Googleアナリティクス セグメント100選

「気になるあの企業」の人が見ているページを分析して、資料請求や問合せアップにつなげるには?(第28回)

あの企業の人がうちのサイトを見ているのならば、営業すれば響くはずだ――それならば、分析しようではないか。

企業ユーザーの閲覧行動を分析して、資料請求や問い合わせにつながるようにサイトを改善したり、営業活動に活かしたい

どの企業の人がサイトに来訪していて、どの企業人がどのページを見ているのか。Googleアナリティクスを使うと、そうしたことも分析できる。その分析をもとにして、サイトを改善したり、営業担当者から直接連絡してもらうことも可能だ。今回は次のセグメントを紹介しよう。

  • 企業ネットワークからアクセスされたセッション

B2Bの製品やサービスを提供している会社では、潜在顧客の開拓がサイトを運営する目的の1つとして挙げられるだろう。顧客になりそうな企業ユーザーに製品/サービスの理解を深めてもらい、資料請求や問い合わせにつながるきっかけを作ることが目的になっている場合が多いのではないだろうか。

いっぽう、あなたのサイトにアクセスする人に視点を移すと、ある程度大きな企業であれば、専用線などでインターネットに接続されているだろう。そして、その会社が固定のIPアドレス帯を介してインターネットに接続しているのであれば、その利用IPアドレスから逆引きすれば、どの会社からサイト閲覧があったのかを知ることができるのだ。

Google アナリティクスでそれを知ることのできる分析軸(ディメンション)が「ネットワークドメイン」だ。標準のレポートでは見たことがないと思うが、そのようなディメンションが用意されている。

具体的には、企業ドメインであれば「example.co.jp」、学校ドメインであれば「example.ac.jp」などと表示される。企業ユーザーに絞り込むんで分析するには、このネットワークドメインを上手に使うわけだ。

まず、「大企業の人」のセッションに絞り込んで分析する方法を紹介し、そのあとで、「企業ごとに来訪ユーザーの動向を分析する」方法や、「特定の企業の人」のセッションに絞り込んで分析する方法を紹介する。

大企業ユーザーの閲覧行動を分析できるようにする方法

標準に用意されているセグメントには今回紹介するセグメントは存在しないので、新しいセグメントを作成していく必要がある。

まずレポート画面の上部にある「+セグメント」(図1赤枠部分)のエリアをクリックしよう。ブラウザ表示の横幅が狭い場合は、すべてのセッション(図1青枠部分)の下に並んで表示される。

図1:「+ セグメント」をクリックする

「+セグメント」(図1赤枠部分)のエリアをクリックすると、図2のようなセグメントの機能が表示されるので、左上にある「+新しいセグメント」(図2赤枠部分)をクリックして新規セグメントを作成していこう。

図2:セグメント機能(グリッド表示)
注:一覧表示(図2青枠部分)を選択している場合や、自分ですでにカスタムセグメントを作成している場合などでは、図2と同じ見え方にはならない。

新しいセグメントを作成する初期画面では「ユーザー属性」(図3赤枠部分)が選択されているが、今回作成するセグメントでは「条件」(図3青枠部分)を選択しよう。

図3:「条件」分類のセグメントの画面

図3はその「条件」を選択した画面だ。セグメントの条件設定は、図3緑枠部分で行う。今回設定するセグメントは「企業ドメインからのセッション」で、図4のような設定内容になる。

図4:「企業ドメインからのセッション」セグメントの設定内容

まずフィルタの設定を「セッション」「含める」図4赤枠部分)とし、セッション ベースのセグメントに指定した上で、「ネットワークドメイン」「含む」「.co.jp」と指定(図4青枠部分)する。

企業ドメインに「.com」も含めたければ、図4青枠部分は「ネットワークドメイン」「正規表現に一致」(.*\.co\.jp|.*\.com)と指定すればよい。こうすれば、example.co.jpドメインやexample.comなどが対象として選択できる。

セグメントの名前を「企業ドメインからのセッション」などとしたうえで、[保存](図3黒枠部分)をクリックして、新規作成したセグメントを保存する。

企業ユーザー全体の来訪チャネルに特徴があるのか確認するには?

