集客に一役買っている他サイトはどこ? GAの参照元を見てコンテンツ制作のヒントを得よう[第36回]
自社サイトの集客に役立っている他サイトはどこだろうか? 今回は「普通のサイトが参照元の場合」の集客データの分析方法を紹介する。どんなサイトからリンクが貼られていて、自社のどんなコンテンツがリンクを貼ろうと思う対象になっているのだろうか?
他サイトからのリンクの分析は短期的にすぐ成果につながるものではないが、じっくり中長期的なコンテンツ制作を考えているのであれば、この情報はニーズのあるコンテンツを制作することに役立つだろう。結果的に検索エンジン対策(SEO)にも役立つのではないだろうか。
- 「どのサイトから」「どのページに」集客があるかわかる
- リファラースパムを判別する方法がわかる
- ひと目で状況がわかるカスタムレポートをワンクリックで作る
リンクの分析は「参照サイト」レポートで
ほかのサイトから貼られたリンクによる集客は、どのように確認すればよいのだろうか?
自然なリンクによる集客に絞る場合、[集客]>[すべてのトラフィック]>[参照サイト]レポート(図1赤枠部分)で表示されるサイトが対象になる。
このレポートでは、検索エンジンや各種広告やキャンペーン、ノーリファラーなどを除いた一般のサイトやブログ、Facebookなどのソーシャルメディア(図2赤枠部分)からのセッション(訪問)に絞り込まれた集客状況が表示される(図2)。
リファラースパムを判別する
最近は、Googleアナリティクスのデータにおいて通常の人のアクセスとは思えないスパムの混入が非常に多くなっている。多くの場合、参照元(リファラー)を偽装するため「リファラースパム」と呼ばれ、「参照サイト」レポートにも多く混入している。時間を無駄にロスしないよう、先にひと手間かけてスパムを区別しておこう。
まずはどれがリファラースパムかを見てみよう。「参照サイト」レポートのデータ一覧表示部の上部にある「セカンダリ ディメンション」のプルダウンから「行動」内にある「ホスト名」を選択する(図3赤枠部分)。すると2列目にホスト名が表示される(図3青枠部分)。ホスト名とは計測対象サイトのことで、今回の場合は自サイトである「gaforum.jp」になる。
テスト環境のサイトやグーグルのキャッシュサイト(webcache.googleusercontent.comなど)といったサイトを除いて、心当たりのないサイトや「(not set)」表記があれば、それはほぼスパムだと考えてよいだろう。そうしたデータが入っていないかチェックしていただきたい。
図3の例では、ホスト名が計測対象サイトの「gaforum.jp」ではない「xxxx.com」のセッション数が参照元の第1位になっている(図3緑枠部分)。これは、計測期間中の2日間に集中して送り込まれたスパムだったのだ。このビューでは一切フィルタをかけていないため、標準ではこのようにデータが大きく汚れている状態になっている。このような参照元は、分析対象外として無視しよう。
なお詳しく知りたい場合は別の記事でリファラースパムを撃退する方法を解説しているので参照してほしい。スパムに対する本質的な対処方法も紹介している。
参照元とランディングページの組み合わせを見る
[集客]>[すべてのトラフィック]>[参照サイト]レポートで表示される「参照元」ディメンションはホスト名単位なので、「そのホスト名全体がどのくらい集客に寄与しているのか」といった全体像はわかるが、詳細まではよくわからない。
そこで、「そのホスト名のどのページからの訪問があったのか」を調べる必要がある。そのためには、「参照元」ディメンションに表示された各ホスト名をクリックすればよい。たとえば図3でセッション数が第2位の参照元(図3黒枠部分)をクリックしてドリルダウンしたのが図4だ。
このサイトでは、2つのページから集客があることが確認できた(図4赤枠部分)。どちらも直帰率が高く、計測対象サイト内の他のページの閲覧はそれほど発生していないが(図4青枠部分)、成果には多少結びついていることがわかった(図4緑枠部分)。
何より重要なのは、参照元になったページの実際の内容を確認することだ。該当ページにワンクリックで移動できるリンク(矢印マーク)があるので(図4黒枠部分)、クリックして実際のページを表示してみよう。その結果、どちらのページもある特定のテーマで書かれた記事で、「最新情報の入手に最適なサイトはこちら」という形でリンクが貼られていることを確認できた。
気を付けなければいけないのは、「参照サイト」レポートでたとえば「facebook.com」をクリックしてもドリルダウンされるページは「/」、つまりトップページしか表示されない。当然、ソーシャルメディアで非公開のページなどを見ることはできないので、ページの内容を確認できない場合もあることは知っておこう。また、たとえば新着情報から外れるなど、リンクのクリックが発生した当時と今では内容が変わっていることもある。
参照元サイトの影響力はどのくらいあるのか?
