スマホに特化した広告で集客&コンバージョンが10倍以上! 介護業界向け求人情報サイトのYDN「インフィード広告」活用術
スマートフォンユーザーをターゲットにしたYahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)の「インフィード広告」で、従来比10倍の集客数とコンバージョンを実現した企業がいる。株式会社エス・エム・エスが運営する、介護業界向け求人情報サイト「カイゴジョブ」だ。
「効果について、実は半信半疑だった」という運用担当者に、Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)の「インフィード広告」導入から成果を出すまでの経緯について聞いた。
記事コンテンツに最適な形で表示するデザインによってクリックされやすいというのが、インフィード広告の特徴。
しかし、それによってユーザーの誤クリックを誘発させてしまい、結果的にCPA(顧客獲得単価)が悪化するのではないかと心配していた。
インフィード広告に対する導入前の印象をこのように語るのは、株式会社エス・エム・エスで介護業界向け求人情報サイトカイゴジョブの集客を担当する中道学人氏だ。
これまでは、介護業界求人というニッチな市場ゆえに「デモグラフィックをベースにしたターゲティングは向かない」のではと判断し、ディスプレイ広告はサイトリターゲティングが中心だったという。
インフィード広告の導入も消極的ではあったが、「ものは試し」と軽い気持ちで利用したところ、集客そしてコンバージョン数ともに従来比10倍以上という予想外の結果におどろくことに……。
このまま高齢化が進むと2025年には日本崩壊の危機
人材不足が叫ばれる介護市場を求人情報サービスで支援
- 利用広告サービス: インフィード広告
- 事例サイト: カイゴジョブ
- サイト運営者: 株式会社エス・エム・エス
- サイトの内容: 介護業界に特化した求人情報サイト
- サイトの課題: 介護関連資格所持者や求職者の集客および会員獲得
- 効果: 会員獲得数が10倍に増加
- 利用広告サービス: スポンサードサーチ、Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)
- 広告の運用形態: 自社運営
株式会社エス・エム・エスでは、拡大する高齢社会を見据え、介護や医療、ヘルスケア等の分野において、コミュニティや経営支援、人材等の各種情報サービスを提供している。「カイゴジョブ」もその1つで、介護業界に特化した求人情報を提供している。
「カイゴジョブの目的は、会員に対して介護関連の求人情報を提供し、応募してもらうことです。
現在、会員のボリュームゾーンは、30代後半から50代前半で、男性が4割、女性が6割です。この数字は、一般的な介護職の割合とほぼ同じで、典型的なユーザー像としては、介護職の経験者や資格所持者になります。ただし今後は、より幅広い層の集客をしていく必要があると考えています。
日本はこれからさらに高齢化が進みますが、現在の介護職従事者はおよそ170万人といわれています。国が存続するには、2025年までに250万人が必要になりますが、まったく足りていません。年々増加傾向にはあるものの、このままのペースでは需要に追い付けません。
したがって、現在の介護従事者だけではなく、その予備軍となる存在も強く意識しながら、新しい層へのリーチが必要になります。しかし、そこは獲得が難しい層でもありますので、広告も駆使しながら試行錯誤しているところです
」(中道氏)
エス・エム・エスでは、分野やターゲットごとに多くのサービスを提供し、それぞれが事業部として組織されており、マーケティングや広告運用もそれぞれのチームで取り組むことになっている。
カイゴジョブの集客施策を担当するのは、中道氏と加藤氏の2人だ。
「各グループは、集客、サイト内改善、求人に対する集客を担当するチームで構成されています。集客とは要するに広告のことですが、事業を回すための一機能という位置づけです。
カイゴジョブの場合、リスティング広告を中心に、その他ディスプレイ広告等も実施しています。費用対効果(ROI)を重視しており、それに見合うならいくらでも予算投下するという姿勢です
」(中道氏)
カイゴジョブがスタートしたのは2006年だが、これまで広告運用は一貫して社内で行っており、代理店は使ったことがない。これは、他のサービスも含めて、エス・エム・エスの全社的なこだわりでもある。
半信半疑で導入したインフィード広告に予想外の手ごたえ
CPAを維持したまま会員獲得数が一気に10倍増!