次にこのセグメントをどう活用していくのかを見ていこう。まず企業ドメインからのセッションは全体と比較して集客チャネルに大きな違いがあるのかどうかを見ておこう。[集客]>[すべてのトラフィック]レポートに該当セグメントを追加して掛けた(図5赤枠部分)のが図5だ。

操作手順
  1. 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
  2. 画面左側にあるメニューで、[集客]をクリックする
  3. メニューが開くので、[すべてのトラフィック]をクリックする
  4. 先に「企業ドメインからのセッション」セグメント(図5赤枠部分)を「適用」する
  5. 次に「すべてのセッション」セグメント(図5赤枠部分)を「適用」する
図5:[集客]>[すべてのトラフィック]レポートにセグメントを掛けた(下部)

企業ドメインからのセッションの特徴をあぶりだしたいので、企業ドメインからのセッションの多い順に並んでいる方が見やすい。そのためセグメントを掛ける順番は「企業ドメインからのセッション」が先で、「すべてのセッション」を後に(図5赤枠部分)しよう。

図5で見るポイントだが、たとえば「参照元/メディア」ごとに見ていって、セッションの指標で2つのセグメント間の割合(図5青枠部分)の違いが大きいものはないだろうか。検索エンジンの利用シェアが高いとか、特定の参照元ドメインからのシェアが高いといった特徴があったら、その検索エンジンの何という検索語か、参照元ドメインのどのページからのリンクから来訪するのかといった点に深掘りして見ていこう。

また、たとえば資料請求や問い合わせを目標設定などしておき、そういった成果が参照元によって違いがあるのか、成果の高い参照元はどこか図5緑枠部分)といった点を見ていこう。

企業ユーザー全体の閲覧コンテンツに特徴があるかどうかを分析するには?

次に見るのは[行動]>[サイト コンテンツ]>[すべてのページ]レポートに、該当セグメントを追加して掛けた(図6赤枠部分)レポートだ。

操作手順
  1. 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
  2. 画面左側にあるメニューで、[行動]をクリックする
  3. メニューが開くので、[サイト コンテンツ][すべてのページ]を順にクリックする
  4. 先に「企業ドメインからのセッション」セグメント(図6赤枠部分)を「適用」する
  5. 次に「すべてのセッション」セグメント(図6赤枠部分)を「適用」する
図6:[行動]>[サイト コンテンツ]>[すべてのページ]レポートで、セグメントを掛けた画面(下部)
  • 企業ドメインから来たユーザーが見るコンテンツに特徴はあるだろうか?
  • どの製品/サービスのどの機能の説明ページをよく見ているのだろうか?
  • そのページは内容が充実しているだろうか?
  • 企業ユーザーの閲覧シェアが全体の閲覧シェアに比べて(図6青枠部分)高く注目されているページはないか?
  • 特にじっくり時間を掛けて閲覧されているページはないか?(図6緑枠部分)
  • ページの価値が高く、成果に寄与しているページ(図6黒枠部分)に特筆すべき箇所はないか?

などの視点で見ていこう。

企業ごとに来訪ユーザーの動向を分析するには?

企業ユーザー全体の動向に続いて、次はさらに個別の企業ごとの行動まで見ていこう。図7は[ユーザー]>[ユーザーの環境]>[ネットワーク]レポートで、セカンダリ ディメンションに「ネットワークドメイン」を選択して、該当のセグメントを掛けた画面だ。

