Step 2-13 委託先の選定②選定の基準
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クイズ
- 見積金額は安価であれば良いのでしょうか?
- 見積金額は安ければ良い。安いところに決定する
- 評価基準に沿って見積りを精査して決定する
複数の会社に見積依頼をしたときに、最初に見るところはたいてい合計金額ではないでしょうか。安価で見積もってくれた会社に対し、「おー、〇〇社はすごく頑張ってくれたなあ。こんな低価格を出してくれるなんてありがたい!」とまず思うのが普通でしょう。
ただ、よく見積りを確認していくと、会社によって前提条件に大きな違いがあったりします。たとえばある会社はデザインのビジュアルがフリー素材を基本としていて、もう一方の会社はIllustratorやPhotoshopでオリジナル素材を作りこむことを前提としている場合もあります。
フリー素材だからいけないということではなく、RFPの要求を満たすものであることが重要です。とにかく安価にあげたいからコスト削減の工夫をしてほしいとRFPに書いてあれば、フリー素材でターゲットに合ったデザインをしてくれるのは嬉しい提案です。そこで、RFPの作成と同時に、見積内容を確認し、外注先を選定するための評価基準を作っておきます。
実際に委託先をあなた自身が決定するという機会はあまりないかもしれません。しかし、RFPの作成やコンペの主催同様、提出された提案書&見積書の評価基準や委託先決定のポイントはおさえておきましょう。2-13では、委託先選定のポイントを紹介します。
Step2-13は、Webサイト構築・運用のためのワークフロー中、設計フェーズの「サイト設計」に関わる内容です。
戦略策定フェーズ | 1. プロジェクトの発足 |
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2. プロジェクトの方向性の決定 | |
3. Web戦略の策定 | |
設計フェーズ | 4. サイト設計 |
開発フェーズ | 5. サイト制作・開発 |
6. 運用準備・運用開始 | |
運用フェーズ | 7. 運用・効果測定・改善 |
選定ミーティングの開催
委託先は評価基準に沿って選定しますが、そのために選定ミーティングを行います。選定ミーティングはメンバー全員で行いますが、プロジェクトマネージャーやディレクターが「この会社がいいな」と発言すると、メンバーがその意見に流されることがあります。メンバーが自由に発言できるミーティングであることが大切です。評価基準をまずは再共有して、あくまで基準に沿った選定ミーティングにすることをオススメします。
また、選定の際には、主に次の6つのポイントに着目するとよいでしょう。
- RFPの要求項目が満たされているか
- 見積金額と条件は適切か
- スケジュール、体制図などに無理がないか
- 実績
- コミュニケーション力
評価基準①提案書&見積書の確認
現行システムのちょっとした更新とかではなく、新規にWeb開発やコンテンツ制作、コンサルティングを依頼するときには、複数社にRFPを渡して、見積依頼をするのが一般的です。
依頼内容が小規模の場合は見積書だけの場合もありますが、大規模の場合は要求項目に対する提案書も提出してもらうことが多く、大規模ほど要求項目に対するチェック項目も多くなります。先述しましたが、最低でも、以下の点を確認しておきましょう。
- RFPの要求項目が満たされているか
- 見積金額と条件は適切か
- スケジュール、体制図などに無理がないか
RFPの要求項目が満たされているか
RFPの要求項目に沿って、それが満たされているかを確認します。要求項目として、範囲とボリューム、実現したいことがRFPに明確に書かれていれば、その内容を一覧表にしてチェックすると良いでしょう。
なお、なかにはパッケージ製品を使い、それをカスタマイズして要求を満たす提案もありますが、その際には、カスタマイズ部分の著作権はどうなるのかなども確認しておきましょう。著作権の所在が明記されていない場合、その会社でなければカスタマイズ箇所を変更できない可能性も出てきます。
見積金額と条件は適切か
ハードウェア、パッケージソフトウェアを除けば、見積金額は人件費をもとに算出している場合がほとんどです。充分な作業期間を見込んでいるのかを確認しておきましょう。
なお、見積金額にはその金額を算出した根拠があります。その条件として、「一部を他社に外注する」「ボリューム増加の場合は別途追加費用を見積もる」などが書かれている場合があります。また、システムを外注する場合には、保守費用(システムが完成し、運用が開始した後もシステムを安全に稼働するための費用)が必要になる場合もあります。見積条件で不明点があれば、きちんと質問して回答を得て判断します。
その他(スケジュール、体制図)
RFPに記した要件を満たしたスケジュールになっているかも大切です。
また、体制図では、役割分担が明確になされた体制か、参画メンバーの実績が充分かなど、安心できる人員がアサインされていることをチェックしておきましょう。
評価基準②書類以外にみる評価ポイント
提案書&見積書には書かれていなくても、最初に声掛けをして提案をしてもらうまでのやりとりで、次の点も確認しておくとよいでしょう。
- 実績
- コミュニケーション力
実績
ほとんどの会社は「実績」を評価の重要項目としています。
声掛けをする時点で実績は調べてあると思いますが、選定時には実際に一緒に仕事をする仲間としてもう少し深く掘り下げて、把握しましょう。Web制作でも得意分野もあれば、携わったことがない分野もあるはずです。たとえばECサイト構築でも、100点程度を扱っている店舗の構築は経験があっても、何万点もの商品を扱い、毎日商品が更新されるサイト構築の経験はないかもしれません。
もちろん、提案書や見積書にも過去の実績は書かれているでしょう。しかし、あなたの会社がどのような知識や技術を求めているのかを明確にして、その実績を見直してみてください。
また、過去の会社の実績は書かれていても、今回担当予定の人の実績は書かれていないことが多いものです。そこを確認しておくとよいでしょう。たとえばコンペを開催したときには、営業以外に制作担当のディレクターが出席することが多いと思います。実際にその場でディレクターに聞いてみるのも1つの方法です。
コミュニケーション力
コンペのプレゼンテーション時にもう1つチェックしておきたいことは、コミュニケーション力です。それまでのメールのやりとりはスピーディに行えているか、こちらが質問したことに明確な応えが返ってくるかなどもチェックしてください。
実際に制作が開始されてから、「こちらの指示が通じてないんじゃないか」という文句がでないよう、コミュニケーション力も評価の対象にしておくとよいでしょう。
2-13では、委託先の選定ポイントについて解説しました。Step 2-14では、契約書で注意したい点を紹介します。
- ポイント
- 2-13「委託先の選定②_選定の基準」のポイント
- RFPの要求項目が満たされているか
- 見積金額と条件は適切か
- スケジュール、体制図などに無理がないか
- 実績
- コミュニケーション力
復習ミニテスト
Q2-13-1 委託先選定に関して、正しいのはどれ?(単一選択)
- 担当者の熱意が一番重要。過去の実績はあまり重要ではない
- 安価なうえ、最短スケジュールを提案している会社を選択する
- 選定会議では、提出された提案書がRFPを満たしているかを確認する
- 見積金額が安価であれば、その根拠は気にしない
- 選定会議では、提出された提案書がRFPを満たしているかを確認する
- もっと学び、成長するために
- 提案書のサンプルをダウンロードできます。ダウンロードはこちら
見積書のサンプルをダウンロードできます。ダウンロードはこちら
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