もしも、「NHKオンライン」を解析するなら(前半)[第56回]
「NHKオンライン」をエキスパートレビュー!(続き)
民放のWebサイトはどうなってる?
「NHKオンライン」のトップページを見る前に、放送局のWebサイトのトップページが、一般的にどのようなレイアウトになっているのかを確認しておきたい。
在京キー局(「日本テレビ」「TBSテレビ」「フジテレビ」「テレビ朝日」「テレビ東京」のトップページを見てみると、
- 番組情報
- now on air(現在放送中の番組)
- 広告クライアントの広告
- アクセスランキング
- ニュース速報
- フッターにたくさんのリンク
などのコンテンツが一般的なようだ(以下、カギ括弧付きで「日本テレビ」などと書くときには、会社自体ではなく、Webサイトを指す。他の会社も同様)。
例えば、図3は「テレビ朝日」のトップページだ。
メインビジュアル右が広告エリア(図3の赤枠で囲んだ部分)、その下にアクセスランキングがある(図3の青枠で囲んだ部分)。それから、フッターにはやはり非常に多くのリンクを配置している(図3の緑枠で囲んだ部分)。
「NHKオンライン」のトップページを見てみよう
これを念頭に置いた上で、「NHKオンライン」のトップページを見てみよう(図4)。
民放に対して、NHKは広告モデルでないため、当たり前だが、「NHKオンライン」には広告がない。一方でコンテンツが豊富なため、見るからに、コンテンツをどのように整理して見せるべきかが課題となりそうだ。
上部のメインの位置には、ニュースコンテンツがジャンル別に並んでいるのだが(図4の赤枠で囲んだ部分)、そもそも「Yahoo! JAPAN」のようなポータルサイト的な役割を「NHKオンライン」に求めているユーザーがどのぐらいいるのだろうか。広告モデルではないので、単にページビューを多くする必然性は少なく、こういったニュース系コンテンツでページビューを稼ぐ必要はないだろうし、ユーザーにも求められていないのではないだろうか。
上部に「NHKオンラインプラス」へのリンクがあまり目立たない形で存在している(図4の青枠で囲んだ部分)。「NHKオンラインプラス」(図5)は、ポータルサイトの「Yahoo! JAPAN」で言えば「My Yahoo!」のような機能を持っているページだ。
図5からもわかるとおり、コンテンツを追加したり(図5の青枠で囲んだ部分の機能)、パーツ化したコンテンツを移動させたり、組み合わせて自分用にカスタマイズしたページを作ることができるというものだ(図5の赤枠で囲んだ部分のようなブロック)。
どうも、ポータルサイトを意識した作りが目立つが、「NHKオンライン」の存在意義から考えれば、番組について調べるユーザー、NHKそのものに興味があるユーザーにフォーカスしてしまってよいのではないだろうか。どういう目的でWebサイトを展開しているかという根幹の部分の話になるになるのだが、ポータル的な作りにして虻蜂取らずにならないようにした方がよい印象を持った。
番組を調べる方法にはどのようなものがあるか?
さて、番組を調べる方法としては、
- チャンネル(地上波、衛星放送、ラジオなど)
- 番組名
- ジャンル名
- 放送の日時
など様々な軸がある。こういった軸に対してどのようなインターフェイスを提供しているかを見ていこう。
他の放送局でもだいたい同じ形式が多いが、番組内容のジャンルは、ページ上部のグローバルナビゲーションを利用するのが一般的なようだ(図3、図4の紫枠で囲んだ部分)。
「現在放送中の番組(now on air)」という見せ方をしているのも多い(図3、図4の黄枠で囲んだ部分)。
あとは、「番組表」という一覧形式で見てもらうという機能もほとんどの放送局サイトで提供されている(図4の緑枠で囲んだ部分)。
「NHKオンライン」のトップページで気になった点を言うと、それぞれの機能は提供しているのに、目立っていないということだ。例えば、番組表(図4の緑枠で囲んだ部分)や番組名一覧という機能はページ最上部の検索窓の右にひっそりとその他のリンクと同列に並んでいて、重要なコンテンツへのリンクなのに気付きにくい。
また、グローバルナビゲーションは、ジャンル数が14個と多いため、1つ1つが目に入ってこない(図4の紫枠で囲んだ部分)。他局の例として挙げた「テレビ朝日」では、番組カテゴリー数は7つしかない(図3の紫枠で囲んだ部分)。パッと見て判断できる数としてはこのくらいが妥当だろう。
「ただいま放送中」(図4の黄枠で囲んだ部分)も、どこからどこまでがその領域なのか、ブロック化して表示を囲っていないため、コンテンツの境界がよくわからない状態になっている。
フッターは上手に情報を隠している
さて、トップページのフッター(図6)は冗長にならないように、うまく情報を隠しているのだが、どのような構造かわかるだろうか。
プラス記号(図6の赤枠で囲んだ部分)や下矢印(図6の青枠で囲んだ部分)をクリックするとフッターが広がり、図7のように実態のあるリンク群が出現してくる構造になっている。最近このようなインターフェイスが増えてきたので、意味が共通認識できるアイコンとして定着してくれば、こういった使い方はよいだろう。
あとは、関心のある人は目を凝らして見るとは思うのでそれほど問題にはならないかもしれないが、そもそもグレーで薄い文字表現になっているところが気になった。可能なら、もう少しはっきりわかるようにした方がよいだろう。トップページの他の部分でもいくつかそのような箇所があるように感じた。またコンテンツ満載なので、デフォルトの文字サイズが一番小さなサイズになっているのも少々気になった。
コメント
NHKのニュースはソー
NHKのニュースはソーシャルでたまに流通してるので、
ニュース速報をTOPページに置く意義は大きいですよ。
311後のNHKの存在意義の変化にも着目して欲しいです。
系列新聞社が有るか
系列新聞社が有るか無いかが、民放とNHKのレイアウトで、ニュースの扱いに違いが現れているのかと。
個人的なケースかも知れませんが、番組表は、番組ガイド専門サイトで見ることが多く、放送局Webサイトは余り利用しないし、個別の番組について知りたい時は、検索サイトから飛ぶので、放送局Webサイトのトップページって、余り見ないですねぇ~^^;
NHKも、アクセス解析くらいしてるだろうし、その結果を無視してトップページのレイアウト決めてるとも思えないのですが?
NHKサイトのニュースについて
NHKさんのサイトでのニュース掲載に関しては、もちろん掲載すれば価値があるのは当然だと思います。NHKさんが情報を出せば、そりゃ(ソーシャルを含めて)反応する人は大勢いますから。
でも、「そもそもこのサイトは、どんな層の人のどんなニーズに応えて何を達成するために運営しているのか」という点を検討してみると、また違ったコンテンツの見せ方があるかもしれないですよね、という話題だととらえてください。
そうした検討をしたうえで明確な目的をもってニュースを前面に押し出しているのならば、第三者がどうこういうべきものではないと思います。はい。