年配の方でもPCの画面を見ながら問い合わせ/実践! ウェブ電話ケーススタディ:伊那食品工業
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[特集]ウェブ電話のすべて――ネットマーケティング最前線
“よし、買おう”への最後のひと押し!
SEO/SEM/LPOでは勝負がつかない! ネット営業の最終兵器「ウェブ電話」を活用しよう
単なる販売戦略を超え
企業の姿勢としても
お客さまとの対話を重視
伊那食品工業株式会社
http://www.kantenpp.co.jp/
- 設立:1958年6月18日
- 事業内容:業務用寒天の製造・販売、家庭用製品「かんてんぱぱ」ブランドの製造・販売など
業務用寒天シェア国内トップ、長野県伊那市の老舗ブランド
業務用寒天では国内トップのシェアを誇り、「わらび餅」や「寒天ドリンク」といった家庭用の製品「かんてんぱぱ」ブランドを通信販売で展開。インターネットショップやファックス、電話、ハガキといった形で申し込みを受けている。その会員数はおよそ50万人と、コンシューマー向け市場でも多大な支持を得ているのが、寒天製品の製造・販売の大手老舗、伊那食品工業株式会社(以下、伊那食品工業)だ。2002年11月より自社ウェブサイトの制作をリンクに委託、2007年5月にはサイトを全面リニューアルした。
装いを新たにした「かんてんぱぱ」のインターネットショップは、リニューアルに合わせてショップ内にウェブ電話を設置。既存のフリーダイヤルと並行して使える注文や問い合わせ窓口として使い始めた。
「今回のサイトリニューアルでもっとも重視したのは、ユーザーアクセシビリティを高めることでした。『かんてんぱぱ』の会員の年齢層は幅広く、パソコンに不慣れな高齢者の方もたくさんいます。そこで、誰にとっても使いやすく、優しいサイト作りを考えたとき、たとえば『サイトマップ』は『目次』と表記するなど、専門用語は多用しないといったことや、『会話でコミュニケーションが図れるようにしたい』など、さまざまなアイデアが浮かびました。これと同じような発想で、製品の注文や問い合わせをメールだけではなく電話でも可能にするための窓口として、ウェブ電話を、すでに使っていたフリーダイヤルに加えて使うことにしたのです」(営業推進部・情報システム室 伊東広和氏、以下同)
ウェブ電話ならパソコン画面を見ながらの問い合わせが可能
「かんてんぱぱ」では既存客に対して定期的にダイレクトメールを発送、そこにはファックス用の申込用紙も封入されている。ハガキによる申し込みは投函してから商品が届くまで時間がかかるので利用者は減少傾向にあるが、ファックスや電話での申し込みは利便性の高さから利用者は年々増加している。
それでは、ネットショップについてはどうだったのだろうか。
「以前、自社でインターネットショップを運営していた時は、注文はメールで受け付け、オペレーターがそれをデータ入力して商品発送をしていました。ところがこのような形式だと、お客さまは申し込みのたびに商品名をメールに打ち込む必要があり、非常に手間がかかります。当然ながらほかの注文形式の方が手軽なこともあり、ネットからの受注は伸び悩んでいました」
ところが伊那食品工業では2002年のウェブサイト刷新の際に、顧客データベースと連動したインターネットショップをオープン。会員登録をしたユーザーは、登録後は欲しい商品を探して数量を入力するだけで申し込めるようになり、利便性は格段に向上。これを機にネット経由の注文も増え始め、今では会員のおよそ3割がこれを利用している。そして5月のリニューアルでは、さらなるユーザーアクセシビリティの向上を目指す手段として、ウェブ電話の導入に踏み切った。
「ウェブ電話の役割は、注文や問い合わせなど、何に使っていただいても構いません。サイトに手軽に無料で使える会話の窓口があるのが大事なのです。たとえば注文のためのパソコンの操作がわからないといったことでも結構なのです。『かんてんぱぱ』のインターネットショップでは、何か困ったときにすぐにオペレーターに連絡ができるよう、インターネットショッピングのページすべてにウェブ電話のバナーを表示させています。たとえば携帯電話にコールバック予約を入れていただければ、お客さまはパソコン画面を見ながら問い合わせや注文ができます」
というのも、年配の方の自宅の多くはパソコンと固定電話が離れた場所にある傾向が高く、パソコンの画面を見ながら固定電話で通話をすることは、なかなかできないからだ。もちろん、携帯電話の扱いに不慣れな場合もあるだろうが、コールバック機能だと電話番号を入力するだけでオペレーターから電話がかかってくる。しかも通話料無料となれば使ってみようという気になるのではないだろうか。
もちろん、コールバック機能本来の役割も忘れてはならない。
「注文をしたいときはすぐに電話をかけるでしょうが、何かちょっと問い合わせたいときは、たとえば昼休みなど自分の都合のよい時間を指定できるのも、お客さまにとっては便利な機能だと思います。それに予約が入るとメールで知らせてくれるので、業務を把握するのにも役立っています」
