Googleアナリティクスの数値を活かすのに役立つ2つの「思考のフレームワーク」(後編)
当クリニックの代表。
イケメンの研修医。
優しい天然ボケの研修医。
ここ「アクセス解析5分クリニック」には、Webサイトについてさまざまな悩みを抱えた患者が、毎日のようにやってくる。研修医の来栖と綾瀬はデコボココンビだが、院長の丸山先生がとにかく名医。たった5分ですべての悩みを解決する!というのだ……。(登場人物紹介を詳しく見る)
今回のお悩み
Googleアナリティクスの数値を活かすのに役立つ2つの「思考のフレームワーク」(後編)
訪問数とページビューくらいしか見ていない人へ
後編を始める前に、前編をざっとおさらいしておこう。
今回のお悩みの「数値を活かしたい」というのは、主に「作業に自信を持ちたい」という気持ちの表れのことが多いけど、自信をもつにはなるべく考慮漏れを少なくする必要がある。
そのために、2つの思考のフレームワークを覚えようということでしたね。
- 成約数=集客数×成約率
- Ri-Turban's
「3C」や「4P」など有名なフレームワークも良いのだけど、ちょっと慣れていない人にはハードルが高いし、アクセス解析への応用も難しいから、僕のオリジナルを紹介したわけだ。後編となる今回は、この2つを使って、Googleアナリティクスを具体的に見ていくよ。
まず、サイトの訪問数とページビュー数くらいしか見れないという人にむけては、最初のフレームワークである「成約数=集客数×成約率」が役に立つ。これは、以下の画面で数値を取得できる。
お客さんも、訪問数は見ていたそうですが、そこからどうしたらよいかわからなかったようです。
どうしたらよいかわからないということだけど「成約数=集客数×成約率」なのだから、集客を増やすか、成約率をあげるかの二択になる。それ以外に方法はないからね。
言われてみればそうですね。でも、そのどちらを上げたらいいのかが、わからないんですよね。
一概にはいけないけど、平均値を参考にする場合、成約率が1.0%を切っているならば、成約率を上げたいよね。逆に5%を超えているならば、それ以上あげるのは難しいことが多いから、集客をがんばったほうがいいだろう。
なるほど。これでとりあえず上司には報告できますね。「集客を2倍にしたいと思います」とか。「成約率を2倍を目指します」とか。
でも、さらにGoogleアナリティクスから、その改善ヒントを得られたら素敵ですよね。
そう。そこで次は「Ri-Turban's」の出番だ。
アクセス解析から改善のヒントを得たい人へ
「Ri-Turban's」は、サイトでの顧客の申し込みフローだ。ハイフンを境に、「Ri」の集客数UPと「Turban's」の成約率UPに分かれている。
集客~成約までの流れを数値で確認することで、サイトのボトルネックを発見しようということですね。
そのとおり。まずは集客数UPに関する「Ri」から入ろう。
「Recognize(認識し)」「Interest(興味を持ち)」という部分ですね。
うん、今回のGoogleアナリティクスでまず大切なのは、二番目の「I」(Interest)からだ。「R」(Recognize)はGoogleアナリティクスの前段階を表しているので、今回はパスしよう。
Interestは、興味ですね。
AIDMAのIと同じだけど、まず「自社サイトに興味を持たれているかどうか?」が大切なんだ。興味を持たれなければ、成約どころではなくなるからね。具体的には、Googleアナリティクスで以下2つのレポートをチェックすることだ。
- 検索結果(検索エンジン最適化レポート)
- ランディングページ([コンテンツ]>[すべてのコンテンツ]>[ランディングページ])
「検索結果」で興味をひけているか?、「ランディングページ」で興味をひけているか?をそれぞれ見るんだ。
見てみましたが、どうやって数値を判断するのですか?
「(1)検索結果」では平均掲載順位とクリック率(CTR)を見る。できれば、キーワードグループごとに見ておきたい。平均掲載順位が低すぎないか。クリック率が低すぎないかを見よう。
「(2)ランディングページ」でも、キーワードグループごとの直帰率を見る。そのなかで、直帰率が50%より高いページが存在するならば、原因を想定し、対策を立てていこう。
キーワードグループごとに確認して、その顧客グループの興味を惹けているかどうか見るのがポイントですね。
今は検索エンジンだけじゃなくて、Facebookなどいろいろな集客チャネルがあるので、直帰率などもその媒体ごとに影響されるのだけど、一般的に成約に影響しやすいのはやはり検索エンジンだ。だから、まずは基本の検索エンジンから把握していこう。
成約までのボトルネックを確認する
集客のボトルネックがわかったら、次は「Turban's」だ。「Turban's」の細かい説明は前回に行っているけど、ここで見るべき数値は「申し込みフォームの訪問数」1つだけだ。
たった1つでいいのですか?
