Webコンテンツで成功するには、敵をつくることを恐れてはいけない(前編)
コンテンツを成功に導く方法は、読者に共感してもらうことだけではない。ときには、ちょっとした論争を引き起こしたり、多少の敵を作ったりすることで、驚くほどたくさんのオーディエンスを集められる場合がある。
もっとも、これには「正しいやり方」と「間違ったやり方」があるのは言うまでもない。
今日のホワイトボード・フライデーでは、敵を作る力をうまく活かす方法についてランドが説明する。
Mozファンのみんな、こんにちは。ホワイトボード・フライデーにようこそ。今日は、ちょっとおもしろい話をしよう。敵を作ることでコンテンツを成功に導く方法だ。
こう言うと、みなさんは心の中で、こう考えるだろう。
ちょっと待ってほしい。私の仕事は自分のコンテンツで味方を作ることだと思っていた!
そのとおり。そして、親しい味方を作るのに最適な方法の1つが、同時に敵を作ることなのだ。
僕の考えでは、企業や会社などの組織、プロジェクト、それにさまざまな取り組みがとてもうまくいくのは、人々を味方につけているときであることが多い。
したがって、変化を起こそうとしているときや、自分が行っている活動を人々に支持してもらおうとするときには、自分の意見、データ、ストーリー、そして人々を自分の味方にできるコンテンツが必要になる。
そのための最適な方法の1つが、反対の考え方をすること、つまり、敵を作るにはどうすればいいかを考えることだ。
敵と味方を作るコンテンツの例
いくつかの例を紹介しよう。そうすれば、もう少し詳しい説明ができる。僕はちょっとした調査を行った。そのときのデータはBuzzSumoで、リンクデータはAhrefsで公開している。
それはともかく、たとえば、「米国ではソーラパネルの仕事が炭鉱の仕事の2倍に(There Are Now Twice as Many Solar Jobs as Coal Jobs in the US)」という記事を考えよう。
これは統計データを基にした記事だが、間違いなく味方と敵を作り出す。
敵になるのは、炭鉱の仕事を重要と考える昔ながらの保守的な人たちで、こうした考え方のために、彼らは記事に反感を持つようになる。
だが、このような統計データを伝えたことで、味方も生まれる。この記事の意見に賛同する人たちだ。彼らはこの記事をシェアし、広めるだろう。
その結果、この記事は影響力を強め、より多くの人にリーチできる。
同じことは、次の例でも言える。「ヨガは理学療法に代わる優れた選択肢(Yoga Is a Good Alternative to Physical Therapy)」というタイトルの記事だ。
実際、この記事は実に素晴らしい成功を収めた。数千ものシェアやリンクを獲得し、多くのキーワードでランキングの上位を獲得したのだ。この記事は、ヨガの専門家やインストラクターといった人々を味方にしたのだ。
だがその一方で、この記事は敵を作っている。理学療法士の人たちは、この記事の内容が事実であってほしいと思わないだろう。
彼らの多くはこの記事の内容に苛立つ。たとえ調査結果が示されていても、この記事の内容を真実と考えない人たちは敵になるのだ。
3番目の「PRが上手な米国企業トップ50社(The 50 Most Powerful Public Relations Firms in America)」は、たしか「The Observer」の記事だと思う。
この記事は英国で書かれたものだが、「PR上手な企業」など実に多くのキーワードで、ランキングの上位を獲得してしまった。シェアやリンクもたくさん獲得している。リンクの数は1万1000で、この手の記事としては実に驚くべき結果だ。
この記事も敵を作っている。自分の会社が50位以内に入っているはずだと思っていたのに、ランクインしていなかった人たちだ。
一方で、自分の会社がランクインしている人は味方になる。
記事の中身をじっくり読めば、この記事も味方と敵を作っていることがわかるので、チェックしてみてほしい。
「庭の芝生を、別のもっと素晴らしいものに替えよう(Replace Your Lawn with These Superior Alternatives)」という記事はどうだろうか。
この記事は、芝刈り業者や芝刈り機業界に敵を作っている。芝生好きのコミュニティでもだ。特に米国では、芝生の愛好家が多い。彼らは、家の庭には芝生(それも本物の芝生)を敷くべきであり、それ以外のものは何も植えるべきでないと考えている。
この記事は、シェアの数はそれほどでもなかったが、リンクについては驚くべき数を獲得した。「Lifehacker」に掲載されたこの記事は、さまざまなランキングで上位になり、1万1000以上のリンクを獲得したのだ。
記事を作る前に、その記事を誰がなぜ広めてくれるのか自問する
今見てきた記事は、敵を作っても当然だと思えるような内容とは必ずしも言えない。だが、コンテンツを作るときにこの手法を用いる場合は、僕が長年にわたって繰り返し話してきたルールがある。
コンテンツを成功に導くルール、特にコンテンツを拡散させるためのルールがあるのだ。
それは、コンテンツを作る前、つまりアイデアをブレインストーミングしたり、タイトルを考えたり、コンテンツを考えたりする前に、次のように自問することだ。
この記事は、誰がどのような理由で広めてくれるのだろうか。その人たちはどうして手助けしてくれるのだろうか。
自分の側についてくれる味方は誰なのか、自分が作ろうとしている敵は誰なのかについて、考えをまとめる有効な方法の1つは、「誰」をもっと明確に定義することだ。
自分のアイデア、倫理観、意見、論理、データを支持し、広める手伝いをしたいと思ってくれる人は、コンテンツを拡散してくれる可能性がある人だ。
また、記事が作り出す敵や批判的な人について考えれば、誰がそのようなグループに属するのか判断できることが多い。
「なぜ」についても、もっと明確に定義しよう。
記事の読者は、共通の敵がいるときや、支持や信頼の気持ちを伝えるチャンスがあるときに、その記事を拡散したいと強く思う。そして、その記事をコミュニティやコンテンツ利用者に広める行動に出てくれるのだ。
たいていの場合、このように考えることで、コンテンツクリエーターやSEO担当者は、成功するコンテンツを作るために適切な心構えを持てる。
この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。後半となる次回は、今回紹介した戦略を実施するときにすべきこととすべきでないことを見ていく。→後編を読む
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