次は、参照元になったサイトの影響力はどの程度あるのか、このページの主なテーマをキーワードにして検索してみよう。もし、自分のサイトよりそちらのサイトが上位表示されているのであれば、そのサイトのリンクによる集客は効果的だといえるし、良質な外部リンクを得ることにも役立つ可能性が高い。
その場合、そのサイトからリンクを貼られることを期待して、他のテーマの記事との親和性が高そうなコンテンツを新たに作成してみるのもよいかもしれない。そのためには、次のようなことに思いをはせることが重要だ。
- リンクしてくれたサイトの書き手は何を重視してリンクを貼ってくれたのだろうか?
- そのリンクをクリックしたユーザーはどういう期待を寄せてサイトに訪問したのだろうか?
どのページにリンクを貼っているのか?
目視での確認だけだと該当ページに記述されたリンクを見逃しているかもしれないので、「セカンダリ ディメンション」に「ランディング ページ」を指定したレポートも表示してみよう(図5赤枠部分)。こうすることで、リンク元のページとリンク先のページをセットで確認することができるようになる(図5青枠部分)。
ただし、Googleアナリティクスの場合は参照元の集計が少し特別なので、図5で表示されたレポートのリンク元のページが本当の参照元とは限らない。場合によっては、その2つのページの組み合わせが実在するとは限らないので、その点は注意が必要だ。Googleアナリティクスの特殊な参照元の定義については、第25回の記事で解説しているので参照してほしい。
いちいちドリルダウンしなくてすむカスタムレポートがおすすめ
ここまで紹介した作業は単純で泥臭く、各参照元のドメインをクリックして毎回この作業をくり返すのは難儀だろう。そこで、1つのレポートでこの作業を一気に行える方法を紹介する。
参照元のドメインとページ名を連結した「完全なリファラー」というディメンションがあるので、それとランディングページを組み合わせたカスタムレポートを作れば、ここまでやってきたことをひと目で確認できるようになる(図6)。カスタムレポートは筆者が用意したので、記事末のボタンからぜひみなさんのビューにも取り込んで使ってみてほしい。
このカスタムレポートの「完全なリファラーとLPの組み合わせ」というタブ(図6赤枠部分)をクリックすると、図6のような表示になる。
「完全なリファラー」と「ランディング ページ」の組み合わせが表示され(図6緑枠部分)、セッション数などの基本的な指標も同じ画面で確認できる(図6黒枠部分)。いちいちドリルダウンしなくても参照元となったページがひと目でわかるし、そのままコピーしてアドレスバーに貼り付ければ参照元ページの確認も簡単だ。
カスタムレポートをビューに取り込む方法
上記のカスタムレポートの設定は、みなさんのGoogleアナリティクスに簡単に取り込める。自分のGoogleアナリティクスアカウントにログインした状態で、以下のボタンをクリックすればよい。
ボタンをクリックした後は、カスタムレポートを取り込みたいビューをどれか1つ選択し(図7赤枠部分)、「作成」(図7青枠部分)をクリックするだけだ。
すると、選択したビューのカスタムレポート(図8赤枠部分)に取り込まれ、レポートが表示されるはずだ(図8青枠部分)。レポートが取り込まれたら、先ほど解説したように「完全なリファラーとLPの組み合わせ」タブを確認してみよう。
カスタムレポートについてはいずれ詳しく解説するが、標準のレポートに表示されないディメンションを利用でき、指標を自由に組み合わせて自分の好きなレポートを作れるのでとても便利だ。また、このようにレポート形式を人に譲渡することもできる。今回のカスタムレポートは、参照サイトの確認にぜひ活用してほしい。
📝筆者が継続的に主催している講座群(Google アナリティクス中心)に興味がある方はこちらをご確認ください。
http://xfusion.jp/train.html
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