今回の目的は、自信を持つことだからね。まず数値でサイトの状況を論理的に説明することが第一段階になる。そうであれば、サイトの関所である、申し込みフォームの訪問数を把握しなければいけない。関所の通行人数を知らなければ、申し込み率が高いのか低いのかも判断ができないからね。
集客~成約までのボトルネック図
これで、「集客でどのくらい取りこぼしているのか?」「申し込みフォーム(関所)でどのくらい取りこぼしているのか?」がわかる。ちょうどこんな感じの漏斗型になるね。
この数値を把握しておけば、どこで取りこぼしているのかわかる。取りこぼしがわかると、今の自分の改善策が、効果的かがわかるよ。もう少し詳しく見られる人は、新規とリピーター別にこの図を見れば、より気づきが大きくなる。
確かにそうですね。これでどこにメスを入れればいいか、より明確になりましたね。
まとめ
数値で把握できていないという人は、数個のサイトの数値を捉えていくといい。そうすると、自社サイトのパフォーマンスのどこがボトルネックになっているのかが、より明確になる。ボトルネックがわかったら、自分の作業により自信が持てるはずだ。
なお、今回伝えた指標だけでサイトのパフォーマンス監視は十分にできると思うが、さらに進みたい人は、独自の指標を作って数値を監視すると、より自分達の思い込みを排除できるのでよい(いわゆるKPI)。ただ、今回の数値を毎月など時系列で把握するだけでも、十分にパフォーマンスは監視できるはずだ。
さらに現場の悩みとしては、自分が加えたさまざまな変更が本当に正しいのか自信を持ちたいという人も多い。これを数値で把握するのは、本当にケースバイケースになるので、パターン化は不可能なのだけど、前回説明した「Ri-Turban's」をもう一度見なおしてもらいたい。
※Googleアナリティクスの数値を活かすのに役立つ2つの「思考のフレームワーク」(前編)での「Ri-Turban's」の説明
このRi-Turban'sのなかで、メリットが説明できていなかったり、いまいち信頼しづらかったりするサイトは、本当によくある。自分たちに何が足りていないのかをチェックしながら、進んでいけば、必ず結果が向上するはずだ。がんばってほしい。
お悩みGoogleアナリティクスの数値を活かせていないよう感じます。“サイトの数値”は、どう活かせばいいですか?
アドバイスまずは下図を見てください。この成約までのフローのなかの各数値を把握すると、どこにボトルネックがあるかわかりやすくなりますよ。まずは大切な訪問数と成約率の把握から始めましょう。以下3ステップで進めていきます。
- 【2分】 訪問数と申し込みフォームの閲覧数を把握しましょう
[ユーザー]>[サマリー]を確認し、訪問数をメモします。
[コンテンツ]>[すべてのコンテンツ]で、申し込みフォームのURLでフィルタして、ページ別訪問数をメモします。
- 成約数を確認しましょう
[コンバージョン]>[サマリー]から確認できます。
- 【2分】 下記2つの成約率を計算して出してみましょう
- 成約率=成約数÷訪問数
- 申し込みフォーム成約率=成約数÷申し込みフォーム閲覧数
筆者の処女作である『世界一やさしいGoogleアナリティクスアクセス解析入門』(秀和システム)。おかげ様でAmazonなどでもご好評をいただいています。
一方で、書籍のなかで書き足りなかったこと、言葉で伝えたいことがまだまだあります。そこで、みなさまへの感謝の意も込めて、このたび出版記念セミナーを開催させていただくことにいたしました。筆者が運営責任者を務める「ウェブ担当者通信」が主催です。
■無料でできる!世界一やさしいGoogleアナリティクスアクセス解析入門
~中小サイト運営者が成約数UPのために、Googleアナリティクスを上手に活用する方法~
http://webtan-tsushin.com/seminar/20131002ga.html
内容としては、書籍で特に好評だった「顧客志向」での分析をさらに発展させ、以下3点に絞ってお話しする予定です。
- Ri-Turban'sモデルで、顧客志向で分析する力を身につける方法
- 豊富な経験がなくても、成約率アップにつなげる顧客心理・分析力を鍛える方法
- 初心者に足りない勘と経験を補うGA画面の操作方法
また、ユーザーから寄せられた質問に対してもご回答します。書籍を持っている方もいない方も参加できますので、ぜひご参加ください。
- 日時:2013年10月2日(水)19:00~21:00(※オンライン配信あり)
- 会場:ちよだプラットフォームスクウェア(本館)501+502
- 定員:20名
- 参加費:一般3000円(※ウェブ担当者通信メンバー0円)
※キャラクターイラスト(来栖、綾瀬):「コミPo!」にて制作
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