操作手順
  1. 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
  2. 画面左側にあるメニューで、[ユーザー]をクリックする
  3. メニューが開くので、[ユーザーの環境][ネットワーク]を順にクリックする
  4. セカンダリ ディメンションに「ネットワークドメイン」を選択する
  5. 「企業ドメインからのセッション」セグメント(図6赤枠部分)を「適用」する
  6. 「すべてのセッション」セグメント(図6赤枠部分)が掛かっていれば外す
図7:[ユーザー]>[ユーザーの環境]>[ネットワーク]レポートで、セカンダリ ディメンションに「ネットワークドメイン」を選択して、セグメントを掛けた画面(下部)

こうすれば、

  • どの企業からどの程度のサイト訪問があるか(図7赤枠部分)
    ※ネットワークドメインから企業名を調べるには、そのドメイン名に「http://www.」を付けてアクセスしてみるといい。whoisなどのサービスも利用できるが、各サービスにおける情報の公開・開示のルールに基づいて利用する必要があるので注意。
  • その企業の人はどのくらい熱心にページが見られているか(図7青枠部分)
  • その企業からのサイト訪問成果に結びついているのか(図7緑枠部分)

がわかる。成果(たとえば資料請求)に至っていないけど、閲覧時間が長かったり、閲覧ページ数が多い企業はどこなのだろうか、といった問題意識を持って分析してみよう。

特定の企業ユーザーが閲覧したコンテンツは何だったのか、分析するには?

ここまで来たら、「この企業の人に営業をかけたい」というターゲットの企業にさらに絞り込んで、その企業の方が見たコンテンツは何だったのかまで調べてしまおう。[行動]>[サイト コンテンツ]>[すべてのページ]レポートに戻り、アドバンス フィルタを活用しよう。

まず、図6の状態から「すべてのセッション」のセグメントを解除する。セカンダリ ディメンションにネットワークドメインを指定(図9赤枠部分)したうえで、レポート下部の表形式のデータ部分の右上の方にある「アドバンス」(図8赤枠部分)をクリックする。

するとさらにデータを絞り込みむ条件を指定する画面(図8)になるので、「一致」「ネットワークドメイン」「完全一致」と指定し、右端のテキストボックスには、調べたい企業のネットワークドメインをexample.co.jpのように指定する(図8青枠部分)。そのうえで「適用」(図8緑枠部分)をクリックする。

操作手順
  1. 「すべてのセッション」セグメントを解除する
  2. セカンダリ ディメンションに「ネットワークドメイン」を選択する
  3. 「アドバンス」をクリックする(図8赤枠部分)をクリックする
  4. 条件指定画面が開くので、「一致」「ネットワークドメイン」「完全一致」「example.co.jp(データを見たい企業ドメイン)」と指定(図8青枠部分)し、「適用」をクリックする
図8:「アドバンス フィルタ」の指定内容

アドバンスフィルタを使って、該当企業に絞り込んだレポートが図9だ。

図9:[行動]>[サイト コンテンツ]>[すべてのページ]レポートで、該当セグメントを掛けた上で、セカンダリ ディメンションに「ネットワーク ドメイン」を指定し、アドバンスフィルタを使い該当企業で絞り込んだレポート

こうすることで、該当企業ドメインからの閲覧ページとそれぞれがどのくらい熱心に見られたのかまで理解できる。

かなり熱心に見てくれいるのだが資料請求には至っていないのならば、営業から電話してもらうと話が早いかもしれない(その企業と以前コンタクトした営業がいるならば)。

どう考えても顧客になると思えない企業は、ひょっとすると競合企業か、あるいは提携の可能性を考えている企業ではないか? さまざまなケースが考えられるので、企業名を見ながら個別にこの作業を繰り返して、成果に結び付けてほしい。


Googleタグマネージャでユニバーサル アナリティクスを実装する方法を詳しく解説する講座(2016/4/19)申し込み受付中。詳細とお申し込みはこちらから

用語集
Googleアナリティクス / グローバルナビゲーション / セグメント / セッション / テキストボックス / ドメイン名 / リンク / 専用線 / 検索エンジン / 訪問
この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

リテンション
既存顧客との良好な関係を保つこと。それを目的とした施策を、リテンションマーケティ ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]