタイプのコンテンツを作成するのは気が進まないという企業だってあるかもしれない。
そこで、君は選択しなければならない。そのためには、自分たちにできそうなことをすべて検討して、ブレインストーミングを行うことだ。実際には、あらかじめさまざなアプローチをすべて調べ上げることから始めるよう。たとえば、ブログ界に注目するとするならば、自分の事業に関連する分野で最も影響力のあるブロガーがだれかを確実に把握し(とにかく、最も影響力のあるブロガーがだれかをきちんと知っていなければならない)、そのブロガーと良好な関係が築けるかどうかを判断して、その影響を評価するというような手順になるだろう。
オンラインメディアについてもほとんど同じことだ、君の事業に関連する記事をウェブで扱っている主要メディアを探し出し、そのメディアからリンクを獲得できるよう試みてみるかどうかを判断する。大学サイトであれば、自分の業界に直接関係するテーマの講座を持っている大学やカレッジを、調べてみればいい。
調査がすべて終了したら、その結果をすべてまとめ、リンクマーケティング戦略における成功確率、成功するために必要な労力、そして成功した場合に受けられる恩恵を判断する。その上で、最も成功率の高そうなものを1つないしいくつか選ぼう。
目標を高く持て――自動的にリンクが増えていく方法を考えよう
現実を直視しよう。リンクビルディングは、どんな形式で行おうと難しい作業だ。いい成果を得るには、お金もかかるし困難も伴う。たいていの人にとっては、高い目標を持つことが肝心だ。と言っても、実現不可能なほど高い目標ではなく、頑張ればうまく獲得が期待できそうなリンクの中で最高のものを目指そう。そして、最初のリンク獲得に成功したら、それを足がかりとして次のリンクをいくつか獲得しよう。
そのあとは、ひたすらトップを目指して突き進むのみ。それもできるだけ速く。非常に価値の高いリンクをいくつか獲得すれば、リンクはどんどん増えてくる。その業界で力をもつ人に引用してもらえれば、他の人の目にもとまる。十分な数の業界リーダーに引用してもらえれば、ますます多くの人の目にとまる。そのオーソリティサイトのビジターの中に、直接君のところにリンクを張ってくれる人がいるかもしれない。ここまでくれば、もう君の側で手を出さなくても、リンクが自然と集まり始める。いいかい、これこそがリンクビルディングにおける「解脱」なんだ。だって、そこから本格的なレースのスタートが切れるんだからね。
まとめ
結論としては、無理をしなくても実行できそうな戦略はすべて検討したいものだ。それから、少数(おそらくは1つ)の戦略を選んで的を絞り、選んだ戦略にできるかぎりの精力を注いで実行する。その戦略は、どんどん推し進めなくちゃいけない。そうすれば、1つの戦略がうまくいかない場合でも、さっさと失敗して次の戦略に乗り換えられる。
ターゲットに自分のコンテンツを合わせること。そうすれば、成功する可能性がずっと高くなる。それじゃ、有力なリンクの獲得に乗り出そう、そしてトラフィックが急上昇するのを目にしよう。
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