Webサイト開発のプロセスにSEOをどう組み込むか(前編)
プロジェクト計画書があるとする。そのの中でSEOに言及している部分がほんの1行で済まされているとしたら……何か間違ってるっていう感じがするのではないだろうか。私自身、実際にそういう計画を目にしたことがあるけれども、そういった計画が大してうまくいかなかったことは言うまでもない。
断言しよう。検索エンジンに配慮したWebサイトになるようサイトを最適化するという行為は、完全に開発ライフサイクル全体に組み込まれたさまざまなタスクの組み合わせで成り立っている。SEO関連の全作業項目を1つのタスクにまとめて1人の人間にやらせようなどと考えて、プロジェクト計画の中に1行書き込んでおけば済むようなものではない。
では、開発ライフサイクルとはどんなものかというと、私がいつもたとえに出すのが「すべり台とはしご(Chutes and Ladders)」というゲームだ。コマを進めていく途中ですべり台やはしごに当たると、何マスか先にジャンプしたり、逆に戻されたりする。
私たちはこの数週間、YOUmozとSEOmozのメインブログで、SEO担当者と開発者はお互いをどう見ているか、またどうすれば両者は協力して仕事を進められるか、そしてなぜ殺し合いをすべきではないか(笑)について、有意義な議論を重ねてきた。結論を言うと、私たちは少なくとも相手の仕事のことを多少は知っておくべきだし、(反目しあうよりも)協力して作業するほうが誰にとっても利益があるということになるが、そんなのはわかり切ったことだ。
とはいえ、大半の組織においては、SEOと開発者をただ一緒に仕事をさせればそれでおしまいというようなものではない。プロジェクトチームというものは、プロジェクトマネージャ、ビジネスアナリスト、製品マネージャ、品質保証(QA)エンジニア、SEO、デザイナー、開発リーダーなど、さまざまな役割を持つ人々で構成されていることが多い。その中で、どうすればSEOの取り組みを見過ごされないようにできるか? SEOを開発プロセスに組み込む最良の方法は? 鍵となる人物は? SEOをプロセスに組み込んでもらえなかったら、どのようなことが起こるのだろうか?
専門家に聞く
私自身は開発畑の出身なので、これまで多くの開発プロジェクトに携わってきた。さらに言うなら、規模の大小を問わずSEO関連のプロジェクトに数多く関わってきた。そこで、2人の専門家にも話に入ってもらって、SEOを開発ライフサイクルに組み込むことについて、それぞれの意見を聞くことにした。
ジェシカ・ボウマン氏
SEO界では有名な人物で、「SEM / SEO In-house Blog」というブログを運営している。年中さまざまなカンファレンスで、社内SEOに関連したセッションのスピーカーや司会を務めている彼女の姿を見かける。SES San Joseでも「In-House SEO: Structuring the Organization for Success」(社内SEO:成功する組織編成)というセッションのスピーカーを務めていた。
彼女のスピーチは何度か聞いたことがあったので、今回はSEOを開発ライフサイクルに組み込むことについて意見を聞いた。
フラン・ラーキン氏
Simply Hiredのシニアプロダクトマネージャで、同社サイトの求職者体験とSEOに責任を持つと同時に、求人情報ネットワークJob-A-Maticの5000を超えるパブリッシャの事業開発を担当している。ラーキン氏が担当する顧客には、MySpace、BusinessWeek、CNNMoney.com、The Washington Postなどが名を連ねている(すごい!)。
私は数か月前、同氏と直接協力して徹底的なサイト監査の仕事をしたが、SEO案件の中には完了までの期間があまりに短いものがあることを自分自身で経験した。
開発プロセスにおけるSEOの居場所
企業が新しい開発プロジェクトを始めようとするとき、そのプロセスの中にSEOをどのように、またプロセスのどこに組み込むのだろうか? 答えは企業ごとに少しずつ異なるだろうが、考え方はだいたい同じだ。
ジェシカ・ボウマン氏開発プロセスにSEOが関わらない場所は少なくなっているはず。SEOは、プロジェクトの開始からQAテストまで、開発ライフサイクルの各局面で密接に関わり合う必要がある。
ただし、SEOをプロジェクトに組み込むときはプロジェクトのROIを明確にして、SEOの担当者が必要要件のミーティングに参加することも必要だ。
プロジェクトチームに提出する前にワイヤーフレームを共同開発したり、プロジェクトのドキュメントやQAテストに詳細なSEO必要要件を盛り込んだりする(あるいは、QAテストチームにSEOのテストをしてもらう)必要もある
フラン・ラーキン氏Simply Hiredは、求職者を非常に重視している企業だ。したがって、製品計画のごく初期から、われわれが目指すユーザー体験とSEOフレンドリーなサイトアーキテクチャをうまく調和させるよう努力している
この記事は前後編の2回に分けてお届けする。今回に引き続き、次回もSEOを開発プロセスに組み込む方法について、専門家の意見を聞いてみよう。→後編を読む
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