「サイトが重いってウチに言われても……」制作会社がクライアントに怒られないために知っておくべき大切な視点
サービスを開発して実際に運用してみたらいまいち動きが悪く、「なんでこのホスティングサービスを選んだんだ!」とクライアントに怒られた、そんな経験はないだろうか。Webサービスの開発・運用に当たってホスティングサービスの選定は大きなミッションのひとつだ。その際に重要視したい指標が「エクスペリエンス インデックス」である。
クレームは受けたくない!
「お客さまのクレームは宝の山です」―。格好をつけてそんなことを言ってはみても、実際のところあまりクレームは受けたくないというのが開発者・運用者の本音だろう。クライアントから「サイトの表示速度が遅い」「重い」「見られない」などと連絡をもらうと、ドキッとしてしまう。エンドユーザーは、世界各地から365日24時間体制でサイトにアクセスしてくる。クライアントも、エンドユーザーの指摘を受け、サイト開発者・運営者にクレームをあげてくる。できる限り平穏にサービスを運用したい。
だからこそウェブサイトの開発者・運営者は、信頼性が高くパフォーマンスの良いホスティングサービスを選定するため頭を悩ませる。価格だけで選んだら、安かろう悪かろうでクオリティが低かったり、インタラクティブなサービスだからと奮発してディスクやメモリの高いサービスをわざわざ選んだのに、ネットワークのスピードが今一つで結局満足のいくパフォーマンスにならなかったりと選定は難しい。
- ディスクが●GBの大容量
- メモリを●GB積みました
- ●コアのハイスペックCPU搭載
- 月額なんと●●円以下
どれも売り文句としては立派だし、選ぶほうとしてもつい尖ったスペックに目を惹かれてしまうけれども、それだけでは実際に運用した際に「こんなはずじゃなかった」と頭を抱える可能性があるのだ。
「ホスティングサービスのエクスペリエンスインデックス」という考え方
突然だが、Windowsのシステム評価ツール「Windows エクスペリエンス インデックス」(WEI)をご存じだろうか。
これは、使用しているパソコンのプロセッサをはじめとする5つの項目をそれぞれ1.0~9.9の数値で評価し、トータルスコアを出すものだ。WEIではたとえプロセッサが高性能で8.5の評価を出していたとしても、メモリの評価が3.7ならばトータルの評価は3.7になってしまう。メモリが不十分であった場合、プロセッサの高性能をフルに活かせるとは言い難いからだ。
ホスティングサービスの世界でも同じことが言える。たとえディスクやCPUが非常に高性能であっても、ネットワークが重ければどうか。結局はサービス全体としてのパフォーマンスは悪くなる。「ディスクやメモリのスペックは十分だったんです」と言い訳をしたところでクライアントにとってはサービスの運用結果がすべてであり、意味がない。
- ディスク
- メモリ
- CPU
- ネットワーク
- 開発/運用のしやすさ
- 柔軟性
- 価格(定額制)
これらすべてのバランスが取れたサービスこそが、エクスペリエンス インデックスが高く、クライアントも満足するサービスだと言える。
「ホスティングサービスのエクスペリエンス インデックス」とは、価格やディスク容量などサービス提供事業者が強調する優れた部分だけに注目するのではなく、サービスのさまざまな要素をチェックし、ボトルネックになる点を確認することで、実際のサイト運用で問題が発生しにくくするという、Web制作会社が持っておきたい大切な考え方の1つなのである。
WEIのように厳密に数値で示したわけではないが、このホスティングサービスのエクスペリエンスインデックスの観点で見ても、全体的なバランスが良く、問題が発生しにくいサービスとして提供しているのが、NTTPCコミュニケーションズの「WebARENA VPSクラウド」である。
1つのコントロールパネルで20の仮想サーバーを制御
さっそく同社へ突撃し、データセンタ事業部ホスティングサービス部の萩原正浩氏と宮本史氏にヒアリングを行った。
WebARENA VPSクラウドは、実際はVPSサービスなのだが、クラウドという名称を使っている。その理由は、クラウド的な要素を取り入れているからである。
