A&E型のPDCA成功事例に学ぶ! Web戦略を成功に導くマネージメント手法 | ビービット
この記事では、2011年5月31日に開催されたセミナーイベント「Web担当者Forumミーティング 2011 Spring」の講演をレポートする。他のレポートをご覧になりたい方はこちら。
A&E型のPDCA成功事例に学ぶ! Web戦略を成功に導くマネージメント手法
基調講演に続き、A会場・B会場にわかれてセッション講演が始まった。B会場の最初の講演は、「A&E型のPDCA成功事例に学ぶ! Web戦略を成功に導くマネージメント手法」。企業のデジタルマーケティングを支援する株式会社ビービット 代表取締役の遠藤直紀によるセッションだ。
※本講演の内容は動画では配信しておりません。
「分析型」から「仮説・実験型」に切り替え
PDCAサイクルが3か月から1週間に
約200社に対するコンサルティング実績のある株式会社ビービット。同社に多く寄せられる課題の1つが、「PDCAサイクルがうまく回らない」ことだという。「ABテストを実施しても成果に反映しない」「分析ノウハウがなく、収集したデータがスタックしてしまっている」。そんな悩みを抱えるWeb担当者が少なくないそうだ。こうした状況を踏まえて遠藤氏は、「Webで継続的に成果を上げる実践手法を、ぜひ獲得してほしい」と、この日のセッションテーマを力強く述べた。
遠藤氏はまず、「クリエイティブ依存からデータの活用へとパラダイムシフトしている」と、デジタル時代のマーケティングを取り巻く状況を歯切れ良く説明。天才型のクリエイターに頼らなくても、適切に収集・分析したデータに基づくマーケティングを実施することで、成果を上げられる時代になっていると述べた。
一方で、データに基づくマーケティングには、落とし穴があることを指摘。膨大なデータや何百とある指標に翻弄されて、意味のある分析ができなくなっているケースが目立つと指摘した。
そこで遠藤氏が提案するのが、「Assumption & Experiments型(仮説・実験型、以下A&E型)」のPDCAサイクルだ。
「従来のWebマーケティングのPDCAサイクルは分析型。データを蓄積し、あとから何かを見出そうとする手法です。しかし、実際にデータを分析するには専門知識が必要で時間もかかり、PDCAサイクルがなかなか回っていかない。これに対しA&E型では、まず仮説を立て、それを実験し、その結果どうなったかというデータだけをチェックします。シンプルにマーケティング施策の結果だけを見るため、時間がかからず、PDCAが回りやすいのです」
遠藤氏は、この手法の具体的事例として、大手酒造メーカーが主力商品の1つにおいて、A&E型のデジタルマーケティングを採用したケースを紹介。このケースでは従来3か月かかっていたPDCAサイクルが1週間に高速化し、Web経由の成果が数倍に増加したという。
成果を上げ続けるためにはユーザ定義が必要
こうした事例を引き合いに出しながら、遠藤氏はA&E型のPDCAサイクルを導入するためのポイントを解説した。
まず「仮説」を立てる段階で重要なのは、「ビジネスに貢献するゴール」を決めることだ。Webマーケティングのビジネス目的を明確しないまま、企画やデザインを議論しても施策が成功することはないだろう。そして、定めたゴールを数値に落とし込むことが欠かせないという。
「たとえば、来店誘導が目的なら地図ページのページビューをゴールとして定義します。並行して実際の来店者に対し、何を見て来店したかアンケートを取れば、ページビューと来店者数の相関性がある程度わかるでしょう。大雑把でもいいのでビジネスの貢献に結びつけて、ゴールを設定することが重要です」
さらに遠藤氏は、ターゲットとなるユーザに実際に接触し、リアリティのあるユーザ定義をすることも忘れてはならないと付け加えた。ターゲットに直接会わずに、架空のユーザについて議論していては、長期的には成果がマイナスになるケースもあるという。継続的に成果を向上させるにはユーザ定義と理解が必要になる。
現実のユーザを理解するためには、資料請求や問い合わせのあった店舗へ足を運んだり、ユーザ行動観察調査を行ったりするのが有効だ。また、遠藤氏からは事例として、AmazonではCEOを含む全社員がコールセンター研修を定期的に受けていることが紹介された。
余計なデータ見ずに、ゴールに対する結果だけをA&E型ツールで見る
次に「実験」段階で重要な点は、仮説に基づいたマーケティング施策を高い頻度で実施していくことだという。施策としては出稿媒体変更、クリエイティブ変更、サイト改善などが代表的だ。大企業のWebサイトでは、関連部署や社外との調整に時間がかかることもある。そうした場合でも、「調整が不要な小さな領域を見つけ出し、まず仮説・実験してみることが大事」と遠藤氏は力説する。
そして実験結果の検証では、設定したゴールに対して、数値がどうなったかという点をシンプルに見るようにする。その一方、ゴールに至った細かい導線は、あえてチェックしない。こうすることで検証スピードを大幅に上昇させ、検証結果をPDCAサイクルに反映させることができるようになるという。
余談だが、仮説から実験、というシンプルな業務フローに変えることでWeb担当者の業務目的がクリアになり、「ビジネスに貢献できるのがわかり、仕事が楽しくなった」という意見もよく聞かれるという。
最後に遠藤氏は、従来のアクセス解析ツールに替わり、株式会社ビービットが提供している広告効果測定ツール「ウェブアンテナ(WebAntenna)」などA&E型に特化したツールを、基盤として整えることの有用性を解説。A&E型ツールを導入することにより、業務をより効率化できると話し、セッションを締め括った。
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