「顧客目線」の社風にマッチしたウェブ電話
伊那食品工業は徹底的な顧客目線に立った企業でも知られている。本社の敷地内には、誰もが自由に訪れて散策や買い物、食事ができる「かんてんぱぱガーデン」と呼ばれる施設があり、中でも多目的ホールの「かんてんぱぱホール」は美術展や演奏会など、地域の文化活動に利用できるというから驚きだ。また、ガーデンには多くの休憩用のベンチがあるが、おもしろいのはその傍らすべてに清掃用のタオルが置かれていること。一般的な施設にはこのような用意はなく、ベンチが汚れていたら自前のハンカチなどで拭かなければいけないが、「かんてんぱぱガーデン」では、このような配慮がなされている。
過剰な販売戦略を取らない方針も徹底している。一般的なECサイトでは、会員になろうと思ったら年齢や性別といった、細かい個人情報を入力するのは当たり前だし、企業はそれに応じたダイレクトメールを配信してくる。ところが伊那食品工業の場合、顧客の年齢や性別はまったく把握していない。これらの情報はデータベースから除外されているのだ。
「過剰なマーケティングはお客さまを不愉快にさせる可能性があるからです。ですから、お客さまの年齢層が広いというのも、じつは感覚に過ぎません。昔からのリピーターが多いので、何となくそうだろうといった感じです」
ちなみに、商品の値引きは決してしない。ただしそのかわり、商品を発送する際にお試し品(おまけ)をつけるのだ。それもたくさん……。そうすることで会員に新しい商品を知ってもらうことができ、新たな購入機会につながるかもしれないからだという。
「ウェブ電話も単純に販売戦略のためではなく、お客さまの利便性を向上させるという当社の社風に合致したから採用したのです」というから、ユニークなことこの上ない。
ウェブ電話は、使い始めたからといってすぐに効果があらわれる瞬発力の高いサービスではない。むしろ徐々にその存在が認知されじわじわと浸透していくものだろう。伊那食品工業では今後も、商品の注文には今までどおりフリーダイヤル、インターネットショップ閲覧時の問い合わせにはウェブ電話というように、「顧客が使いやすいサービスを提供すること」というスタンスを貫くだけという。あくまでも今回も重要だったのは、利便性を高めるための窓口が必要だったということ。その理念にウェブ電話が合致したのだ。
CTIで顧客データと連動
実はウェブ電話の導入には、すぐに目に見える効果もあった。CTIとの組み合わせによる、顧客データとの連携だ。
CTI(Computer Telephony Integration)とは、電話やファックスをコンピュータシステムに統合する技術のこと。サポートセンターなどのコールセンター業務に利用されている。顧客データベースと連携できるシステムもあり、特定の番号を各顧客と認証して、過去の対応、注文履歴を参照しながらサポートが提供できるのが特徴だ。
伊那食品工業では、ウェブ電話を既存のCTIにアタッチし、そこから顧客データが呼び出せるように設定している。
「どの電話がウェブ電話経由かもわかるようになっているので、導入効果を測ることもできます。現在は注文と商品の問い合わせに半々くらいの割合で使われているようです。CTIと組み合わせることで電話に連動して顧客データが照会できるようになり、対応がスムーズになりました」
既存の会員なら、ウェブ電話経由でもそうでなくても、いつも変わらないきめ細やかなサービスが受けられるというわけだ。
「ユーザーに優しいサイト」を目指してウェブ電話を採用した伊那食品工業。幅広い年齢層の会員に支えられている特徴に合わせて「電話を通じた会話」を重視している。インターネットショップへの注目がさらに高まるなか、ウェブ電話の役割も日ごと増していくに違いない。
この記事は、書籍『ウェブ電話のすべて ~ネットマーケティング最前線』の内容をWeb担向けに特別にオンラインで公開しているものです。
ウェブ電話のすべて ~ネットマーケティング最前線
ウェブサイトからボタンをクリックするだけで電話がつながる
ネット営業の最終兵器を活用しよう
ウェブ電話は、企業や店舗とサイト閲覧者をダイレクトにつなぐ「ネット営業の最終兵器」となり得る技術として関心が高まりつつある新しいコミュニケーションツールだ。ウェブ電話のサービスを使えば、お客様はウェブサイトに設置したボタンをクリックするだけであなたの会社に電話をかけられる。ユーザ側には通話料がかからない無料ダイヤルなので、サイト運営者側には、お客様からの問い合わせが増える、直接話せることにより成約率がアップするなどのメリットがある。
本書は、すぐにでも応用できる導入事例を満載しつつ、ウェブコミュニケーションの仕上げとなるであろう最新ツールとその利用の実際を解説する。ネットでより多くの顧客を獲得したいすべての人たちにとって、ネット戦国時代を生き抜くための具体的な指南書となるだろう。
ウェブ電話 → http://web-denwa.jp/
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