VPSサービスには仮想サーバー1つについてコントロールパネルが1つ提供されるのが一般的だ。しかしVPSクラウドは、1契約で、最大20個の仮想サーバーを1つのコントロールパネルでクラウド的に管理できるのだ。これにより、仮想サーバーを起動したり、停止したり、監視の設定を入れたりするたび、別のコントロールパネルにログインするという手間を省ける。非常に現場思いの仕組みといえる。
そんなVPSクラウドに、10月1日からSSDタイプが加わっている。どのような変化があったのか。詳細は次の通りだ。
SSDの性能を活かすハイパフォーマンス
SSDはI/OがHDDより速いという特性を持つ。そのため、SSDタイプを利用することで結果としてHDDタイプよりもWebサイトの表示速度を速めることができる。
さらに特長的なのは、ディスクがSSDに置き換わっただけでなく、多くの点においてHDDタイプから強化されている点だ。ディスク容量こそ30GBだが、メモリは6GBへ、CPUは仮想4コアへと強化されているのだ。
インスタンスタイプ | SSDタイプ | HDD-Sタイプ | HDD-Mタイプ |
---|---|---|---|
スペック(ディスク容量、メモリ/CPU) | SSD30GB、6GB/仮想4コア | HDD40GB、2GB/仮想2コア | HDD100GB、4GB/仮想4コア |
おすすめ用途 | ディスクI/O負荷の高いデータベース用途やPHPやPerlといったスプリクト言語を使用した動的Webコンテンツのプラットフォーム用途 | 小規模なWebサイトの構築、運用用途 | 大容量データ保存用サーバー用途 |
お申し込み可能メニュー | プラン100以上 | プラン100以上 | プラン200以上 |
標準機能(全タイプ共通) | ポート監視/URL監視、セキュリティグループ、公開鍵認証 | ||
有料オプション(全タイプ共通) | ロードバランサ、バックアップ |
比較内容 | 比較結果 | 計測値 | 計測条件 |
---|---|---|---|
読み書き(I/O)性能 | HDD-Sタイプに比べ約10倍高速 | IOPS値 | ベンチマークツールとして[fio]を使用し、4KBデータのランダムライト(規則性のない書き込み)にて計測 |
データベース(DB)性能 | HDD-Sタイプに比べ約2倍高速 | mysql-bench値 | ベンチマークツールとしてmysql-benchを使用し、計測 |
SSDによってデータ処理のボトルネックを解消できます。しかし、ただHDDをSSDに変えただけでは十分ではありません。そのSSDの特性をさらに引き出すためにも、メモリやCPUなども強化することにしました(萩原氏)
従来のHDDタイプではハードディスクのI/O速度が足りず、クライアントから“お小言”をもらいがちな開発者・運営者には朗報だろう。情報量の多い動画サイトやゲームサイト、ECサイトには特にオススメだ。SSDの性能をフルに引き出すことで、インタラクティブな用途にもストレスなく使えるだろう。
SSDには書き込みの寿命という問題もあるが、NTTPCコミュニケーションズ側で常に監視し、交換していくため、この点でも心配はない。
ブランド力も“怒られにくい”大きなポイント
さらに、通信会社を母体とするNTTPCコミュニケーションズだからこそネットワークにも自信がある。インターネットへの接続帯域は1Gbps共用と太く、安定性を誇る(ベストエフォート型。回線の混雑状況や通信状況により低下する場合あり)。近年、インターネット上のコンテンツは動画が増え、どんどんリッチになっている。サイト開発者・運営者としても、こうしたエンドユーザーやクライアントのニーズは無視できない。ネットワークは今後ますます重要なキーワードになるはずだ。
もちろん、NTTブランドは回線の安定性という物理面だけでなく営業にも活かせる。サイト開発者・運営者は多くのホスティングサービス業者を知っていても、クライアントや一般ユーザーはほとんど知らないのが現実だ。そこでNTTブランドの持つ安心感は大きい。「なんでこんな無名のサービスを選んだんだ」なんて言われることはない。
こうして見ると、VPSクラウドSSDタイプは高いレベルで非常にバランスが取れたVPSサービスだということが分かる。
