ニュースリリースから記事へ、広報連鎖が生まれた
ニュースリリースから記事へ、広報連鎖が生まれた
アイデムのニュースリリースの中心は「人と仕事研究所」から発信される統計データや調査結果なのですが、以前は、「自分たちで調査結果を印刷して、大学や新聞社に郵送したり、厚労省の記者クラブに投げ込んだりしていた
」(岸川氏)そうです。ネットPR発想でニュースリリースを活用することで、どんな変化があったのでしょうか?
「雇用に関するアンケート調査を2009年9月にニュースリリースとして発表したのですが、今までにアイデムの情報が掲載されたことのなかった大手のネット系ニュースサイトで取り上げられ、その後、日経新聞さんでも記事として掲載されました
」(岸川氏)
- アイデム 人と仕事研究所「今後の雇用に関するアンケート調査」発表 昨年7月比の従業員数、派遣社員を減らした企業が44.9%
http://www.news2u.net/releases/56478
「ネットでは情報が即座に広がるため、あらゆる方の目に留まる機会が増えたと感じています。また、情報を見た人が残してくれるコメントも、作り手にとって非常に参考になりますね
」(岸川氏)
実際にニュースリリースを配信している望月さんに、広報部門としてニュースリリースの効果をどう考えているか聞いてみました。
「誘導率と検索ワード、検索のランキングをチェックしています。現在は、“ジョブ”“アイデム”というキーワードで上位に表示されるようです。
他社さんではメルマガのような形式のリリースを出しているケースもありますが、さまざまなポータルサイトに掲載されるため、アイデムではいわゆるニュースリリースの形式になるように作成しています。ニュースリリースとしてある程度、基本を守っている形式であるほうが、印象も良く、見てもらいやすいのではないかと考えています
」(望月氏)
伝えたいという企業側の立場だけでなく、ユーザーにとって読みやすいかどうかを考えて情報発信することが、伝えたい人に情報を届けるポイントだといえます。
月10本のニュースのネタを探して
リリース発信の役割を担う望月さんですが、リリース配信サービスを利用するようになった現在、毎月10本のニュースリリースを発信することを自らの課題としているとのこと。
「以前は週に1本程度のリリース発信だったのですが、月額固定料金のリリース配信サービスを利用するにあたって、その効果を最大限活用するために、本数を増やすようにしました。もちろん、それだけのリリースのネタを探すのは楽ではないのですが、社内には情報をもっている方が多くいますので、協力していただいています。最近では、“人と仕事研究所”のどの方がどんなデータをもっているかということもわかってきたので、『○○のデータをリリースで使わせてください』と頼んでデータをもらうのも、比較的スムーズになってきました
」(望月氏)
「過去に出した白書など、おもしろい情報をピックアップしていくという提案を(望月さんから)頂いています。白書の発行は毎年4月なので、白書自体のリリースはそのときだけなのですが、他のリリースで白書の内容を取り扱ってもらえると露出が増えるので、こちらとしてもありがたいところです。作った人間は、自分の成果物が表に出ていくと、モチベーションになりますので、ぜひ進めてくださいと言っています
」(岸川氏)
また、これまではイベントの開催で手一杯だったというCSR関連のリリースについても、もう少し力を入れたいとのこと。
「これまでは、写真コンテストの入賞者発表や表彰式があっても、入賞者発表のリリースだけしか出していませんでしたが、今後は、表彰式の写真なども入れて、さらにもう1本リリースとして情報発信したいと思っています
」(望月氏)
リリース配信サービスを利用していることで「手が空いたときに(ニュースリリース公開の)予約をしておける
」(望月氏)点も、月10本の情報発信の助けとなっているとのことです。
情報発信とモバイルを強化へ
自社コンテンツを中心に、自社メディアを活用しているアイデムですが、各担当者の今後の課題は何でしょうか?
「今後、会社として比重がかかってくるのはネット媒体。昨今のように経済状況が悪化してくると、求人案件数も大きく減ってしまいますので、アイデムとしても新しい取り組みが必要になります。
今まで紙媒体を使っていたお客さまが、ネットを利用する際にイーアイデムを選んでいただけると一番いいですね。紙の求人で十分というお客さまに対しては、新しい、違った属性の求職者を集めることができるということを、いかにご理解いただけるかが課題ですね
」(長島氏)
これまでイーアイデムを「お客さまや営業の要望を吸い上げながら、求職者にとって使いやすいサイトを目指してきた
」という長島氏。アイデムのビジネスに直結しているイーアイデムでは、これまでのサイトへの取り組みを継続しつつ、さらに大きな役割を担っていくことを視野にいれた取り組みが期待されます。
「“人と仕事研究所”としては、情報を効率よく、わかりやすくみせるように常に見直しをしていきたいところです。非営利部門だからこそ、良い情報を出して行かなければならないのです。アイデムの強みの1つは、自社で雇用している営業の社員が非常に多い点。我々が出している情報は、営業を介してお客さまから得た情報なので、よりいいものを作り、ウェブで出していきたいですね。
また、顧客満足をどうとらえるかは、今後のテーマとして重要だと思っています。“人と仕事研究所”からみると、アイデムのお客さまだけでなく、営業マンを含めたアイデムの社員も顧客です。そういった観点で自分たちの情報をより良く出していくということを、大きな目標としています
」(岸川氏)
「広報としては、ウェブに関してはニュースリリースからの広がりを感じているので、さらに強化したいのですが、さらに紙ベースの広報体勢も強化していきたいと思っています。紙やウェブをうまく活用して、アイデムの認知を拡大し、ファンになっていただける方を増やしていきたいです。
あとは、アイデム内で広報会議を実現したいと思っています。各事業部の広報担当者も他の業務と広報を兼務している状況でして、これまでは広報担当者が集まる場がなかったのです。それぞれの部署の活動に、横のつながり加われば、さらに良い結果を生み出せるのではないかと考えています
」(望月氏)
すでに紙媒体で自社メディアの運営を十分経験しているアイデムは、ネットでもモバイルでも存在感を出せています。これも、自社メディアを運営して情報発信をしていくノウハウを、組織のDNAとして持っていたからなのでしょう。
そんなアイデムだからこそ、広報には、多数のメディアや部門から、さまざまな情報が上がってきます。「サービスを生み出す部署ではないので、皆さんががんばっていただいているものを返すというのが仕事
」という望月さんに、企業の中の情報流通を活かすも殺すも広報担当者の考え方次第だと改めて感じました。
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