意味のない“SEO”にお金を払っていませんか? - ブラックハットSEO大全 番外編2
ブラックハットSEO(悪質なSEO)を知り、避けるためのこのコーナー。記事を読んで理解した内容は、SEO会社への発注時に具体的に聞いたり、自社サイトの対策状況をチェックしたりといった使い方をしてほしい。
ブラックハットSEO大全として「ルールに外れたブラックハットSEO手法」をお届けしてきましたが、今回は番外編として、「やっても意味のない“SEO”手法をお届けします。
- 「metaタグを設定します」というSEO
- 「キーワード出現比率を5%にしましょう」というSEO
- 「validなHTMLにしましょう」というSEO
- 「ページフッターに自社関連サイトへのリンクを並べる」というSEO
- 「サーバーのIPアドレスを分散する」というSEO
「metaタグを設定します」というSEO
- 「metaタグ」とは
htmlのhead部分で使用するタグ。SEO上一般的なタグである「keywords」「description」以外にも「robots」などがある。
例:
<meta name="keywords" content="母の日,ギフト,カーネーション">
<meta name="description" content="母の日プレゼント用のすてきなカーネーションの花束を取りそろえています。">
<meta name="robots" content="index,follow">
meta keywordsはすでに検索エンジンは評価に利用していません(Googleのmeta keywords評価に関する参考記事、Yahoo!のmeta keywords評価に関する参考記事)。meta keywordsにキーワードを入れても順位には関係はありません。
meta descriptionにキーワードを入れても、以前に比べて評価が向上しなくなってきています。ただし、meta descriptionの内容は検索結果でページタイトルの下に表示される「スニペット」として使われる場合があるため、検索結果でのクリック率を高めるという意味のSEOにおいても意味があります。
meta robotsに関しても、指定することで順位が上がるということはありません。検索エンジンのクローラーに対してインデックスしないように伝える場合には指定することは有効ですが、何も指定しなければインデックスされますので、わざわざ<meta name="robots" content="index,follow">を指定する意味がありません。
「キーワード出現比率を5%にしましょう」というSEO
- 「キーワード出現比率」とは
ページ内の任意のキーワードを、同じページ内で使用している単語の総出現回数で割った値。ページ内で特定の単語が全体のどの程度を占めているかの指標として見る指標だといわれていた。
以前は、SEOの内部対策の1つとして、次のようなことが言われていました。
上位に表示したいキーワードのページ内での出現比率は5%前後が適正値なのでそこに向けてキーワード数を調整するべきである。
しかし、実際に上位のサイトでデータをとってみるとこれが間違いだとわかります。重要なのは「5%」という数値ではなく、「全体のワードの中でそのワードの出現比率が相対的にどの位置にいるか」ということです。
つまり、対策しているワードAの出現比率が5%であっても、同じページでほかに出現比率が10%のワードBや15%のワードCがある場合、そのページに対して検索エンジンは「ワードCに関するページ」だと解釈します。
また、対策しているワードAの出現比率が3%であっても、同じページのそれ以外の単語の出現比率がすべて1%未満の場合、検索エンジンは「このページはワードAに関するページだ」と解釈します。
さらに言うと、実際に検索エンジンがページの内容を解釈する際には、最も出現しているワードのみに着目しているわけではなく、ページ内での単語の共起尺度や、リンクのアンカーテキストなど、さまざまな要素を考慮していますので、単にキーワードの出現比率に着目して特定のパーセンテージを目指してコンテンツを調整することに意味はありません。
あくまでも、ページの内容は、そのページを読む人にとってわかりやすい有益な情報となるように作成するべきなのです。
「validなHTMLにしましょう」というSEO
- 「validなHTML」とは
HTML(XHTML)の構文としてW3Cが定めている文法仕様に則った書き方をしているHTMLソース(ファイル)。
かつては検索エンジンの精度も今ほど高くなかっため、W3Cの提唱するルールに則ってファイルを作成しないと正確に検索エンジンから評価をされないことがありましたが、現在では検索エンジンの性能も上がり、多少ソースが崩れていてもブラウザで表示がされる限りはソースによって評価が下がるということもなくなってきました。
HTMLが仕様に完全に準拠している(validである)からといって評価が上がることはありませんし、逆に仕様に準じていないからといって評価が下がることもありません。HTMLの書き方に関しては、あくまでも「さまざまなブラウザで正しく表示されるか」の観点から判断するべきでしょう(もちろん、仕様に準じているほうが、あとあと問題が起こりにくいだろうことは想像できます)。
「ページフッターに自社関連サイトへのリンクを並べる」というSEO
- 「ページフッター」とは
ページの最下部の領域のこと。
運営しているサイトが複数ある場合、その各サイトへのリンクをページのフッターに並べる手法があります。特に、各サイトのすべてのページで自社の関連サイトへのリンクを並べると、全体として各サイトの被リンク数が増えるとしてSEO目的で行う場合がありますが、現在はそうしたリンクの評価は下がっていますので、ほとんど効果がありません。
検索エンジンはページ内のリンクをすべて同等に評価しているわけではなく、「ヘッダー部分」「ナビゲーション部分」「コンテンツ部分」「サイドバー部分」「フッター部分」のように、リンクの場所に応じて評価を変えています。もちろん最も評価が高いのはコンテンツ部分からのリンクです。そして、フッターなどの共通部分に置かれているリンクはほとんど評価されていないといわれています。
「サーバーのIPアドレスを分散する」というSEO
- 「IPアドレス」とは
インターネットに接続しているコンピュータや機器のアドレス。たとえばWeb担当者Forumのサーバーには現在「202.218.13.218」というIPアドレスが割り当てられている。
検索エンジンは、被リンクを評価する際に、単一のサイトから大量のリンクを得ている場合よりも、数多くのサイトから1本ずつリンクを得ている場合のほうを高く評価するといわれています。その際の同一性/分散性の判断にIPアドレスも使われていることから、「IPアドレス分散」をうたっているサーバーがあります。
ただし、前述のようなIPアドレスの分散性が問題になるのは、大量の被リンクに関する場合です。たとえば、自社サイトが5つあってそのサーバーのIPアドレスを分散することには、ほとんど意味はありません。
被リンクに関しても、自然に被リンクを獲得していればIPアドレスは分散するものです。IPアドレス分散が大きな意味をもつのは、自作自演のリンクを大量に作ったり、リンクを大量に獲得したりする場合ですから、管理しているサイトの被リンクのドメイン数が少数であるときには、IPアドレス分散に関しては意識する必要はないはずです。
まずは、自らが管理するサイトにおいてどんなSEO施策を行っているかを確認することから始めましょう。
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