いたずらにエンジンのみ大きくした車はいびつな形状になりがちで役に立たない。サスペンションなどの足回りやボディも強化し、トータルでパフォーマンスを上げた車こそが安定した運用と安心感に繋がる。VPSクラウドSSDタイプは、車に例えるとそんなサービスであり、エクスペリエンス インデックスが高いホスティングサービスだと言える。だからこそ、クライアントから“怒られづらい”のである。
より怒られないためのさまざまなオプション
VPSクラウドには、標準機能として「ポート監視/URL監視」が、さらに有料オプションとして「ロードバランサ」「バックアップ」の機能が用意されている。
実際に仮想サーバーを使ってビジネスをする場合、稼働させた後も気が抜けない。クライアントにとって、ECサイトはエンドユーザーの注文を24時間365日どこからでも受けられるのがメリットだが、そのためには24時間365日、安定稼働させる必要がある。
だからこそアクセス過多などでサーバーが落ちるといったトラブル時は、いち早く察知し「ただいまメンテナンス中」などと表示を切り替えるべきなのだが、何の説明もなく動かなくなるサイトがなんと多いことか。こんなサイトはエンドユーザーをイラッとさせるばかりだ。エンドユーザーの悪感情を回避できるセルフ監視機能は、クライアントに怒られる前に手を打つためにも重要であり、これが標準機能であるのは嬉しいところだ。
また、ロードバランサを仮想サーバーの手前に置き仮想サーバーへの負荷を、分散させることができる。これも、エンドユーザーのクライアントサイトへのアクセスを円滑にし、クレームを減らす大切な機能だ。
バックアップ機能が制作の合理化を支援
実際のウェブサイト開発・運営の場面では、クライアントから「来週までに作って」「明日までに修正して」といった特急のオーダーを受けることも多い。バックアップ機能は開発環境をバックアップする機能で、そのバックアップファイルを元に仮想サーバーを複製することもでき、特急案件の対応に役立つ。ウェブ開発で使うパーツは、クライアントごとに細かな違いはあるにせよ、基本部分は同じ。ウェブ開発の途中で作り出したさまざまなパーツを、テンプレートとして保存しておければいち早く仮想サーバーを作ることができるのだ。
サイトの開発者・運営者は、各社で合理的な制作方法をマニュアル化していました。しかし、ECサイトであればこれ、動画サイトであればこれといったおおまかなテンプレートが存在するのであれば、そもそもコピーしてしまう方が早い。開発者・運営者から要望の多かった機能を付け加えたのです。(萩原氏)
また、仮想サーバーを増やす場合、ファイアウォール機能をその都度設定する必要があるが、VPSクラウドはこれもテンプレート化し複数の仮想サーバーへ適用できる。HDDタイプとSSDタイプで同じテンプレートを適用できるのは便利だ。
サイト制作において作業を合理化し期日までに作り上げることができれば、ここでも「なんでそんなに日数がかかるんだ!」などといったクライアントのお怒りに触れずに済むのだ。
月額固定で仮想サーバーの追加・変更可能
VPSクラウドは買い方にも特徴がある。仮想サーバーのスペック単価ではなく、プラン数と呼ばれるポイントのようなものが設定されたメニューを契約し、プラン数の中で3タイプのインスタンスを自由に組み合わせて利用できる。
オンデマンドでメニュー変更が可能なので、始めはプラン100を契約しHDD-Sタイプを1台利用していても、途中からプラン200以上のメニューに変更すれば、HDD-Mタイプに作り変えたりHDD-Sタイプを複数台利用することが可能です。プラン変更は、オンデマンドなので使えない時間帯が発生するようなロスがなく、料金も日割り計算されるのでコスト面も安心です。もちろんプラン数の多いメニューを契約しておけば、利用できるインスタンスの種類や数も増え、自由度が高くなります。(宮本氏)
SDDによって、レスポンス速度は在来線からリニア新幹線並みへ。さらにロードバランサ、バックアップ、ポート監視/URL監視などの諸機能も利用できる。バランスを考えると、VPSクラウドは非常にオトクな買い物といえそうだ。
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