疑問に答えるタイプのSEOコンテンツは“逆ピラミッド型”で書くべし(前編)
強調スニペットに表示されるような強力なコンテンツを実際に作るには、どんな考え方で、どう執筆していけばいいのだろうか。それは、「逆ピラミッド型」のコンテンツだ。
もしあなたが、強調スニペット向けのコンテンツを執筆する手軽なテクニックを探しているのなら、この記事は適していない。なぜなら、そんな手軽に実現できる手法ではないからだ。
しかし、スニペットを獲得するチャンスを高めるために持続的な結果とスマートな戦術を探している人には、間違いなく最適な記事だ。
ジャーナリズムの世界から拝借した逆ピラミッドの執筆方法は、意図に沿った、説得力のあるリッチなコンテンツを作成する助けになる。こうしたコンテンツは、複数のクエリに対して検索結果に表示させ、一度に複数のスニペットを獲得するのに役立つだろう。
唯一無二の存在であるドクター・ピートが登場する今回のホワイトボード・フライデーで、その方法を学ぼう!
Mozファンのみんな、こんにちは。ドクター・ピートだ。僕はMozのマーケティングサイエンティストで、あまり日差しのないシカゴからシアトルのオフィスを訪れている。ここ数年は、僕のブログ記事などで強調スニペットについて多くを取り上げてきた。
強調スニペットとは、オーガニック検索結果に混じりこんだような回答のことだ。検索結果にリンクではなく回答そのものが表示される「アンサーボックス」なのだが、あわせてその情報を引っ張ってきたページの参照元URLとリンクが表示される。
Mozではブリトニーがこれまで3回のホワイトボード・フライデーで、次のようなトピックについて素晴らしい話をしていた。
だが僕は、僕たちがあまりカバーしていないことについて話したいと思う。すなわち、強調スニペットに表示されるような、回答を提示するコンテンツを書く方法についてだ。
逆ピラミッド方式によるコンテンツの執筆
とはいえ、「回答を提示するコンテンツを書く方法」を解説するのは、なかなかやりづらいものだ。僕はコンテンツマーケターであり、コンテンツにトリックがあるとは思いたくない立場だからね。
中途半端なことを伝えてしまうと、人々が先走って、貧弱で内容の薄いコンテンツを書いてしまうのは知っている。だから、そうした“トリック”を教えることになりはしまいかと思うと心配だ。
しかし、質問と回答を書くうえで、強調スニペットを獲得するには非常に効果的だと思われる有効なテクニックというものは、存在している。その手法はジャーナリズムの世界から来ているため、多少なりとも信頼できるものだ。
今回はそれについて話してみたい――「逆ピラミッド」と呼ばれているコンテンツの書き方だ。
これは1つのコンテンツにどんな順番で何を書いていくかを示した図だ。
1. リード文から始める
ジャーナリストとしてストーリーを書く場合、まずはリード文から始める。リード文で読者をリード(誘導)するのだ。
たとえば「ペンギンの銀行強盗」なんて話の場合、奇妙な話になりそうだが、そのことを冒頭に持ってきたい。面白い話だ。ペンギンが銀行強盗をする――それさえ知っていればいい。
ただしこれは、印刷物の時代、特に新聞を1紙ずつ買わなければならなかった頃の話だ。サブスクリプション制ではなかった時代だ。
しかし今のウェブ上では、間違いなく、人々の注意を素早く引く必要がある。引き込まなければならない。そうした効果をもった見出しを掲げなければならない。
2. 詳しく説明する
リード文で誘導するのは、読者を引き込んで興味を持っているかどうかを確かめ、注目を集めるためだ。
そうした引き込んだうえで、逆ピラミッドのさらに小さな部分に踏み込む。詳しい説明に移るのだ。
そこには何匹のペンギンがいたのか、どの銀行に強盗に入ったのか、どのくらいのお金を盗み出したのかについて、説明できるかもしれない。
3. コンテキストに進む
それから、「コンテキスト(背景)」に進む。
ここに書くのは、たとえば、
- 米国におけるペンギンの犯罪の歴史
- ペンギンとマフィアのつながり
- そのつながりがペンギンの文化にどう関連しているか
- それについて僕たちに何ができるか
といったことかもしれない。この段階で、専門家としての推論や付加価値のようなものに掘り下げていく。
SEOにおける質問に対する回答への適用
ここまでで解説したのは、新聞の時代の「逆ピラミッド」型のコンテンツの作り方だ。
では、SEOの文脈で「質問に答える」コンテンツを作る場合には、これをどう適用できるだろうか?