拡大する高齢社会に備えるためには、経験者だけでなく、「少し興味がある」という予備軍へもリーチしなければならない。
カイゴジョブが抱えるこの課題解決に貢献しているのが、Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)の「インフィード広告」だ。導入したことで、大幅な集客アップを実現できた。
ただし、最初から積極的にインフィード広告を導入したわけではない。むしろ、効果に対しては半信半疑だったと中道氏は言う。
「インフィード広告は、記事コンテンツに最適な形で表示するデザインによってクリックされやすくなると聞いて、かえって無駄クリックが増えてしまうのではないかと半信半疑でした。
そもそも、インフィード広告が始まる前に、スマートフォン上でディスプレイ広告に出稿してみたことはあるものの、特に成果が際立っていたわけでもなく、これはもう枠との相性が合わないのだと思っていました
」(中道氏)
このような経緯もあり、インフィード広告にはあまり期待していなかった。ところが、いざふたを開けてみると、予想をくつがえす結果におどろいた。
「インフィード広告を使い始めたのは、ヤフーさんが広告のサービス開始から1週間が過ぎた2015年5月下旬あたりでした。
そこまで期待はしていませんでしたが、こういうものは実際に試してみないとわかりません。あまり考え過ぎず、まずは試そうということで使いました。
結論からいうと、予想に反していきなり成果が出て、正直おどろいています。
これまで出稿していたスマートフォン版のディスプレイ広告の広告費と比較しても、インフィード広告で使っている広告費は数倍以上増えています。しかし、それだけ使ってもコンバージョンが取れてROIも見合っています。会員獲得数も従来に比べて10倍増しと、同じユーザーが見ているとは思えない増え方でした
」(中道氏)
中道氏とともに運用を担当する加藤氏も、同様におどろいたという。
「実は、インフィード広告も最初はサイトリターゲティングだけでした。ある日試しに、ターゲティング設定なしで配信したところ、インプレッションが爆発的に増加しました。広告費も桁違いに増えましたが、コンバージョンも十分に取れていて、何だこりゃ、と(笑)
」(加藤氏)
カイゴジョブでは、会員による求人案件への応募をコンバージョンポイントとし、次のように広告運用の指標を定めている。
- KPI(重要業績評価指標): 会員登録率
- KGI(重要目標達成指標): 会員登録後90日以内の応募率
「現場の運用としては、まず会員登録のCPA(顧客獲得単価)を、応募率が最悪だったとしても収支の差し引きが0になるであろう数字で回します。数週間で応募率が見えてくるので、そこからROIが合うように最適化していきます。
インフィード広告も含めて、ディスプレイ広告のCPAは、リスティング広告の半分くらいを目安に入札調整しています
」(加藤氏)
インフィード広告で集客ボリュームを大幅アップ
サイトリターゲティングではリーチできなかった新規顧客を開拓
思いもよらずインフィード広告の効果を知ったが、広告配信数や集客全体のボリュームが増えたことで、これまでできなかったテストやPDCAが可能になったという。
「ターゲティングなしで配信したら集客のボリュームが一気に増えたので、今度はセグメントを分けて、分析や最適化に取り組み始めました。男性と女性で分けたり、時間帯で分けたり、いろいろなターゲティングのデータが知見として蓄積されつつあります。
介護職の170万人という市場規模は決して大きくはなく、その求人となるとさらにニッチです。
これまで性別や年齢でのセグメント分けが有効に機能せず、Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)でもサイトリターゲティングしか使ってきませんでした。
ところが、今回のYDNのインフィード広告では、サイトリターゲティングでなくても十分利益が上がる水準で会員を獲得できました。これはカイゴジョブでは初めてのことです。ボリュームが増えたことで、統計的分析も有効になり、PDCAを回せる土台ができました。これは社内的にも非常に価値があります
」(加藤氏)
さらに、インフィード広告によって、これまでのサイトリターゲティングだけではリーチできなかった新しい層も集客できるようになった。
「サイトリターゲティング以外の手段を使ったことで、これまでに比べて資格を持っていない層も実は増えました。もともと、会員の有資格者率は85%くらいあり、それがカイゴジョブの売りの1つでもありました。しかし、きちんとステップを踏めば無資格からでもやっていける仕事ですし、とにかく人材を増やさなければいけない状況ですから、ちょっと興味を持った人にも会員になってもらえるようにしなければいけないと考えていました。
その意味では、新しい層の会員を獲得できるようになったことは、本当に大きいことで、うれしい限りです
」(中道氏)
新しいものは考え過ぎず、まずは試すことが大切
業界ナンバーワンとして超高齢社会の情報インフラ作りを牽引
インフィード広告によって、新しい顧客層の開拓という課題を解決したエス・エム・エスの中道氏と加藤氏。最後に、自らの経験から得たWeb担当者へのアドバイスと事業の展望を語ってくれた。
「『やってみてなんぼ』の気持ちで、まずは実際に使ってみること。1ケ月かけて戦略を練っていては、年に12回しか試せません。この分野の新しいサービスやツールは、いかに早くメリットを見極めて活用できるかが重要です。あまり考え過ぎずに、先入観も忘れてとりあえずやってみること。パフォーマンスが良ければ、さらに突っ込んで取り組めばいいし、成果が上がらなかったらやめればいいだけ。
おもしろそうだと思ったら、まずはやってみることが大切です
」(中道氏)
10年後の日本は、家族の誰かが要介護者という家庭が当たり前になる。コンビニやスーパーのアルバイトと同じようなレベルで、介護関連の仕事が身近なものになる。日本人の誰もが、介護というものに関心を持たざるを得なくなる。エス・エム・エスが見据えているのは、そんな社会だ。
「エス・エム・エスのミッションは、拡大し続ける高齢社会の情報インフラを構築することです。10年後には、多くの人が当事者になります。たとえば、親の介護が必要になったとき、探している情報をすぐに見つけられる。エス・エム・エスのサービスを利用するとどんな問題でも解決できるようにすることが私たちの役目です。
介護の仕事をしている人、事業者、介護家族などに向けた情報やコミュニティを網羅的に提供することで、情報産業を作っていきたいという思いがあります。これからも介護分野のナンバーワンとして、業界を牽引していきます
」(中道氏)
インフィード広告は、2015年5月20日に登場したYDNの新しいディスプレイ広告で、スマートフォン版Yahoo! JAPANとアプリ版Yahoo! JAPANのトップページやYahoo!ニュースなどに配信される。
スマートフォン版「Yahoo! JAPAN」およびYahoo! JAPANアプリのトップページデザインは、2015年5月にスマートフォンでの操作性を向上させたタイムライン型へと変更された。インフィード広告は、このタイムライン型デザインに最適化されており、「記事コンテンツに最適な形で表示するデザイン」が最大の特徴だ。従来の広告とは異なる印象をユーザーに与えることで、新しい顧客層への訴求を可能にする広告として期待されている。
- 「インフィード広告」でスマホ版Yahoo! JAPANトップページに広告掲載(Yahoo! JAPAN)
※この記事の内容は、2015年8月現在の情報に基づいています。
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