根本的に間違っている5つのローカルSEO手法 ①無効な住所 ②電話番号を共有【前編】
グーグル検索結果の変化とモバイルの普及によって、ローカルSEOに対する関心が日本でも少しずつ高まってきている。Googleマイビジネスを使ったローカルSEOの「よくある間違ったやり方」を知り、ミスなくローカルSEOを進められるようになってほしい。
ローカルビジネスのマーケティングを土台から揺るがすミス
悪い知らせを伝えなければならないというのは、決まって嫌なものだ。
あなたは、素晴らしい潜在顧客と電話をしている。相手は、電化製品の供給業者として販売や修理を手がけ、米国西部に75か所の拠点を持つ成長中の事業者だとしよう。あなたが勤めるエージェンシーは何としてもこのクライアントに食い込みたいと考えており、先方は、すでに拠点の約半数が検索順位でかなり上位に表示されると自負している。
適切な戦略によって残りの道のりをたどれば、何の問題もないはずだ。
しかし、あなたはあることに気づく。そのせいで、あなたの口数はやや少なくなる。
カリフォルニア州バイセイリアにある拠点のGoogleマイビジネスのリスティングから、Googleストリートビューをクリックしてみると、そこに表示されたのは商業ビルではなく住宅だったのだ。何てことだ。
慎重に言葉を選んで聞いてみると、このブランドのリスティングのうち45件が、同社に勤務する修理工らの自宅の周辺に作成されていることがわかった。これは、グーグルのガイドラインに大きく違反している。
「大変申し上げにくいのですが……」。あなたは咳払いをして、悪い知らせを伝えた。
誰かに「やり方が間違っている」と伝えるという、気の進まない(しかし不可欠な)役割を務めた経験は、
- 社内でローカルSEOをやっている人
- クライアントのためにローカルSEOをやっている人
- フォーラムで質問に回答するだけの人
どんな人でもあるだろう。
しかもそういう場合、すでに相当のリソースを投資してマーケティングの仕組みを作っているのだが、その土台に亀裂があるために倒壊するおそれがあるということが多い。時には亀裂を塞げる場合もあるが、間違ったマーケティングの建物全体を破壊してからでなければ、安全でしっかりした建物を新たに建てられない場合もある。
この記事では、私が長年にわたりローカルSEOのコンサルタントやフォーラムへの参加者として遭遇した、マーケティングで特によくある根本的な間違いのうち5つを紹介する。仕事の中でこれらの間違いに遭遇したら、できる限り早く「悪い知らせ」を伝えて、相手を助けてあげよう。
ローカルSEOのよくある根本的な間違い その1
Googleマイビジネスのリスティングを無効な住所で作成してしまう
ミスをするSEO担当者の事情
これらの他の街でも顧客が欲しいので、検索結果に表示させる必要がある。
しかし実際には、それらの場所にオフィスはない。私書箱ならある(または仮想オフィスや従業員の住宅)
→だから、Googleマイビジネスのリスティングを無効な住所で作成してしまう
なぜ問題なのか
グーグルは、Googleマイビジネスのガイドラインで次のように定めている。
お店やサービスが実在する場所にページを作成します。
遠隔地にある私書箱は許可されません。
顧客がいる場所に出向いてサービスを提供する非店舗型ビジネスの場合は、中心的なオフィスまたは事業所に対応するページを1つ作成し、その場所からサービスを提供する地域を指定します。
つまりグーグルは、実在する場所以外を示すリスティングを作成してはいけないと言っているのだ。
しかし、次のようなケースは非常によく見られる。
× 実在しない場所のリスティングをとにかく大量に作成するスパマー
× ガイドラインの規定を把握しておらず、悪意もなく同じことをしている人
× 場所を偽ってリスティングを作成しなければ、サービスを提供している拠点がグーグルの検索結果に表示されなくなるため、そうしたリスティングを作成しなければならないと感じている非店舗型ビジネス(SAB:Service Area Business)
3つのシナリオのいずれにおいても、こうしたリスティングを作成している場合は、グーグルに見つかってリスティングが削除されるリスクを負うことになる。そうした誤りをグーグルが見つけることもあるし、競合他社や消費者が見つけることも、マーケターが見つけることもある。
いったん見つかると、偽りの場所のリスティングだけでなく、検索順位や評判の確立に注いだ努力はすべて無駄になる。リスクのないマーケティング活動にリソースを注いで、何かリアルなものを積み重ねたほうがいい。
どう対応するべきか
非店舗型ビジネスのオーナーに対し、問題をグーグルに自己申告するよう助言しよう。
リスクがありそうなのはわかっているが、Googleマイビジネスのフォーラムでトップレベルユーザーであるジョイ・ホーキンス氏は、次のようにと言っていた。
意図せずスパムになってしまったことを自己申告したビジネスをグーグルが罰したケースなど見たことがない
オーナーは、スパムのリスティングを未確認状態にする必要があるだろう(やり方はこちらを参照)。するとグーグルは、不適格なリスティングを削除し、適格なリスティングのみをそのまま残す可能性が高い。
ガイドラインの規定を知っていながらそれに違反し、検索結果のローカルパック表示を無駄なゴミに変えてしまう根っからのスパマーについてはどうすればいいだろうか?
