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どんな動画視聴サイトで、どんなコンテンツを、どのくらい見るのか? 日本の動画市場調査

日本におけるオンライン動画市場のユーザーと事業者の動向を紹介します。
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先月公開した当ブログの「米国のオンライン動画市場」では、米国のオンライン動画のユーザーについてさまざまなデータをご紹介しましたが、今回は日本におけるユーザーと事業者の動きについてご紹介します。まず、日本のオンライン動画ユーザー数や動画視聴状況からみていきましょう。

1.オンライン動画ユーザー状況

コムスコア社の調査結果(図1参照)によると、2014年11月時点で日本の動画サイトユーザーは、インターネットユーザーの約8割を占めています。日本の1ユーザーあたりの動画視聴回数は268.5回で、これは米国の1ユーザーあたりの視聴回数の約半分に相当します。

一方、1動画あたりの視聴分数は米国が2.4分であるのに対し、日本は10.2分。1ユーザーあたりの利用分数の合計では、米国が1,253.5分(約20時間)に対し日本が2,746.6分(約46時間)と倍以上になっています。これらのことから、日本のユーザーは、米国のユーザーに比べ長尺の動画を見る傾向にあるといえるでしょう。

(図1)

2. オンライン動画視聴サイトランキング

次に、どのような動画視聴サイトが実際に利用されているのかをご紹介しましょう。

コムスコアの調査(図2参照)によると、2015年4月のユニークビューワー数ランキングは、1位がGoogle Sites(主にYouTube:5,100万人)、2位がYahoo Sites(主にGYAO!:2,050万人)、3位がKadokawa Dwango Corporation(主にニコニコ動画:1,766万人)となりました。

(図2)

2014年10月からのユニークビューワー数の推移をみると(図3参照)、2014年11月を境に上位サイトに変動が見られ、GYAO!が2位となりました。その後は、2015年2月から3月にかけてYouTubeおよびGYAO!でユニークビューワーが増加し、その他は横ばいとなっています。

(図3)

3. オンライン動画サイトの人気コンテンツ

では、これらのメディアでは、どのようなコンテンツが視聴されているのでしょうか。

株式会社オプトが実施した調査(図4参照)によると、動画サイトでよく見られ ているコンテンツは、「ミュージックビデオ」「面白動画」「お笑い」「映画」「ドラマ」が上位5位となっています。エンターテインメント系コンテンツを中心として、比較的短時間のものから、ドラマや映画のように視聴に数時間程度時かかるコンテンツが視聴されていることがわかります。

(図4)

4.動画コンテンツの視聴タイミングの変化

一方、コンテンツを制作・提供する側の動きに目を向けると、オンラインでの動画視聴をいっそう助長するような市場の変化が起こっています。それが、コンテンツを作るテレビ局自身による「見逃し配信」です。

第1回のコラムの再掲になりますが、2014年にはテレビ番組をリアルタイムではなく、録画などタイムシフト型で視聴するパターンが多くなっています(図5)。特に10~20代ではインターネットでテレビ番組などを視聴する割合が他の年代よりも高くなっています(図6)。

(図5)
(図6)

このように日本のテレビ視聴形態が変化したことにより、動画コンテンツを製作するテレビ局側では、録画だけではなく、パソコンやスマホを通じたインターネットでもタイムシフト視聴に対応したコンテンツを提供しようという動きがあります。民放各社は自社のウェブサイト内で動画コンテンツの提供を行ったり、「見逃し配信」という形で一部番組をネットで再配信したりと、若い世代に対して番組を届ける仕組みを模索しています。

図7は、見逃し配信について民放各社の取り組みをまとめたものです。各社とも番組放送後1週間をめどに無料見逃し配信サービスを提供しています。また、自社サイトを主にしつつ、他の提携メディアへの配信を行っていることがわかります。

(図7)

さらに、無料見逃し配信サービス以外に、主に過去の番組を対象に無料・有料両方で配信を行うオンデマンドサイトも各局で立ち上げられています。ただ、そのための外部連携の方法は局によって異なっており、日本テレビはHuluやGYAO!など外部で有料配信を実施し、フジテレビはオリジナルコンテンツ制作のためにNetflixと提携しています(図8)。

(図8)

その他の業界の動きとしては、今年10月に民放5社が共同で無料見逃し配信サービスを立ち上げることが発表されるなど、「動画のオンライン視聴」に向けた動きが加速しています。

以上から、日本の動画市場環境のポイントは大きく次のようにまとめられます。

(まとめ)

  • 若年層の動画コンテンツ視聴パターンが、リアルタイムからタイムシフト視聴に変化しているため、インターネットを通じて若年層にコンテンツを届けることが重要になってきた
  • より広いオーディエンスをカバーするため、動画サイトとの配信提携やコンテンツ制作などの協力関係が築かれつつある

オリジナル記事:日本のオンライン動画市場について(2015/08/05)

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