その問いに対する僕の答は、次のようなコンテンツ構造だ。
回答で誘導し、詳細やデータを示し、その後で補足的質問に対処する
逆ピラミッドの上の部分、つまり冒頭では、まず回答を提示して誘導することだ。誰かが質問している問いに答えるコンテンツを作る場合は、最初にその質問に対する回答の要約を示そう。
そうして相手が知りたがっていることをまず教えたうえで、次に詳しく説明し、データに移る。信頼性をもたらし、専門知識を示すコンテンツを追加しよう。その後で、コンテキストについて話すことができる。
しかし、回答コンテンツにおいて興味深いのは、「補足質問に踏み込む」ことだ(これについて詳しくは後述する)。
想定している質問が非常に大まかな、広範囲に及ぶものだったとしたら、それが解決したあとの質問者の頭には、多くの補足的な質問が浮かんでくるはずだ。関心を寄せる人たちは、これらの補足的な質問について知りたいと思うだろう。
そこで、同じコンテンツ内で、実際にそれらの補足質問に答えていくんだ。
強調スニペットを獲得したら、人々は回答をクリックしてくれるだろうか? すべての情報を教えてしまうべきか?
ここで気になることがある。次のようなことだ。
質問に答えるコンテンツを作り、グーグルがその回答をボックス内に表示したらどうなるだろうか?
質問をクエリとして検索すれば、回答が表示される。では、人々はそれをクリックしてくれるだろうか?
僕たちは回答コンテンツですべての情報を教えてしまうべきか? それとも……。
教えるべきだと、僕は思う。それにはいくつかの理由がある。
いとも簡単に回答できる質問は避けるべき
最初に、気をつけてほしいことがある。ブリトニーも、これについていくらか踏み込んでいたし、これはこれで独立したトピックになるのだが、要は、「ごく簡単に回答できるような質問に答える必要はない」ということだ。
そうした問いに対する回答は、ナレッジグラフに任せれば済む話だ。グーグルは、時間や日付、ある人物に関する事実など、ナレッジグラフで取得できるあらゆるデータを表示してくれる。「エイブラハム・リンカーンの身長は?」といった情報だ。
このような質問は回答が得られればそれでおしまいとなるものだし、すでにナレッジグラフの回答に置き換えられている。
代わりに、方法に関する質問やリッチなコンテキストを含む質問に答える
ということは、われわれがコンテンツを作って回答すべき質問は、そうしたシンプルな問いではない。そうではなく、人々の興味を引きつけるリッチなコンテキストを含む「方法」に関する質問や、「なぜ」と問う質問に答えるコンテンツを作るんだ。
そういった質問の場合は、出し惜しみする必要はないと思う。その理由をこの次に説明する。これはどちらかというと、ユーザー体験の視点から見た話だ。誰かがそういった質問をして、回答に少しでもヒントを見出したら、信頼できるものとして、クリックするだろう。
回答を「教える」ことで、信頼が築かれ、より適格な訪問者を獲得できる
ここにペンギンがいる。このペンギンは現金を見せつけている。お金の使い道を探している。このペンギンがどうやってお金を得たかという倫理については脇に置いておこう。誰にもわからないことだ。それでいい。
次に、このペンギンは君のリンクをクリックする。君は、自分のブランディングが確立されていることを知っており、そしてプロフェッショナルらしく見られたいと願っている。Pyramid Inc.というサイトだ。
相手はリンク先で再び同じ質問を見て、再び同じ回答を見る。
検索者に「臭跡」を残すと、信頼が築かれる
同じ内容であることが心配なら、これが優れているのは、僕たちが信頼の手がかりを相手に示していることだと思う。
相手は、検索結果からあなたのページに飛んできてコンテンツを見る。そして、次のように考える。
そう、これこそ自分がクリックするべきだったページだ。これは関連性が高い。自分は正しい場所にいる。
それから相手は詳細に移る。そこに示してあるデータが次の信頼性への手がかりとなり、さらに詳しい情報や専門知識を提供していく。
簡単な答を求めている人は、コンバージョンにつながる訪問者ではない
当然のことながら、あなたはこう心配になるだろう。
強調スニペットですべての情報を教えてしまったら、グーグルの検索結果ページ内でニーズが満たされてしまって、クリックしてもらえないのではないか。
しかし、とにかく答が欲しくてクリックするような人は、コンバージョンにつながるような人ではない。もしクリックしてあなたのサイトに来たとしても、適切なリード(潜在顧客)になる可能性は高くない。
いっぽう、検索結果ページ内に示された回答を見て信頼できると考え、さらに内容を読みたがるような人は、良いリードである可能性が高い。そういう人こそ、コンバージョンにつながり、結果として利益をもたらしてくれるような人だ。
これが、質問への回答をすべて検索結果上で表示することになっても、心配するべきではないと思う理由だ。
簡単な答を与えてはいけない。はっきり言って、簡単な答を提供することに頑張っている人は、どのみちSEOでもビジネスでもうまくいかないのではないかと思う。
多少大変な作業になるかもしれないが、「信頼できる回答」という経路に潜在顧客を誘導し、さらに多くの情報を提供するコンテンツを作るような設計にしよう。
この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。後編となる次回は、今回説明した逆ピラミッド方式について、実例を交えて書き方を説明する。→後編を読む
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