その場合は、Googleマップでスパムのリスティングにアクセスして、次のようにする。
- リスティング内の「情報の修正を提案」リンクをクリックする。
- 「移転しているか、閉業しているか、この場所に元々存在しません」の横のラジオボタンを「はい」に切り替える。
- 「スパム」のラジオボタンを選択する。
この提案に対してグーグルが行動を起こす場合もあれば起こさない場合もある。グーグルが行動を起こさず、スパムが消費者の誤解を招いているような場合、悪質なケースについてはボランティアのトップレベルユーザーがグーグル社員に伝えてくれることを期待して、Googleマイビジネスのフォーラム(日本語版はこちら)への報告を推奨する。
ローカルSEOのよくある根本的な間違い その2
複数の事業者同士で電話番号を共有してしまう
ミスをするSEO担当者の事情
私は自宅で、犬の散歩を請け負うサービスと空手教室の両方を運営しているが、2本分の電話回線料を支払いたくない
私たちのレストランは現在、市内に3か所あるが、すべての予約を1つの電話番号で受けられるようにしたい。そのほうが簡単だ
私たちの診療所には7人の医師がいる。受付ですべての電話を処理している。医師に自ら電話に出てもらうことはできない
→だから、複数の事業者同士で電話番号を共有してしまう
なぜ問題なのか
これには実際、複数の問題がある。まず、グーグルは、Googleマイビジネスのガイドラインで次のように定めている。
可能な限り、個々のビジネス拠点に直接つながる電話番号を指定します。ビジネス拠点ごとに1つのウェブサイトを指定します。
可能な限り、電話総合受付センターではなく、個々のお店の番号を使用します。
ビジネスが直接管理している電話番号を指定してください。
したがって、どこか1か所が複数の場所を代表して電話番号を持つことはできない。
グーグルにとって紛らわしい
グーグルはこれまで、確認のためビジネス各所に電話することでも知られている。グーグルの担当者が「ジムの空手レッスン」に関連付けられた電話番号であることを確認するために電話した場合に、ビジネス側が「ジムの犬の散歩」として電話に出ると、困ったことになる。
過去には、電話番号を共有していたためにグーグルのリスティングが誤って統合されてしまったこともあるらしい。ただし、私自身、ここ数年でそのようなケースは目にしていない。
ビジネスにとって紛らわしい
専門職が複数いるシナリオに関して言えば、実際には、そもそも専門職が自分個人への電話に出ることを許可していないビジネスモデルもある。医師、歯科医、弁護士などへの電話は、以前から受付に回されている。そうした現実を考えると、果たしてこれらの個人に向けて積極的にリスティングを構築するべきかどうかという疑問が生じる。
このトピックについては後ほど、専門職が複数いる場合のリスティングに関するセクション(後編に掲載)でさらに詳しく取り上げる。
エコシステムにとって紛らわしい
複数のビジネスで電話番号を共有すると、グーグルに関係する懸念事項だけでなく、より大きなエコシステムにとってもよろしくない。
Moz Localの素晴らしいエンジニアたちは、より大きなエコシステムでサイテーション(引用、言及)ビルディング活動を行う際に、電話番号を共有していると生じ得る問題について、かなり驚くようなことを教えてくれた。
というのも、多くのローカルビジネスのデータプラットフォームは、事業者の一意性を示すシグナルとして、固有の電話番号に大きく依存している(NAPのP、つまり電話番号は強力なのだ!)。
そのため、たとえば米国のデータアグリゲータInfogroupに「ジムの犬の散歩」と「ジムの簿記」の両方を同じ電話番号で提出すると、Infogroupは両方のリスティングを公開するかもしれないが、電話番号フィールドは空欄のままにされる可能性があるというのだ! 電話番号が記載されなければ、ローカルビジネスのリスティングはあまり役に立たない。
そうした現実があるからこそ、各事業者に固有の電話番号はMoz Local製品の必要条件であり、あらゆるサイテーションビルディング活動の前提条件でなければならない。
どう対応するべきか
個々のビジネスやビジネス拠点、それに自分のことを記載してほしがっている積極的な医師にとって、固有の電話番号は必要な経費であることをビジネスオーナーに伝えよう(それから、課税控除の対象になる可能性が高いことも伝えよう!)。
固有の電話番号に投資したら、既存のすべてのサイテーションを編集してそれぞれの電話番号を反映する。無料ツールのMoz Check Listingなら、既存のサイテーションを即座に検索して、不良データが詳しく記載されたスプレッドシートを作成できるので、手動で修正できるようになる。あるいは、手間を省くため、Moz Localなどサイテーションを自動修正する有料製品に投資したいビジネスオーナーもいるだろう。
とっておきのヒント
固有の電話番号を登録すると、ローカルビジネスのリスティングに関する障害が取り除かれるだけでなく、Click-to-CallなどのKPIを特定の事業者に関連付けられる。
また、既存の電話番号を通話追跡番号に移植して、トラフィックやコンバージョンをさらに分析することもできる。
複数の事業者で1つの電話番号を共有すると、これらの利点を享受できなくなる。
ローカルSEOでよくある根本的な5つのミスを解説するこの記事は、3回に分けてお届けする。今回は、5つのうち最初の2つを紹介した。
中編となる次回は、
- Googleマイビジネスのリスティングのビジネス名にキーワードを詰め込んでしまう
- 複数のサイトを作って管理に手が回らなくなってしまう
について見ていく。
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